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整形外科 外科
リハビリテーション科

外傷性頚部症候群(頚椎捻挫) traumatic cervical syndrome 

 何らかの外部からの力が加わって頚部の筋肉や靱帯を損傷すると頚の痛み、肩こり、頭痛、手のしびれなどの症状がでます。車の追突事故でよく起こりますがスポーツ障害や日常生活での転倒でも生じます。多くは自然経過で治ります。

 受傷当初は症状に合わせて頸の安静をはかります。痛みが強い場合は頚椎カラーで固定することもありますが長期間の固定はしないようにします。安静期間が過ぎれば理学療法や運動療法を行います。

 もともとケガの前から変形性頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなど頚椎の疾患がある方は症状が強く出ることがあります。

 頚部の安静期間が長すぎても治らない原因となりますので主治医とよく相談して治療方針を決めるようにしてください。

外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)

 かつて1960年代初頭には不治の病の如く「むち打ち損傷」としてマスコミがセンセーショナルに取り上げて社会問題化しました。1968年、この名称が社会および患者に様々な誤解が生じるとして「頚椎捻挫」と呼ばれるになりました。現在では外傷性頚部症候群、頚椎捻挫、頚部挫傷、外傷性頭頚部症候群などと呼ばれています。

 外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)には様々な分類がありますが、症状から5つに分けた土屋の分類がよく用いられます。

<土屋の分類>

 1.頚椎捻挫型(頸部周辺の筋・腱の痛み)
 2.根症状型(捻挫型の症状に加えて頚椎の神経根を刺激する症状→しびれ、いたみ)
 3.Baree'症状型(頭痛、めまい、耳鳴り、聴力障害、眼の疲労、視力障害、咽頭異常感などの自覚症状、主観的症状。後頚部交感神経の刺激症状とされるが原因は不明、慢性化しやすい)
 4.根症状・Baree'症状混合型'
 5.脊髄症状型(脊髄症状+)・・・現在「非骨傷性の頚髄損傷」として頚椎捻挫の範疇には入らない。

 最近ではケベック分類もよく使われるようになってきています。

<ケベック分類> 外傷性頚部症候群の重症度分類

 1.Grade0 頸部に訴えがない、徴候がない
 2.GradeI  頸部の痛み、こわばり、圧痛のみの主訴、客観的所見なし
 3.GradeII 筋・骨格徴候を伴う頸部主訴
 4.GradeIII 神経学的徴候を伴う頸部主訴
 5.GradeIV 骨折・脱臼を伴う頸部主訴

*注 筋・骨格的徴候には可動域制限と圧痛を含む
   神経学的徴候に腱反射低下や消失と感覚障害を含む
   症状や傷害は、耳が聞こえない、めまい、耳鳴り、頭痛、記憶消失、嚥下障害、側頭上顎関節痛などを含み、どのような程度に発現しても良い。