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整形外科 外科
リハビリテーション科

本日のコラム550 腰痛のエビデンス

「一問一答! 腰痛のエビデンス 菊池臣一」
菊池先生の著書。腰痛にご興味がある方はご一読をお勧めします。

腰痛治療にはエビデンスだけではなく、経験知(ART)を加えて治療するのが良いとしています。

腰痛のエビデンスとしては以下の通り

<腰痛のエビデンス>

腰痛の自然経過

・非特異性腰痛:大多数で1-2週間で改善。数ヶ月にわたることもある。ほとんどの症例で再発を認める。4人に1人は1年後も腰痛が持続。

・椎間板ヘルニア:10年間の追跡調査で、手術拒否例や麻痺例でも予後は良好であった。

・脊柱管狭窄症:保存治療の馬尾型は生涯を終えるまで不変であった。神経根障害は自然寛解傾向がみられた。

・不安定性腰椎:10年以上の追跡調査。20%はX線学的不安定性は消失。後方開大のみの機能的予後は良好。前屈時に後方開大・前方辷りの場合は、X線的不安定性や症状が持続する傾向がある。機能的予後は不安定性より脊柱管の狭窄の存在が関与。

・変性すべり症:10年以上経過した時点での調査では、腰痛のみの場合は50%で消失。下肢症状を有するものは症状が持続する傾向あり。経過中の神経症状発現は脊柱管狭窄の存在が関与。

・分離辷症:分離のみで推移する場合は機能的予後は良好。分離辷症の機能的予後は必ずしも良くない。辷り増強例は50%で日常生活に支障。
 
腰痛と年齢の関係
20歳未満は分離症があってもすべり症の合併は低い。
症状は腰痛が主体。
20-40歳代加齢によるすべり症の頻度上昇。
50-60歳代ですべり症の頻度とすべりが大きくなる。
70歳代以降はすべりの進行は停止。
腰痛は持続するが、開始症状の合併する頻度も下がる。

腰痛と肥満
太っているから腰痛が悪化する十分なエビデンスは無い

膝痛と腰由来
膝内側の痛みが膝OAからではなく、L4神経根症の部分症状のことがある。
簡便な方法として腰を進展させてみて痛みが発現するかどうかをみる。

神経性間欠跛行
腰部脊柱管狭窄症(神経性)は跛行を起こすものと起こさないものとがあるが、その理由は分かっていない。

腰痛の予防
硬いベッドと中程度の硬いベッドと比較した場合、硬いベッドは予防には逆効果。無理をして硬いベッドに寝る必要は無い。
運動は予防効果がある。運動療法単独では予防効果は大きくない。
肥満、喫煙、持ち上げ動作、姿勢、心理的要素などの因子の改善が腰痛の予防となる証拠は無い。

腰痛の治療
アイシングと温熱治療:外傷の急性期を除いてアイシングの効果ははっきりした利点はない。温熱治療は中程度のエビデンスあり。