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整形外科 外科 リハビリテーション科

手根骨骨折 carpal bone fracture

 手根骨は手の関節を構成する8個の小さな骨。それぞれが靭帯でつながっており手首の運動をスムーズに行っています。外傷でそれぞれ骨折することがあります。手根骨骨折の70%が舟状骨骨折、10%が三角骨骨折、有鉤骨骨折10%、豆状骨骨折5%、大菱形骨骨折3%となっています。

舟状骨骨折

 舟状骨骨折はよく見逃される骨折であり、また治りにくい骨折として有名です。多くは何らかの形で転倒した際に手をついて発症します。若者に多く、高齢者の場合、舟状骨骨折よりも橈骨遠位端骨折になりやすいです。

 舟状骨はカシューナッツのような形をしており、骨折部位により治りにくさが違います。比較的ましなのが遠位骨折です。ここは血流が保たれていることが多く、ずれが大きくなければ5−6週間の親指から肘までのギブス固定を選択します。(ただ通常の骨折よりはつきにくいと考えてください。)

 近位は骨折により血流が遮断されて偽関節になりやすいです。保存的には4−5ヶ月ギブス固定をしますが、つかないことも多いです。

 ハーバートスクリューという特殊なねじで固定する手術が行われます。

 最終的につかない場合は偽関節となります。文字通りついていないのでそこが不安定となり痛みが生じます。舟状骨の場合、これを放置するとほかの手根骨にも影響して変形や痛みが生じるようになることがあります。

 偽関節の治療は手術療法となります。通常、骨移植をして固定を行います。

 高校生以上ではコンプレッションスクリュー(圧迫螺子)をもちいた手術療法が行われますが、子供では骨癒合がよいので保存的に対処。thumb spica cast を4-6週間行います。(母指まで巻かずにコレスギプスで問題ないとする報告あり、下記参照)

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 舟状骨骨折〜疲労骨折を含む

 舟状骨骨折は若者が転倒して手をつくと起こりやすい骨折です。嗅ぎタバコ窩に圧痛があるのが特徴です。捻挫と自己診断してそのまま放置し偽関節となることがあります。体操競技など手関節に繰り返して負荷をかける運動では舟状骨の疲労骨折を起こすこともあります。

 治療は、転位がほとんどない場合、またはMRIやCTでようやく骨折と診断できる場合は、ギプス固定を4−6週間行います。受傷直後より転位のある例、経過中に転位が増大する例では手術を行います。スポーツ選手では早期回復をめざして手術療法を積極的に選択することが推奨されています。

 舟状骨中央では掌側から、近位部では背側からアプローチします。

 <治療方針>

 ・新鮮安定型骨折
  前腕から手までのギプス固定(short arm cast)を4−6週間行う。ほとんど転位の無い例(1mm未満)、骨挫傷が対象。
  遷延治癒や偽関節に注意。受傷後4ヶ月程度は慎重に経過観察
  近位部や斜骨折は不安定型なので手術を考慮する。(手術をしない場合は、4-5ヶ月ギプス固定、偽関節になることも多い)

 *ギプス固定は、母指まで固定するthumb spica castや上腕までのlong arm castではなく、前腕から手までのコレスキャストで十分とする報告があります。

 ・新鮮不安定型骨折
 早期スポーツ復帰をめざす場合や受傷時に転位(1mm以上)がある場合は手術を行うようにします。
 ・偽関節
  遊離骨移植と血管柄付き骨移植があり、骨移植と内固定を行います。
 

有鉤骨骨折
 体部と鈎部骨折があります。体部骨折は第4第5中手骨骨折に合併することが多いです。鈎部はスポーツ外傷、特に野球・テニス・ゴルフ等でグリップエンドが当たって受傷します。体部骨折で転位が無ければ、4-6週間の外固定をします。転位がある場合は手術を行います。

 鈎部骨折は早期スポーつ復帰を望む場合は骨片摘出術を行います。受傷一週間以内で転位の無いものはギブス固定を6週間行いますが骨癒合は得られにくく、受傷一ヶ月以内で転位の少ないものは骨接合術の成績がよい。また転位の大きいものは骨片摘出術を選択することが多い。低出力超音波(LIPUS)は低侵襲ですが、治療期間は平均6ヶ月と長くなります。

 鈎部骨折は小指屈筋腱損傷、尺骨神経麻痺に注意する。

 *中学生以上の有鈎骨鈎骨折は手術することが多い。鈎部摘出で2-3週間後に復帰可能。
三角骨骨折
 大きな転位が無ければ、3-6週間のギブス固定。転位のある体部骨折は手術。

豆状骨骨折
 新鮮例は3-4週間、固定。転倒などで小指球部を強打すると起こります。

大菱形骨骨折
 体部:第1CM関節脱臼に伴うことが多い。CM関節整復+骨接合術
 稜骨折:通常は保存的。症状残存例は摘出。

有頭骨骨折
 通常舟状骨骨折など他の手根骨骨折に合併。CT、MRIによる精査必要。転位が無ければ6週間固定。
 体部骨折:180度回転転移することがある。(舟状有頭骨症候群))

月状骨骨折
 裂離骨折:3-4週間の固定
 体部骨折:骨接合術も積極的に行われている

小菱形骨骨折
 非常に希。CTによる精査。

参考図書: orthopedics2005.11 手関節部疼痛疾患
大菱形骨結節骨折
豆状骨骨折