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整形外科 外科
リハビリテーション科

腰椎椎体終板障害 disturbance of the vertebral end plates

 椎体終板は脊椎の椎体と椎間板に挟まれてある厚さ1mm程度の軟骨です。椎間板の構造はバームクーヘンのような線維輪の中心部にゲル状の髄核が入っています。その上下に蓋をするように終板があります。終板の反対側は椎体に接しています。

 この終板が障害されると腰痛が生じます。診断はMRIによるmodic分類で行います。この分類は実は終板ではなく接する椎体の画像上の変化を見ています。typeI.II.IIIとあります。

 typeIはT1WIで低信号、T2WIで高信号(骨髄浮腫)を示します。同じくtypeIIではそれぞれ高信号(脂肪変性)となります。typeIIIは両方とも低信号(骨硬化)となります。

 この一連の変化は、炎症が起こって周りに波及して骨髄が浮腫を起こす→収まってきて脂肪変性する→最後に骨が硬くなるといった変化を示しています。痛みは浮腫が起こっているtype1で起こります。治療は保存的な治療を行います。痛みが強い時は固定する手術を行うことがあります。
 
 *modic type1型と初期の化膿性脊椎炎は画像診断だけでは鑑別できない。血液検査や臨床症状で判断します。
 


 L1/2レベルで椎体の終板障害modic typeIIを認める。L3、L4上縁も一部椎体の脂肪変化あり。L1/2 2/3 3/4 4/5で椎間板変性と椎間板ヘルニア
 


 L3/4 レベルで椎体終板障害 modic type I
  
本日のコラム107 大人の腰椎終板障害と小児期の後方型腰椎終板障害(発育期終板障害)

 大人と発育期の子供に起こる終板障害は、まったく別物と考えた方がよい。

 終板とは、椎間板の上下端にある1mm程度の軟骨板をいいます。いずれも腰痛の原因となります。大人の終板障害は、画像診断では変化が無く、MRIにおいて椎体の所見の変化をmodic change として分類します。椎体の前方の変化が大きいのが特徴です。

 一方、小児期の後方型腰椎終板障害(発育期終板障害)は、椎体の上下に骨端核と成長軟骨(骨端線)があり、これがスポーツなどで大きな力が加わり損傷すると、主に後端において軟骨が裂離してしまい、腰痛やすべり症の原因となることがあります。また大人になって小児期の終板障害のために慢性の腰痛を起こしていることがあります。

 診断は腰椎MRIとCTを行います。特に解離骨片の有無はCTの方が分かりやすく、軟骨損傷はMRIにて確認します。

 小児期の後方型腰椎終板障害(発育期終板障害)では、急性期の治療は運動を休止し患部を安静に保つことです。腰部軟性装具を装着します。予防は、体幹のストレッチが有効です。(キャットポーズ体操、くねくね体操)

 解離骨片が骨癒合しなくても痛みが改善する場合もあれば、保存療法にて効果が無い場合もあります。

 下肢症状が強い場合は、 tight hamstrings が残存し競技復帰に影響を与えるため、早期の手術も選択肢となります。