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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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上腕骨遠位部骨折 distal humeral fracture 肘周辺の骨折には上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、上腕骨内側上顆骨折、上腕骨通顆骨折、橈骨頭骨折などがあります。橈骨頭骨折は別項で解説します。 上腕骨遠位部の折れた部位により上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、上腕骨内側上顆骨折、上腕骨通顆骨折に分けられます。 1.上腕骨顆上骨折 上腕骨遠位には内顆と外顆という膨らみがあるがそこよりやや中枢側での骨折をいいます。大人には少なく、ほとんどが6-7歳をピークとした中学生までに起こります。転倒などで肘を伸ばしたまま手をついて過伸展することによって生じます。症状は腫れを伴った肘の痛みを訴えます。神経や血管の損傷を起こすことがあるので注意が必要です。如何に内反肘変形を防ぐかが重要で、内反・回旋転位を伴っている場合は麻酔下に整復し経皮的ピンニングを行うようにします。 診断はレントゲン撮影を行います。関節内血腫等の判断は超音波断層撮影が優れています。 治療:転位がなく神経障害や血管障害のないものは肘関節屈曲位でギプスシーネ固定 2-3週間します。転位のあるものは徒手整復を行います。正面・側面で転位のあるものは麻酔下に透視を使いながら徒手整復します。経皮ピンニングを行うことが多いです。昔は入院してベッド上で牽引治療を行いましたが今はほとんど行われていません。受傷から時間経過しており腫れが強く徒手整復が困難な場合、緊急で手術が行えない場合などで直達牽引を行います。(介達牽引は皮膚障害が必発であること、腫脹が高度な場合や血流障害が疑われる場合は橈・尺側側副動静脈からの側副路が圧迫されてVolkmann拘縮を起こすことがあるので行わない。) 合併症 Volkmann拘縮、内反肘変形、屈曲制限、遅発性尺骨神経麻痺、後外側回旋安定肘、反復性橈骨頭後方脱臼 2.上腕骨外顆骨折 上腕骨の外顆で骨折します。成人ではまれで小児(2-10歳)がほとんどです。 治療:転位が2mm以内のものはギブス固定。転位がmm以上ある場合は手術を行います。(術者によって手術適応の幅あり) 3.上腕骨内側上顆骨折 上腕骨内側上顆の骨折。小児に多い。転位なしの場合、三角巾で2-3週間固定。5mm以下の転位ではギブスシーネ固定。遠位に転位例が多く手術を要します。tension band wiring 成人ではスクリューを用います。 4.上腕骨通顆骨折 子供ではまれです。上腕骨顆上骨折が関節に掛からない骨折であるのに対し、通顆骨折はより遠位の肘関節寄りで関節に掛かる骨折です。 高齢者が転倒して直接肘を打って骨折することが多いです。転位がある場合は手術行います。 |
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小児上腕骨顆上骨折 治療の原則:初診時単純レントゲン撮影で整復が必要な場合は麻酔下にCRPP(非観血的整復&経皮的鋼線固定術 closed reduction & percutaneous pinning)を行います。転位が軽度でも整復を行う場合はCRPPを行う。転位が明らかなものは手術を行い、麻酔や、手術が不可能な場合は直達牽引を行います。 骨折部の内側皮質の第3骨片や粉砕がある場合は骨折部が不安定で内反肘変形を起こしやすいので手術を行います。神経血管損傷が強く疑われる場合や開放骨折は緊急手術の絶対適応となります。 転位の無い場合は保存的に治療します。長上肢ギブスもしくはスプリント固定を行います。(ほか、カラー&カフ法)原則、長上肢ギプスを行いますが腫れが強い例やアトピーが強い場合はスプリント固定とします。ギプスは上腕近位からMP関節まで肘は90°、前腕中間位〜軽度回外位で巻きます。巻き換えは小児ほど腫れが引きやすいので頻回とします。1歳未満は週二回、1-7歳は週1-2回。特に1-3週間は骨折部の転位をしやすいので外来受診毎にレントゲン撮影で整復位の評価を行います。4週間でギプス除去、その後スプリント固定を2週間します。 スプリント中は入浴時に外して可動域訓練を行うようにします。 スプリント除去後の後療法は、可動域訓練として日常生活動作として肘をしっかり伸ばし屈曲するように心がけてもらいます。肘の可動域制限は特に伸展制限が数ヶ月続きますがほどんどの場合で受傷後約6ヶ月で可動域制限は消失し左右差が無くなります。外来通院によるレントゲン評価は1-2年以上行うようにします。 |
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上腕骨外側顆骨折や顆上骨折後の fishteil deformity 上腕骨外側顆骨折や顆上骨折後に上腕骨滑車の無腐性骨壊死が骨折時の転位の程度に変わらず、受傷後数年を経て起こる変形。 外傷歴を確認し、二次的な骨軟骨損傷が発生しないように運動制限を行い指導することが必要としている。 |