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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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小児内反膝(O脚) pediatrics bowlegs O脚は日常診療でよく見かける疾患です。O脚は生理的なものと病的なものがあり、前者は成長と共に自然に戻ります。小児では、生後1歳半〜2歳ごろまではO脚で、その後X脚となり、7歳頃に成人と同じ下肢アライメントになっていきます。従ってO脚が年齢相応の生理的な範囲以内であれば生理的と判断し治療の対象とはなりません。変形が生理的範囲を超えて高度な場合は、原因を明らかにして基礎疾患によっては治療が必要となります。 変形が強いO脚でもレントゲンで病的変化を認めない場合は、生理的O脚であり、多くは自然矯正されます。O脚の治療は原因疾患により、経過観察、装具療法、手術療法に分けられます。 <小児O脚の分類> 1.生理的なもの 2.病的なもの A.靱帯の異常によるもの 1.先天性欠損あるいは弛緩 2.外傷 B.大腿骨あるいは脛骨、もしくはこれら両方の変形によるもの 1.先天性発育性欠陥によるもの 2.疾病によるもの a.Blount病 b.くる病 c.骨形系統疾患 d.腫瘍および腫瘍類似疾患 e.骨髄炎 3.外傷によるもの a.骨端線損傷 b.骨幹部外傷 c.手術あるいは放射線治療による障害 <O脚を呈する疾患> ポイント:O脚が年齢相応かが大切(1歳半〜二歳頃までは生理的O脚で3-4歳になってもO脚であるのは病的)、病的O脚のほとんどがレントゲン撮影で診断可能 1.Blount病 脛骨の骨端軟骨の成長障害で骨の内側が成長せずに外側ばかりが伸びるので内側に曲がっていきます。成長障害の原因は分かっていません。が、骨端部や骨端周辺の内側の成長障害がみられます。少期にO脚を起こす代表疾患です。発症年齢により幼年期型(1-3歳で発症)と思春期型(6-8歳で発症)に分けられます。治療は装具療法を行い、経過中に進行するものは手術を行います。 2.くる病 くる病は通常一歳を過ぎた頃から四肢の変形や小人症が明らかになってきます。O脚変形が多いのですがX脚となることもあります。原因はカルシウムまたはリン酸の摂取不足、ビタミンD代謝障害、ビタミンDへの抵抗性などがあります。ビタミンD欠乏によるくる病は最近増えてきています。日光浴不足や完全母乳栄養によるビタミンD不足が起こっているとされています。 いずれのタイプのくる病も活性型ビタミンDなどの投与を行い治療します。 3.骨系統性疾患 骨軟骨無形成症、骨幹端異形成症(Schmid型)、偽性軟骨無形成症など。遺伝性のものが多いので家族歴の聴取が重要です。 4.骨端線損傷を伴う外傷 その後の成長とともに変形が生じてくることが多い。大腿骨遠位や脛骨近位の骨端線内側に損傷が起これば、成長するにつれて進行性のO脚変形を起こします。 <治療> 小児O脚の治療は原則として、明らかな原因疾患がなければ経過観察をします。観察中に、変形が進行するもの、改善のみられないものは治療の対象となります。まずは装具治療を行います。装具には、足底装具、靴型装具、短下肢装具、長下肢装具などがあります。装着期間は最低でも6ヶ月間は必要で、O脚の改善をみながら徐々に外します。 6-7歳までは装具による治療が期待できるためにそれ以降に変形が残る場合や進行するケースでは手術を考慮します。Blount病は四歳以降で変形が強い場合は手術を行った方がよいとされています。 (参考:小児内反膝 稲葉裕 MB Orthop.28(10):105-112.2015.) |
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