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整形外科 外科
リハビリテーション科

野球肩(水泳肩)、リトルリーグ肩 Little leaguers shoulder

 野球肩は肩をよく使うスポーツ(野球、水泳、バレーボール、テニス)で起こります。滑液包炎、肩腱板の損傷、関節唇の断裂、インピンジメント、上腕二頭筋腱炎など肩の痛みを起こす疾患の可能性があります。それぞれの疾患に対応して治療を行います。

 子供さんに起こるリトルリーグ肩というのがあります。これは上腕骨の近位(肩関節に近い方)にある骨 端軟骨が腕を振り回す力によって痛めてしまう病気です。レントゲンで左右の肩を比べてみると痛みのある方の骨端軟骨が広がって見えます。約半数が投手です。

 リトルリーグ肩は保存的治療によく反応します。しばらく投球を休止します。ただし投球フォームに問題があることが多く、ノースローの時期にフォームを改善するようにしておかないと再発しやすいです。8-15才の野球選手で肩痛の既往がある62%に、無症状の55%に上腕骨の骨端線開大を認めたという報告もあります。投球フォームの問題として肩甲骨の上方回旋不足や、胸郭の柔軟性の低下、股関節機能の不全などがあります。肩甲骨をつないでいる筋肉・腱の柔軟性、体幹の柔軟性の低下や股関節の可動域の低下などをチェックし可動域訓練などを行います。
 
 画像所見の改善には3-6ヶ月かかりますが、肩関節の柔軟性を改善させ早期復帰をめざします。通常、一ヶ月程度で投球再開、2-3ヶ月で復帰を行います。
 
リトルリーガーズショルダー

日本臨床スポーツ医学会 野球選手の成長期の投球制限 提言「全力投球数は、小学生では一日50球以内、試合も含めて週200球を超えないこと。中学生では1日70球以内、週350球を超えないこと。高校生一日100球以内、週500球を超えないこと」

 リトルリーガーズショルダーは基本にはオーバーユーズなのですが、下肢・体幹のタイトネスや投球フォームも関係しており、単純に投球を休止しただけで再開すると再発する可能性があります。タイトネスの改善、投球フォームの改善が重要です。

 原因:投球動作による上腕の回旋・牽引ストレスによる生じる上腕骨近位骨端線の損傷
 所見:上腕骨の近位部(頸部)に圧痛。抵抗下の外転、内旋、外旋時の疼痛。
 分類:兼松分類・・・ほとんどがI、II型
  I型 骨端線外側の部分的な拡大
  II型 骨端線全体の拡大
 III型 骨頭のすべり

 レントゲンで判断に迷うときはMRIやエコー検査が有効

 治療:通常、外固定は不要。疼痛が強いときは三角巾。投球を休止し、1-2ヶ月で圧痛と抵抗下の運動痛が消失したら投球を再開する。徐々に行う。
     レントゲンでの修復は平均5ヶ月。半年以上のこともあり。
画像よりも臨床所見で判断。ただしIII型のすべりがある場合は、急ぐとすべりが増悪するので慎重な対応が必要。
 
 Bennett損傷

 挙上位でのレントゲンで関節窩後下方の骨棘として描出される。特異的な理学所見はなく、無症状のことも多い。ただし何らかの刺激があって生じたものであるから経過を見る必要はある。同部のインピンジメントによる症状がある場合、手術も考慮する。