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整形外科 外科 リハビリテーション科

四十肩、五十肩、肩関節周囲炎、凍結肩(肩関節拘縮) Periarthritis Humeroscapularis (frozen shoulder)

 じわじわ肩関節が痛くなってくる場合に、四十肩、五十肩があります。正式名は肩関節周囲炎といい、文字通り肩関節周囲の筋肉や腱が炎症を起こすことによって痛みが生じます。痛みは片方だけのことも両方のことも時期がずれて反対側になることもあります。炎症に引き続いて関節包、滑液包、腱板が癒着して可動域が低下していきます。

 原因はよく分かっていませんがある程度年齢を経た人に起こることから局所の動脈硬化や自律神経障害が関与しているのでないかと言われています。

 痛む場所は、肩関節の後ろであったり横であったり前であったりします。痛いところを伸ばしたり突っ張る方向へ肩を動かすと痛みが強くなります。痛みが出始めて数ヶ月すると肩関節が拘縮して動きにくくなります。最初は痛みのために動かさなかっただけなのですが、動かさない状態は数週間続くと徐々に拘縮と言って関節包、滑液包、腱板が癒着して固着してしまいます。

 痛んでも周りの人からもそのうち治ると言われて様子を見ていたがどんどん悪化するために意を決して受診した頃にはひどく拘縮していて可動域もかなり落ちてしまっていることがよくあります。こうなるとリハビリを行ってもなかなか改善しません。

 まずは痛み始めたら早めに受診しましょう。

 鑑別診断として石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)、肩腱板断裂があります。レントゲン撮影、超音波断層撮影、必要に応じてMRIで鑑別診断を行います。

 治療は急性期は消炎鎮痛剤と肩関節の安静をはかります。急性期が過ぎれば、早めに温熱療法に加えて可動域訓練を開始します。慢性期には飲み薬であるノイロトロピンが有効なことも多いです。

 こういった肩の炎症が起こると寝る方が痛いとおっしゃる方が多いです。理由は炎症で内圧が上がって痛みが出やすい状況で更に横になることによって心臓との位置が近くなって圧が更に上がるからです。寝ると顔や手がむくみやすいのと同じ原理です。

 平均寿命が30代後半であった江戸時代では、長寿の病気(長命病)として喜ばれたそうです。今は痛いだけでめでたくはありませんね。
  
 肩関節周囲炎


 肩関節周囲炎は四十肩、五十肩とも言われ中高年期以降、50歳代を中心に現れる疼痛性肩関節制動症とされています。肩関節周辺の炎症により癒着が起こり進行すると可動域制限が強くなり拘縮となります。初期は肩関節の前方に痛みが生じますが進行するにつれて後方に移動していきます。

<病期>
Freezing phase
Frozon phase
Thawing phase

 Triggerとして烏口突起炎、上腕二頭筋長頭滑液包炎、腱板炎、腱板疎部損傷などが関与

 多くは三角筋周辺の痛みが生じます。夜間痛や運動時痛が主で昼間の安静時は比較的疼痛は少ない。当初は前方成分(烏口突起周辺、結節間溝、腱板疎部)による痛みで発症し、進行すれば後方四角腔や棘下筋などの後方に移動していきます。回旋運動と回旋時の強い疼痛が生じ、拘縮が進むとすべての方向で可動域制限が起こります。

 レントゲン撮影では特に異常所見が無く、拘縮が長いもの、疼痛が強い場合は骨萎縮を起こすことがあります。肩関節周囲炎の原因は関節包の癒着であり、関節包の遊びの消失により可動域制限や痛みが生じるとされています。治療は消炎鎮痛剤に加えて圧痛点にステロイド入り局所麻酔薬を注入する方法があります。近年ではヒアルロン酸の注入が効果的であるとされています。

 注射を希望されない人も多いので、地道にストレッチを行い関節包や滑液包の癒着を外していきます。

 予後ですが、無治療でもほぼ2年以内に重篤な症例でも回復するという意見もあれば、半数で痛みか拘縮を残すという報告もあり、コンセンサスは得られていません。いずれにせよ痛みが長期に続くのは精神的にも辛いですので、早期にリハビリ等の介入を行い改善を図るのがよいと考えます。