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整形外科 外科
リハビリテーション科

後縦靭帯骨化症  ossification of posterior longitudinal ligament、OPLL

 原因はよく分かっていませんが脊椎の椎体後部を縦走する靱帯が骨化する病気です。頚椎、胸椎、腰椎いずれの部位でも起こります。骨化が大きくなるとその後ろにある脊髄神経を圧迫してシビレや痛みが出ます。

 ひどくなると運動神経が傷害されて手指がうまく動かなかったり(巧緻障害)、下肢の筋力が低下して歩きにくくなります。また膀胱直腸障害を起こすこともあります。

 いずれも神経を圧迫することによって起こる症状で、疾患特有のものではありません。

 手や足のシビレや痛みを訴えて来院される方に対してレントゲン撮影を行うと見つかることがあります。その程度は様々でほんの少しのみ骨化していることもあれば、かなり大きくなって神経を強く圧迫していることもあります。 詳しく調べるためにCTやMRIを行います。

 基本は頚椎カラーなどの保存的治療ですが、症状が強くなると手術が必要となります。50歳以降の男性に多く、無症状や軽い症状で経過することが多いとされています。

 転倒や落下で麻痺症状が出ることがありますので、日常生活において注意が必要です。
 
本日のコラム567 後縦靭帯骨化症(OPLL) 頚椎

 X線単純撮影 側面
 
 MRI T2強調像 矢状断
 
 MRI T2強調像 横断像
 脊椎の構造体の一つとして椎体後面を補強するように靱帯が縦走しています。これを後縦靱帯といいます。この靱帯が骨化して肥厚する病態を後縦靭帯骨化症といいます。原因は不明です。骨化は少しずつ大きくなりまた上下にも伸展します。ただし骨化の成長自体はゆっくりなので急速に大きくなることはないとされています。

 骨化が大きくなると後方にある脊髄神経や腰椎レベルですと馬尾神経が障害されて症状が出てきます。主な症状は、脊髄症といって頚椎で起こるとボタンをはめたりする動作が上手くいかなくなります。(巧緻障害)。また歩行障害や膀胱直腸障害がでます。

 症状がある程度進行する場合は、手術を考慮します。手術は進行してしまうと現状を維持する目的となりますので、あまりひどくならないうちに行う方が良いと考えます。とはいえ、ほとんど症状がない場合は手術を急ぐ必要はありません。

 頚椎の場合、転倒などの衝撃により一気に麻痺が出ることがあります。日常生活では転倒をしたり、コンタクトスポーツは避けるようにします。