前腕骨骨幹部骨折 antebrachial bone fracture
前腕骨は橈骨と尺骨で構成されておりいずれかもしくは両方が骨折します。乖離しているものは徒手整復して安定性が悪ければ手術を行います。
特殊な骨折としてMonteggia骨折、Galeazzi骨折があります。
1.Monteggia骨折
尺骨近位1/3の骨折と橈骨頭の脱臼(腕橈関節脱臼)を合併します。橈骨頭の脱臼を見逃して陳旧化すると治療が困難となります。受傷初期に徒手整復がうまくいくと脱臼もまた収まります。小児Monteggia骨折では若木骨折や急性塑性変形が見逃してはいけません。
2.Galeazzi骨折
橈骨の中1/3から遠位1/3で骨折し尺骨が折れない場合に尺骨頭が脱臼もしくは亜脱臼することを言います。
Monteggia骨折 vs Galeazzi骨折 比較表
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項目 |
Monteggia骨折 |
Galeazzi骨折 |
|---|---|---|
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骨折部位 |
尺骨骨幹部(近位1/3) |
橈骨骨幹部(遠位1/3) |
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脱臼部位 |
橈骨頭(近位橈尺関節) |
尺骨遠位端(遠位橈尺関節) |
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語呂合わせ |
「門は戸だ」→門(Monteggia)=戸(橈骨頭脱臼) |
「ガレージは車庫だ」→Galeazzi=尺骨(車庫)脱臼 |
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小児での頻度 |
小児に多く、Bado分類Type Iが最多 |
小児では稀だが、合併例も報告あり |
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合併症 |
橈骨神経麻痺(特に深枝) |
尺骨神経麻痺(報告は少ない) |
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治療の基本方針 |
尺骨整復により橈骨頭整復を目指す |
橈骨整復+遠位橈尺関節の安定化が必要 |
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整復困難時の対応 |
観血的整復(輪状靱帯の嵌頓など) |
遠位橈尺関節の固定やDarrach手術など |
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分類 |
Bado分類(Type I〜IV) |
Galeazzi Type I(遠位1/3)・Type II(近位1/3) |
エビデンス:モンテジア骨折は橈骨頭脱臼を見逃しやすい
モンテジア骨折では橈骨頭の脱臼・亜脱臼が最も見逃されやすい所見とされ、見逃して陳旧化すると治療が困難になるため、尺骨骨折に橈骨頭脱臼の合併がないか注意が必要です。(Mathur N ら. Emerg Radiol. 2020)[1]。
エビデンス:ガレアッツィ骨折のDRUJ予後
ガレアッツィ骨折では、橈骨を解剖学的に整復固定(ORIF)し尺骨の適切な整復が得られれば、遠位橈尺関節(DRUJ)の長期予後は良好と報告されています。(Donndorff AG ら. Hand Surg Rehabil. 2021)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Mathur N, Lau KK. Monteggia fracture: an easy fracture to miss. Emerg Radiol. 2020;27(4):377-381. PMID: 32086608.
- Donndorff AG, Petrucelli EM, Gallucci GL, Boretto JG, Zaidenberg EE, Rellán I, De Carli P. Galeazzi fracture-dislocations: Long-term prognosis of the distal radioulnar joint. Hand Surg Rehabil. 2021;40(5):572-578. PMID: 33991703.
参考:『関節外科』2022年6月号 / 『関節外科』2023年4月号