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整形外科 外科
リハビリテーション科

Volkmann拘縮 Volkmann contracture

 Volkmann拘縮は前腕のコンパートメント症候群のことです。小児の肘周辺の外傷に伴うことが多いです。コンパートメント症候群のなかで一番多く、肘周辺〜前腕の骨折や打撲等により強い腫れや内出血が生じ筋肉内の微小循環障害が生じ筋肉や神経の壊死が起こります。古典的な所見としては、5P、すなわち疼痛Pain、蒼白Palior、麻痺Paralysis、知覚異常Paresthesia、脈拍消失Pulslessnessですが、麻痺は末期症状であり、脈拍消失は必ずしも伴わず、遠位の脈拍は正常であることが多く診断を誤らないようにしなければなりません。

 疼痛は強く痛みで指が動かせないほどであり、消炎鎮痛剤もほとんど効かないと言われています。阻血時間が6時間を越えると手術を行っても後遺症が強く残ることがありますので迅速な対応が必要です。従って夜中に著しく痛くなってきたら朝まで待つのではなくただちに主治医や救急病院を受診するようにしてください。


 骨折等の外固定後に内部が腫れて相対的に締まってしまった場合は、ただちにギブスや包帯等を除去してみます。それで諸症状が改善すれば経過を見るようにします。外的なものを除去しても症状が変わらないもしくは芳しくないと判断される場合は筋肉内の圧を測定します。内圧測定で40mmHgを越える場合は筋膜切開などの減張切開が必要となります。

 教科書に載っている点滴セット等を用いた測定法はかなり難しく(測定値にばらつきがある)、圧トランスデューサーを用いると正確に出るとされています。

 コンパートメント症候群が疑われる場合は患肢を心臓と同じ高さにします。挙上すると動脈圧が下がって悪化します。