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整形外科 外科
リハビリテーション科

リウマチ類縁疾患 1.強直性脊椎炎

 強直性脊椎炎は脊椎、仙腸関節、四肢の大関節を侵す慢性進行性の自己免疫疾患です。30歳までの若年者に発症することが多く、頚部〜胸背部〜腰殿部を中心に、胸部さらに股関節、膝関節、肩関節など広範囲に炎症性疼痛を起こしてきます。ヒト白血球抗原のうちHLA-B27との関連がある。

 病状の進行と共に各関節の拘縮や強直が生じます。初期は腰背部痛。徐々に進行し、股関節、肩関節などに痛み広がる。最終的に脊椎の骨性硬直となり痛みと運動制限が起こる。痛みの性状は運動により軽快し安静によって軽快しないのが特徴。→就寝後、夜間や朝方に症状悪化。

 <早期診断指針>
 1.徐々に発症する不快感
 2.40歳以下
 3.3ヶ月以上続く頑固な腰痛
 4.関節リウマチ様の朝のこわばり
 5.運動で症状が改善
 6.付着部(炎)障害

 強直性脊椎炎の椎体は上下に骨棘が出来て腰椎の前弯が消失、椎間板も減高し椎体がサイコロ状に立方体化します。有名な竹様脊柱(Bamboo spine)は年数を経て、しかも1/3の症例に認めるだけなので、椎体が直線化して立方体となった時点で診断を確定するようにします。

 発症初期には、症状も少なくレントゲンや血液検査所見に乏しく、本人による症状の訴え(いたみ、こわばり)のみのことが多い。四肢大関節の痛みを訴えることもあり。
 リウマチ類縁疾患 2.脊椎関節炎

 脊椎の関節炎を起こす疾患の総称。脊椎関節炎には以下の疾患が含まれます。乾癬性関節炎、腸炎合併関節炎、反応性関節炎、ぶどう膜炎由来の関節炎、強直性脊椎炎、それら以外のものは未分化型脊椎関節炎といいます。

 脊椎関節炎の診断は、1.炎症性脊椎痛がある。2.滑膜炎が存在する。で行う。(ヨーロッパ分類基準)

 1.炎症性脊椎炎
 現在、炎症性背部痛(腰痛、背部痛、項部痛)があるか、その既往があり、下記の中で少なくとも4項目が合致すること。1)3ヶ月以上の持続、2)発症が45歳未満、3)発症が潜行性、4)運動により改善、5)朝のこわばり

 2.滑膜炎
非対称性あるいは下肢に優位な関節炎を認める。あるいはその既往歴。
 1)家族歴:二親等以内に家族に以下のいずれかを認める。
  強直性脊椎炎、乾癬、急性ぶどう膜炎、反応性関節炎、炎症性腸疾患
 2)乾癬:医師に診断された乾癬、あるいはその既往
 3)炎症性腸疾患:X線もしくは内視鏡にて確認されたクローン病、潰瘍性大腸炎、その既往
 4)左右交互の殿部痛
 5)靭帯炎:アキレス腱炎、足底腱膜付着部炎、その既往
 6)急性下痢症:関節炎発病一ヶ月前
 7)尿道炎、子宮頚管炎:関節炎発症一ヶ月以内に起きた非淋菌性の尿道炎、または子宮頚管炎
 8)仙腸関節炎:両側2度〜4度、もしくは片側3度〜4度のレントゲン所見のあるもの
 *0度:正常、1度:疑い、2度:軽度、3度:中等度、4度:強直

未分化型脊椎関節炎は将来、42%が強直性脊椎炎に移行するとした報告が外国であります。日本ではあまり研究されておらずしっかりとした診断が出来ていないと言われています。
 リウマチ類縁疾患 3.乾癬性関節炎

 乾癬は銀白色の鱗屑(皮膚の粉)をともない境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出る疾患です。はっきりとした原因は分かっていませんが、近年、その病態が新しい概念(TIP-DC-Th17細胞学説)のもとに急速に解明されてきています。これにより乾癬は、関節リウマチ、Crohn病とならぶ、代表的なTh17細胞性慢性疾患と考えられるようになっています。

 乾癬の1.5%に関節炎を伴います。脊椎関節炎のうち乾癬性関節炎は20%を占めます。好発年齢は25-35歳、女性にやや多い。発症は緩徐で皮疹先行型が3分の2、同時もしくは関節炎先行型が3分の1とされています。乾癬性関節炎のうち典型的なDIP関節炎は5%ほどで非対称性の小関節炎型が7割を占めます。対称性多関節炎型が10%。乾癬では爪の変形を起こすことが多い。DIPの変形はmouse ears sign (末節骨近位両端が骨増殖してネズミの耳のように丸く膨らむ)がみられます。

 治療は、活性型ビタミンD3や最近では生物学的製剤を用いることもあります。