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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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血友病性膝関節症 Hemophilic knee arthropathy 血友病性膝関節症(Hemophilic knee arthropathy)は、血友病患者において膝関節内に繰り返し出血が生じることで、滑膜炎や関節軟骨の変性、骨破壊を引き起こす慢性関節障害です。主に膝、肘、足関節などの荷重関節に好発し、関節の腫脹、疼痛、可動域制限、変形などを呈します。 関節内出血によって関節腔内にヘモジデリンが沈着し、滑膜の慢性炎症や血管新生を誘導することで滑膜増殖が進行します。これにより関節内の構造が破壊され、進行性の関節症へと移行します。近年では、定期的な凝固因子補充療法の普及により、関節症の発症頻度は減少傾向にありますが、依然として出血のコントロールが不十分な症例では関節障害が進行することがあります。 とくに、半年間に3回以上同一関節に出血を繰り返す場合は「ターゲット関節」と定義され、滑膜切除術の適応となります。関節変形が軽度であれば、関節鏡視下滑膜切除術が選択されます。一方、関節破壊や変形が高度な場合には、人工膝関節置換術(TKA)が有効とされており、近年では周術期の凝固因子補充管理が確立されたことで、安全に手術を行うことが可能となっています。 関節内出血が生じた際には、速やかな凝固因子の補充が最優先となります。加えて、安静入院、患部の牽引、装具の使用、杖の併用などを組み合わせて、関節への負荷を軽減し、炎症の進行を抑えることが重要です。関節内注射や理学療法を行う際にも、事前の止血管理が不可欠です。 また、近年では関節障害の早期発見と進行度評価のために、超音波(HEAD-US)やMRI、Hemophilia Joint Health Score(HJHS)などの評価指標が用いられています。これらを活用することで、臨床的に明らかな関節症に至る前の段階で介入が可能となり、患者のQOL維持に寄与しています。 血友病性関節症における関節評価スコア 比較表
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