表紙に戻る
池田医院へようこそ
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科 リハビリテーション科

シンスプリント Shin splints,Medial tibial stress syndorome

 shinは「すね」の意味、splintsは「副木(ふくぼく)」の複数形です。sprint(疾走する)とは綴りが違います。直訳すると「すねの副木」となりなんだか意味が分かりませんね。昔は治療に副木を当てていたのでしょうか?

 原因はスポーツ等により過度の負荷がかかる使い痛みです。従って大人しくしていれば治ります。ただ単に使いすぎではなく前後のアーチがつぶれる扁平足や足関節で内反していると起こりやすいです。また過体重やシューズ、路面状況にも左右されます。

 こういった問題を改善することによって再発をしにくくします。

 運動後のアイシングは痛みを抑える効果がありますが、どちらかというと痛みを麻痺させる効果ですので一長一短です。

 当初は違和感から始まります。その後、運動時のみ痛みます。更に悪化すると安静時痛もでてくるようになります。

 局所の安静が基本ですが、筋力低下を防ぐためのトレーニング、足関節の可動域を改善させるなどのリハビリテーションが必要です。
 シンスプリントは同部の疲労骨折と鑑別しなければなりません。疲労骨折がある程度進行したものはレントゲンで所見がありますが、初期の場合は所見が無く、鑑別はMRIで行います。
 シンスプリントの重症度分類と治療

 The American Medical Association defines shin-splint syndrome as “Pain and discomfort in the lower leg. It is caused by repetitive loading stress during running and jumping, and occurs in 4% to 35% of athletic and military populations. The diagnosis should be limited to musculoskeletal inflammation, excluding stress fractures or ischemic disorders.”

 米国医学協会のシンスプリントの定義は「下肢の痛みと不快感。ランニングやジャンプを繰り返すことによって生じる。アスリートや軍人の4−35%に生じる。診断は疲労骨折や虚血性疾患を除いた骨格筋の炎症とする」となっています。虚血性疾患はコンパートメント症候群、動脈異常などの血流障害を起こす疾患を意味します。

 シンスプリントは両側の場合も片側の場合もあります。踏切足に多いとされています。一般型(軽症)と重症型に分けられています。一般型は踏切時に痛みが生じ重症型は着地時に痛みます。いずれもレントゲンでは異常を認めず(重症例では骨膜の反応があることも)、MRIでは一般型は無所見もしくは筋、骨膜の異常信号、重症型では骨髄の異常信号を認めます。

 八木の報告によると発症の個体要因として女性の高BMI、股関節内旋可動域高値があり、足部回内は発症要因と関係なく原因では無く結果であるとしています。トレーニングの要因としては、頻度は関係なく、競技レベルが高いほど発症率が高かったとしています。

 一般型は長趾屈筋の過収縮により後脛骨筋の滑走が障害されるために生じます。(長趾屈筋腱をくぐるように後脛骨筋腱が下層で交叉しているため)治療は長趾屈筋の過緊張を緩和し、後脛骨筋を強化します。復帰は平均2週間かかります。Walshの分類stage2以下はスポーツ活動の制限は必要ないとしています。stage3はランニング、ジャンプを制限し、安静は必要としない。長趾屈筋、長母趾屈筋に対して足関節背屈位で足趾伸展運動を行います。その後、足関節底屈位にて足趾屈曲させます。後脛骨筋を鍛えるために他動的に足趾を屈曲させて足関節を内返しします。

 重症型は脛骨の捻りストレスによる疲労骨折の前駆症状と考えられ4週間の走行、ジャンプの禁止が必要。着地時〜蹴り出しまでの距骨下過回外や外側アーチの低下に対して、長・短腓骨筋や小趾外転筋の運動療法や足底板が有効で、復帰には2-3ヶ月を要します。骨の微細損傷が繰り返され修復が間に合わず骨吸収が亢進して異常帯と考えられるので骨の修復期間として4週間の走行、ジャンプの禁止が必要です。

(参考:シンスプリントの重症度分類と治療 八木茂典 整形・災害外科第59巻第6号5月臨時増刊)

 本来のシンスプリントは疲労骨折を除くとなっており疲労骨折の前駆状態である重症型はその発症様式の違いから疲労骨折と考える方が良いと思います。従ってシンスプリントの分類はいずれ一般型のみとなり重症型は疲労骨折として扱われるのではないかと考えます。(−池田)