Top Page

骨粗しょう症と予防

はじめに

 初めまして院長の池田です。長年、京都で整形外科医として数多くの患者さんを診て参りました。当医院には日々、様々な方が来院されています。頸部痛、肩こり、腰痛、膝痛に加えて、調理中に手を切った方や、転倒して足を挫いた方、スポーツをしている子ども達もやってきます。

 いずれも『痛み』を訴えて来院されることが多いです。しかし、しなくてもよいケガや病気は無い方が良いです。私もそうしたケガや病気が予防できるのであれば、最高だと日頃から思っています。

 最近では『予防する医学』が、以前よりまして重要になっています。社会全体として『予防医学』へと向かってきているのを実感されているのではないでしょうか。

 今回、この冊子は『骨粗しょう症』という病気についてまとめてみました。知って貰いたい大切な部分を書いています。骨粗しょう症は、少しずつ骨が脆くなって、骨折をきたす病気です。これまで、骨粗しょう症から足や背骨を骨折してしまった方を多くみてきました。

 特に脊椎と大腿骨の骨折は重症で、脊椎の圧迫骨折は年間およそ100万人、大腿骨の頚部骨折は年間およそ15万人と言われています。後者の多くは手術になっているという現状があります。


 こわい病気ですが、骨粗しょう症という病気を知っていただき、早期発見・治療に努めれば、こういった骨折を大幅に減らすことが出来ます。未然に悪化を防ぐことが出来る病気なのです。

 当院ではこういった『予防の医学』にも力を注いでいます。そして地域の健康に少しでも貢献していきたいと考えています。本冊子を手にとられた方々の1人でも多くが、健康に過ごせることを心から願っています。

院長

(骨粗しょう症とは)

 骨粗しょう症とは@骨密度とA骨質の低下により、骨が脆く弱くなる病気です。これにより骨折を来たしやすくなってしまいます。

(どの位の患者さんがいるの?)

 全国では約1280万人の患者さんがいると推計されています(骨粗しょう症予防と治療ガイドライン2015年より)。女性のほうが多く、年々患者数は増加しています。

(原因)

 骨粗しょう症の原因は様々です。加齢、ホルモンの減少、大量飲酒・喫煙やビタミン不足、お薬の内服(ステロイドなど)が挙げられますので、一概にはいえません。きっちりと診断して治療することが重要です。

(毎年、何人くらいが骨折している?)

 国内の骨粗しょう症で生じた大腿骨の骨折発生数(近位部)は年間148,100人(男31,300人,女116,800人)と推計されています。大腿骨骨折はこんなにも多く発生しています。

 一方、背骨の骨折(椎体骨折)は、発生率が60歳代男性で5.1%、女性で14%、70歳代男性で10.8%、女性で22.2%と報告されています。70代の女性なら、およそ5人に1人に骨折が生じているという事になります。骨粗しょう症による骨折は、身近に起こりうる事を示しています。また骨折患者の多くが、薬を投与されていないというデータもあります。

(骨粗しょう症と骨折によるリスク)

 骨粗しょう症が骨折の最大の危険因子であることは広く知られていますが、この病気は加齢により進行しますので、治療せずに治るということは少ないと考えます。骨粗しょう症によって引き起こされる骨折,なかでも大腿骨の骨折や背骨の骨折は、移動能力や生活機能を低下させるだけではなく,死亡率も上昇させます。それ故に、予防がとても重要だと考えます。

(診断方法)

 以下の手順で診断を進めていきます。@診察A画像診断B血液検査(骨代謝マーカーの測定など)C骨密度測定を行います。基本的には、骨折の有無と骨密度の検査が診断の中心になります。当院では、非常に正確な骨密度の測定装置を導入しております。1度の受診で検査を終えることが出来ます。

(骨密度検査はいつしたら良いですか?)

 骨密度測定を行った方が良い方は、65歳以上の女性、70歳以上の男性、既に骨折を有する方や大腿骨近位部骨折の家族歴のある方になります。またこれだけで検査の必要性は決定できませんので、総合的に判断を行います。希望の場合は、いつでもお声かけ下さい。

(骨粗しょう症の治療)

 骨粗しょう症の原因は、先ほど述べましたとおりに様々ですので、まずはその原因を探し、治療することが一番です。単純に骨量が減少してしまっている場合は、お薬の治療を開始することになります。お薬の目的は骨折を予防し,日常生活の維持向上を目指すことです。100%骨折を防げるわけではありませんが、骨折のリスクを3〜5割程度は低下させることが可能です。

(骨粗しょう症治療薬の種類)

 大きく分けて内服製剤と注射製剤があります。また作用の仕方も10種類以上の異なるお薬がありますので、当院では患者さま一人ひとりにあったものを提案しています。勿論、骨粗しょう症の重症度や骨折の有無でも使う薬は変わりますので、病気に応じて長続きの出来る治療を行っていきましょう。

(食生活は重要でしょうか?)

 食生活ももちろん大切です。カルシウムは骨のミネラル成分の重要な栄養素であり、骨粗鬆症の予防、治療に不可欠な栄養素です。小魚、牛乳、乳製品に多く含まれます。その他、ビタミンDおよびKも摂取が好ましいです。こちらはそれぞれ、魚・納豆・緑黄野菜に含まれます。ただし摂取しすぎても取りすぎになりますので、何事も適度が大事ですね。

(運動はしたほうがいい?)

 骨やバランスの維持には、運動や筋力訓練が大切です。適切な運動は、大腿骨および腰の骨の強化に有用であることが示されています。ウォーキングはもちろんスイミング、ストレッチなどが非常に良いと考えます。当院では筋力トレーニング、リハビリテーション内容も指導致しますので、いつでも御相談ください。

(さいごに)

 少し駆け足でしたが、骨粗しょう症の勉強はいかがでしたでしょうか。ざっくりと要点をまとめていますので分からない部分や、もっと知りたい部分も有ったかも知れませんね。

 何かあればいつでも御質問ください。骨粗しょう症は非常に多く身近な病気ですが、治療が可能な病気です。しかしながら、それが余り知られておらず予防が浸透していないのが現状だと思っています。

 まずはしっかりと病気を理解していただき、早めに発見してもらう事が大切です。今後も当院からこういった情報を発信していきたいと考えております。