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整形外科 外科 リハビリテーション科

  
尺骨突き上げ症候群 ulnar impaction syndrome

 手関節は手根骨と橈骨、尺骨で構成されています。この疾患はは尺骨が相対的に橈骨より長くなってTFCCや手根骨を突き上げ圧迫し痛みを起こします。慢性の圧迫はTFCCの変性断裂、月状骨・三角骨近位の関節軟骨軟化、月状三角骨靱帯変性断裂を引き起こします。

 尺骨が長くなる原因は生まれつきのこともありますが、橈骨遠位端骨折、Essex-Lopresti損傷、骨端線損傷などの外傷でも起こります。突き上げ症候群が起こると手関節を尺側に曲げると痛みが生じます。テニスでスピンをかける動作、手をついて立ち上がる、ドアノブを回す、蛇口を捻る、タオルを絞るなどの動作で痛みが出ます。

 尺骨プラス変異に多いのですが、まれに尺骨マイナス変異でも起こります。周辺の手根骨の障害(月状骨尺側、三角骨の骨軟化症)やTFCC損傷の原因となります。プラス変異が2.5mm以上であれば、DRUJ不安定性を伴った尺骨突き上げ症候群を示唆する所見です。

 保存治療は、消炎鎮痛剤、装具、理学療法などを行います。痛みが保存治療で改善しない場合は、尺骨短縮術が一般的に行われます。


*Essex-Lopresti 損傷

 橈骨頭骨折に遠位橈尺骨関節脱臼、前腕骨間膜の損傷を伴ったもの。治療に難渋することが多い。