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骨粗しょう症の検査(骨密度測定 腰椎・大腿骨DEXA法)


 
 2017年4月1日より腰椎・大腿骨DEXA法(日立DCS−900F)による骨量測定(骨塩定量・骨密度測定)を開始しました。これは最も正確な測定法として、日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、骨粗鬆症財団が作成した「骨粗鬆症の予防とガイドライン2015」で推奨している方式です。

 これまで手の中手骨や橈骨で行われてきましたが必ずしも全身の個々の骨量を反映しておらず、腰椎や大腿骨の方がより正確で骨粗鬆症の把握に優れているとしています。米国では大腿骨での測定を推奨しています。実際、運用を開始して腰椎、大腿骨で測定するとこれまでの手での値と大きく異なることもあり、新たに骨粗しょう症の治療を行う方も出てきています。

 左京区では、京大病院に次いで3番目の導入でクリニックでは初となります。 京都市内でも腰椎・大腿骨でDEXA法ができる医療機関は10カ所程度しかありません。(Google調べ17.3)

 腰椎と大腿骨で骨塩量を測定する理由は、これらの部位が骨粗しょう症が進むことにより脆弱性骨折が起こりやすい場所であり、なおかつ骨折が起こると日常生活動作に大きな影響を与え、放置すると寝たきりに繋がる可能性が高いからです。
 
 
寝ているだけで測定できます。腰椎、大腿骨それぞれ40秒です。
 
 <本日のコラム246より>

 骨粗鬆症の検査は、部位によって大きく異なることがあります

 本日、骨塩定量の検査をDEXA法にて行ったところ、あまりの差異に驚きました。これまで手のMD法では骨塩量は正常と出ていた方なのですが、4月より導入のDEXAで検査しましたら、なんと著しい骨粗鬆症でした。部位によって差が出ることはよくあるのですが、これほど出るとは驚くばかりです。

 骨量測定(骨塩量)の検査は、日本骨粗鬆症学会でDEXA法で腰椎、大腿骨を測定することが推奨されています。ところが現状は殆どの方が、それ以外の方法で測定されています。健康診断などのスクリーニングは、手軽な超音波で足の踵で骨の硬さを測定します。これは、どれだけ正確なのかよく分かりませんが、実際には骨塩量では無く、骨の硬さを計っているだけに過ぎません。

 ついで医療機関ではレントゲンを使ったMD法が多く行われています。かくいう当院も2017年4月までは、この方法でした。

 DEXA法には、手関節、腰椎、大腿骨を測定する機器に分かれています。これまた多くの医療機関は、手関節でしか測定できません。当院のものを含め、腰椎、大腿骨を測定できるDEXA法の機器は全身骨塩量測定器としてホールボディTypeと分類されています。

 本日、測定した方は、MD法(左手)で骨塩量は、若年成人平均値(YAM値)97%と素晴らしい値でしたが、ホールボディDEXAで測定したところ、腰椎60%、大腿骨51%と大幅に低値を示していました。

 これまで、「骨粗鬆症はなく良い骨です」と説明してきたのが、一転して「あなたの骨は、若い人の平均と比較して半分ぐらいしかないです。かなり骨粗鬆症が進行しています、治療が必要です。」と説明することになりました。

 今後、骨粗鬆症の検査を受ける場合は腰椎・大腿骨DEXA法をお勧めします。
  

骨粗鬆症の概要 


 骨粗しょう症は骨に含まれる骨塩(主にカルシウム)が減少し、骨がスカスカになる病気です。症状は進行して骨折が起こるまでは殆どありません。骨折が起こると痛みが生じますが、それもまた軽いものから強いものまで幅があります。知らぬ間に「いつの間にか骨折」が起こっていることもよくあります。

 痛みが無く、徐々に身長が低くなるときは要注意です。骨粗しょう症が進行すると、脆弱性骨折といって、ごく弱い力が加わっても骨折が起こります。骨折がよく起こる部位としては、脊椎(胸椎、腰椎)、骨盤、大腿骨頸部、手関節、肋骨です。

 身体を支える脊椎、骨盤、大腿骨に骨折が起こると、痛みのために歩行が困難となり、放っておくと寝たきりにつながります。

<骨粗しょう症の診断>

 骨密度がYAM(若年成人平均)の70%以下の場合(原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度とする。)
 脊椎圧迫骨折または大腿骨頚部骨折の脆弱性骨折がある場合
 それ以外(手関節、肋骨など)の脆弱性骨折があり、YAMが80%未満の場合
   (骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版)

 <DEXAの適応>
 骨粗鬆症の治療を行う可能性がある
 65歳以上の女性、危険因子を有する65歳未満の閉経後から閉経周辺期の女性
  *危険因子:過度のアルコール摂取(1日3単位以上、1単位エタノール8−12g)
、喫煙、糖尿病、CKD(慢性腎臓病)、生活習慣病、食生活
 70歳以上の男性、危険因子を有する50歳以上70歳未満の男性
 脆弱性骨折を有する症例(重症度判定のため)
 低骨密度・骨量減少をきたす疾患に罹患、またはそれを引き起こす薬剤を投与されている成人 

 費用

骨粗しょう症もしくはその疑いがある場合:保険適応
健康診断の場合:自費 腰椎・大腿骨1回5000円(診察料含む)・・・骨粗鬆症の可能性が無い方が対象です。

いつの間にか骨折を予防しましょう
  
『65歳を過ぎたら「いつのまにか骨折」の検査をしましょう。』

 製薬メーカーのパンフレットから引用しました。「いつのまにか骨折」はとても分かりやすい表現だと思います。

 骨粗しょう症が進行しますと、脊椎、特に胸椎〜腰椎の圧迫骨折が起こってきます。他にも大腿骨頚部骨折や手関節の骨折などもあります。圧迫骨折は、若い人では高所からの落下など大きな力が掛かった時に発生します。一方、中高年となり、骨粗しょう症が進行するとちょっとした外力で発症します。

 尻もちなどはっきりした外傷の後に痛くなれば、まだ気がつきやすいのですが、日常生活で何も無くとも、徐々に圧迫骨折が起こることがよくあり、こういった場合は痛みは殆ど無く、いつのまにか身長が縮む、背中が丸くなるといった外見上の特徴が出るまで分かりません。

 女性の場合、男性と比較して骨量は閉経前後から急速に減っていきます。従って普通に65歳を過ぎると脊椎の圧迫骨折を起こす確率が高くなるとされています。(男性の場合は70歳)

 骨粗しょう症は、骨がスカスカになる病気ですが、若い頃にどれだけしっかりした骨を形成するか、それ以降はどれだけ減らないように心掛けるかで大きく違ってきます。若い頃から、しっかりと栄養分を摂り、適度な運動を継続して行った人は骨が強くなり、また骨の量も減りにくくなりますが、逆に偏食や過剰なダイエットなどを若い頃に行うと骨量が十分形成されず、歳とともに早く骨粗しょう症になっていきます。

 でも諦めることはありません。今からでも日常生活で食事をしっかりと摂取し、運動を行い、必要であれば、お薬を使うことにより、骨量を維持することは可能な時代になってきました。大丈夫だと過信せずに、骨の量や「いつのまにか骨折」が起こっていないかどうか調べておくことは大切なことだと思います。

 検査については、胸椎・腰椎のレントゲン撮影、骨量測定、治療を行う場合は血中カルシウム量、骨代謝マーカーを調べます。
 


(骨粗しょう症とは)

 骨粗しょう症とは@骨密度とA骨質の低下により、骨が脆く弱くなる病気です。これにより骨折を来たしやすくなってしまいます。

(どの位の患者さんがいるの?)

 全国では約1280万人の患者さんがいると推計されています(骨粗しょう症予防と治療ガイドライン2015年より)。女性のほうが多く、年々患者数は増加しています。

(原因)

 骨粗しょう症の原因は様々です。加齢、ホルモンの減少、大量飲酒・喫煙やビタミン不足、お薬の内服(ステロイドなど)が挙げられますので、一概にはいえません。きっちりと診断して治療することが重要です。

(毎年、何人くらいが骨折している?)

 国内の骨粗しょう症で生じた大腿骨の骨折発生数(近位部)は年間148,100人(男31,300人,女116,800人)と推計されています。大腿骨骨折はこんなにも多く発生しています。

 一方、背骨の骨折(椎体骨折)は、発生率が60歳代男性で5.1%、女性で14%、70歳代男性で10.8%、女性で22.2%と報告されています。70代の女性なら、およそ5人に1人に骨折が生じているという事になります。骨粗しょう症による骨折は、身近に起こりうる事を示しています。また骨折患者の多くが、お薬を投与されていないというデータもあります。

(骨粗しょう症と骨折によるリスク)

 骨粗鬆症が骨折の最大の危険因子であることは広く知られていますが、この病気は加齢進行しますので未治療で治るということは少ないと考えます。骨粗鬆症によって引き起こされる骨折,なかでも大腿骨の骨折や背骨の骨折は、移動能力や生活機能を低下させるだけではなく,死亡率も上昇させます。私もいろいろな骨折の患者さんに出会いましたが、予防がとても重要だと考えています。

(診断方法)

 以下の手順で診断を進めていきます。@診察A画像診断B血液検査(骨代謝マーカーの測定など)C骨密度測定を行います。基本的には、骨折の有無と骨密度の検査が診断の中心になります。当院では、非常に正確な骨密度の測定装置を導入しております。1度の受診で検査を終えることが出来ます。

(骨密度検査はいつしたら良いですか?)

 骨密度測定を行った方が良い方は、65歳以上の女性、70歳以上の男性、既に骨折を有する方や大腿骨近位部骨折の家族歴のある方になります。またこれだけで検査の必要性は決定できませんので、総合的に判断を行います。希望の場合は、いつでもお声かけ下さい。

(骨粗しょう症の治療)

 骨粗しょう症の原因は、先ほど述べましたとおりに様々ですので、まずはその原因を探し、治療することが一番です。単純に骨量が減少してしまっている場合は、お薬の治療を開始することになります。お薬の目的は骨折を予防し,日常生活の維持向上を目指すことです。100%骨折を防げるわけではありませんが、骨折のリスクを3〜5割程度は低下させることが可能です。

(骨粗しょう症治療薬の種類)

 大きく分けて内服製剤と注射製剤があります。また作用の仕方も10種類以上の異なるお薬がありますので、当院では患者さま一人ひとりにあったものを提案しています。勿論、骨粗しょう症の重症度や骨折の有無でも使う薬は変わりますので、病気に応じて長続きの出来る治療を行っていきましょう。

(食生活は重要でしょうか?)

 食生活ももちろん大切です。カルシウムは骨のミネラル成分の重要な栄養素であり、骨粗鬆症の予防、治療に不可欠な栄養素です。小魚、牛乳、乳製品に多く含まれます。その他、ビタミンDおよびKも摂取が好ましいです。こちらはそれぞれ、魚・納豆・緑黄野菜に含まれます。ただし摂取しすぎても取りすぎになりますので、何事も適度が大事ですね。

(運動はしたほうがいい?)

 骨やバランスの維持には、運動や筋力訓練が大切です。適切な運動は、大腿骨および腰の骨の強化に有用であることが示されています。ウォーキングはもちろんスイミング、ストレッチなどが非常に良いと考えます。当院では筋力トレーニング、リハビリテーション内容も指導致しますので、いつでも御相談ください。

(さいごに)

 少し駆け足でしたが、骨粗しょう症の勉強はいかがでしたでしょうか。ざっくりと要点をまとめていますので分からない部分や、もっと知りたい部分も有ったかも知れませんね。

 何かあればいつでも御質問ください。骨粗しょう症は非常に多く身近な病気ですが、治療が可能な病気です。しかしながら、それが余り知られておらず予防が浸透していないのが現状だと思っています。

 まずはしっかりと病気を理解していただき、早めに発見してもらう事が大切です。今後も当院からこういった情報を発信していきたいと考えております。
 

   
骨粗しょう症の予防と治療

 4月から腰・大腿骨で骨塩量を測定します。この結果をみると、60歳代で既に骨塩量がかなり減っている方があります。骨塩量は若い頃(20歳まで)に如何に増やしておくかが大切なのですが、その後は如何に減らさないかが課題となります。

 骨を丈夫にするには、運動、日光浴、食事を適切に行う必要があります。

 まず運動ですが、骨に刺激を与えるものが有効です。バスケットやバレーボール、サッカーなど走ったり飛び跳ねる運動を行うと骨が強くなります。中高年になって運動を始める場合は、散歩から始めましょう。慣れてきたら20分ほど早歩きしましょう。水泳は振動が無いので、骨粗しょう症の予防にはなりませんので、何か他の運動と組み合わせて行うようにします。

 日光浴(紫外線)は非活性型ビタミンDを活性化し骨に対する作用を行うように変化させます。日光浴をしなくても、日中の屋外に出るだけで効果があります。ただし、日焼け止めクリームや全身を布で覆ってしまうと効果が著しく減弱しますので注意が必要です。また日本各地の地形や気候によっても左右されます。

 骨を作るのに必要な栄養素は、カルシウムだけで無く、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質、ビタミンBなども必要です。これらを含んだ食事をバランスよく摂るようにします。

 カルシウムは乳製品、大豆、緑黄色野菜、海藻、魚、ごまなどに多く含まれています。日本では20歳以上の1日の平均摂取量は509mgで必要量800mgに足りず、あと牛乳200mlを飲むと良いでしょう。

 ビタミンDはカルシウムの腸管からの取り込みを促進しますので、カルシウムと一緒に食べるようにします。海の魚やきのこが多く含んでいます。

 ビタミンKは納豆、緑黄色野菜、卵などに多く含まれています。ビタミンKは骨の質を良くすると言われています。

 タンパク質は、骨のコラーゲンの材料となります。骨の質を高めます。乳製品、肉、魚、卵、大豆製品に多く含まれています。