手のしびれ、麻痺 Numb hands
手のしびれや麻痺は脳から末梢神経までさまざまな病気で起こります。神経障害が起こると、損傷部位が支配している末梢部分に症状がでます。これらを鑑別し障害部位を特定し治療にあたります。
脳障害で起こる麻痺は一側の上下肢全体に起こることが多く、いわゆる半身麻痺の形を取ります。(例外もいろいろあります。)
脊椎での損傷は脊髄とそこから末梢に出ている根部の障害で症状が異なります。脊髄が傷害されると下部は麻痺や感覚障害が出ます。また障害の程度が強いと膀胱直腸障害が起こります。根障害は分布している部位の麻痺や感覚障害が出ます。
更にそれより末梢になると上肢の場合、正中神経、橈骨神経、尺骨神経に別れ、それぞれ特有の症状を呈します。また走行部位の障害場所によって症状が異なります。特異的な部位で絞扼されるものにそれぞれ病名がついています。
正中神経では手関節にところで絞扼されると手根管症候群、尺骨神経は肘では肘部管症候群、手関節レベルではギヨン管症候群と言います。
これら絞扼性末梢神経障害については別項で解説します。
口周りのしびれは脳梗塞かも知れません。→ただちに専門病院へ
朝、目が覚めたら口の周りがしびれていた。これは重要な症状で脳梗塞が生じた可能性が高いので最寄りの専門病院をただちに受診するようにしてください。MRIの検査をするとわかりません。超早期だとCTでは所見が無いことがありますので要注意です。口周りのしびれに加えて、片側上肢のしびれ感がでていれば、まず脳梗塞です。上肢のしびれは口のしびれに遅れて出てくることがあります。
さて、上肢のしびれだけだとどうでしょう?これは整形外科にも来院される可能性があります。
朝起きたら、急にしびれていた。このような場合は、まず脳梗塞の有無を検討します。脳梗塞は急に症状が出ます。そして徐々に進行することがあります。
ある日突然、起こった場合は脳梗塞を疑いただちに最寄りの専門病院へ行きます。ここでもたもたしていると脳梗塞の治療が十分できないので、可能な限り、早く受診することです。かかりつけ医の先生に診てもらうより直接、専門病院を救急受診した方が良いです。
手指だけのしびれ、尺骨神経のみの障害、橈骨神経のみの障害、通常は頚椎以下の末梢神経の障害とされる神経症状でも、特殊な脳梗塞では、同じ症状を起こすことがありますので、くれぐれも間違わないようにしてください。急速に起こった場合は、脳梗塞の可能性があります。
エビデンス:突然発症のしびれ・麻痺は脳卒中を疑い緊急対応を
脳卒中の診断は臨床症状と画像検査に基づき、急性期には迅速な再灌流療法(血栓溶解・血栓回収)が後遺障害を減らすと報告されており、突然生じた局所神経症状は脳卒中を念頭に置いた迅速な評価が重要とされています(Campbell ら. Lancet. 2020)[1]。
エビデンス:治療は時間との勝負(発症から治療までが短いほど良好)
急性虚血性脳卒中では、発症から治療開始までの時間が短いほど機能的予後が良好であることがメタアナリシスで示されており、症状に気づいたら可能な限り早く専門医療機関を受診することが勧められます(Kaesmacher ら. JAMA. 2024)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Campbell BCV, Khatri P. Stroke. Lancet. 2020;396(10244):129-142. PMID: 32653056.
- Kaesmacher J, Cavalcante F, Kappelhof M, et al. Time to Treatment With Intravenous Thrombolysis Before Thrombectomy and Functional Outcomes in Acute Ischemic Stroke: A Meta-Analysis. JAMA. 2024;331(9):764-777. PMID: 38324409.
参考:『脊椎脊髄・神経筋の神経症候学の基本』 / 『整形・災害外科 2022.4臨時増刊号 末梢神経』 / 『総合診療』2023年2月号 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2023.12 目で見て学ぶ脊髄・末梢神経疾患の診察法』 / 『手外科診療ハンドブック 改訂第3版』