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信頼とまごころの医療 
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整形外科 外科
リハビリテーション科

帯状疱疹 herpes zoster

子供の頃に罹る水疱瘡は1週間ほどで自然に治りますが、この水痘ウイルスは感染後も体の中に居続け、体力が落ちたときなどに神経に沿って増殖し水数出します。

整形外科では、背中の痛みや肋部の痛みを訴えて来院されることが多いです。発疹が出ていると診断は難しくありませんが、発症初期は痛みだけで発疹が出ていないこともたびたびあります。

したがって発疹が無いから帯状疱疹ではないと判断すると後で発疹が出てきて恥ずかしい思いをしますから、初診時に必ず発疹が出る可能性について説明をします。

痛みが出て数日以内に発疹が出たらすぐに来院してもらうようにします。(一般的に痛みは発疹より3-7日先行します。)

いまは良く効く抗ウイルス薬があります。ひどくならないうちに使用すれば、それほど悪化せずに治療できます。

数~10%に後遺症としてびりびりとした神経痛が残ることがあります。多くは徐々に改善していきますが、時に強い痛みが残存することがあり、この場合は根気よく治療をすることが大切です。(帯状疱疹後神経痛)

帯状疱疹後の偽性ヘルニア

1️⃣ 帯状疱疹後に腹壁が局所的に膨隆して “ヘルニアのように見える” が、臓器脱出はなく外科的ヘルニアではない。

2️⃣ 原因はウイルス再活性化による神経運動枝の麻痺で、腹直筋・腹斜筋・腹横筋の片側性筋力低下が起こる。

3️⃣ 膨隆は立位・腹圧で増強し、仰臥位で軽減するのが特徴。
4️⃣ 皮疹はすでに治癒していることが多く、患者が帯状疱疹の既往を忘れている例もある。

5️⃣ ヘルニア門を触れず、CT/エコーで臓器脱出像がないことが最大の鑑別点。

6️⃣ 腹壁反射低下と片側腹部筋の萎縮・菲薄化が多く、神経伝導検査で脱神経所見が示されることがある。
7️⃣ 手術適応はなく、神経再支配の回復を待ちながら保存療法が原則

8️⃣ 回復には2〜12か月を要することが多く、高齢者・糖尿病では遷延しやすい。

9️⃣ リハビリは腹横筋・腹斜筋の選択的トレーニングで非対称性を抑えて進行予防を図る。

「ヘルニアではなく神経麻痺による一時的な腹壁膨隆で、自然回復が期待できる」ことを説明すると患者満足度が高い。

痛みの表現はひとりひとり異なります。肋間神経痛はとくに言い表しにくく、慎重な判断が必要です。

◆ 肋間神経痛の痛みを表現すると(総論)

胸の横〜脇〜背中へ帯のように走る“刺す・焼ける・電気が走るような痛み”が出たり、動いた瞬間に息をのむほど鋭い痛みが走る感覚


◆ 「痛みの質」を示す表現

以下の語がよく一致する:

  • 刺すような痛み(stabbing pain)

  • 電気が走るような痛み(shooting pain / electric shock-like pain)

  • 焼けるような痛み(burning pain / scalding pain)

  • ピリピリ・ビリビリする痛み(tingling / stinging pain)

  • こすられたような・皮膚が痛む感じ(allodynia / hypersensitivity)

  • ズキッと瞬間的に走る痛み(sharp jolt-like pain)

※神経障害性疼痛の典型描写に近く、筋肉痛・肋軟骨炎とは異なる表現が多い。


◆ 「痛みの部位・広がり」の特徴的表現

  • 脇腹から胸の前・背中へ“帯のように”痛む

  • 一本の線のように同じルートを沿って痛みが走る

  • 皮膚の表面から奥のほうまで痛む感じ

  • 左右どちらか片側だけ

→ 解剖学的なデルマトームに沿う走行と合致。


◆ 「誘発・増悪に関する表現」

肋間神経痛を最も特徴づける回答になりやすい:

  • 体をひねった瞬間にビリッと走る

  • くしゃみ・咳の時に胸の横に激痛が走る

  • 深呼吸をしたときにズキッとする

  • 寝返り・姿勢の変換で突き刺さる

  • 大きな声で笑っただけで痛みがくる

胸郭運動と一致して悪化するという点が鍵。


◆ 「持続・頻度」に関する表現

  • 普段は鈍い痛みだが、時々強烈な痛みが走る

  • ずっとヒリヒリしているが、動くと一気に激痛になる

  • 安静でも痛むが、動くと特に強い

  • 夜に横向きに寝ると痛みが強くなる

安静時痛 / 体動時痛が混在する症例が多い。


◆ 「皮膚感覚の異常」に関する表現

神経痛を疑う決定的なキーワードになる:

  • 服がこすれただけで痛い

  • 触られるだけでビリッとする

  • 皮膚が過敏で、少し触れても痛い

  • 冷たい風に当たるだけで痛みが強くなる

  • 皮膚感覚がおかしい・しびれる・麻痺が混ざる感じ

アロディニア/異常感覚/感覚過敏の所見に一致。


◆ 「患者が医療者に勘違いを起こさせやすい表現」

肋骨骨折・内臓痛・胃痛と間違われやすい:

患者表現 実際の可能性
胸が痛い 神経走行痛を“胸痛”と表現しがち
脇腹が締め付けられる 帯状の神経痛による感覚
肋骨の骨が折れているみたい 神経痛でも鋭痛が持続すれば骨折の印象に
心臓が痛い感じがする 左側肋間神経痛 → 心臓痛と誤解しやすい