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信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして |
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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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<マレットフィンガー(槌指)> いわゆる「突き指」ですが、その成因により2つ(骨性、腱性)に分けられます。 1.腱損傷 小さい裂離骨折伴う場合でも、指の伸展が出来ないものは、腱損傷として扱います。損傷後、1ヶ月前後でも保存治療は可能とされています。DIP軽度伸展位で8週間の長期にわたるスプリント固定(もしくは装具)を行います。この期間は、勝手に外してはいけません。医師の指示での脱着は可能です。 2.骨片を伴うもの(関節内骨折) 指の伸展機構には障害が無いので伸展は可能です。骨片が大きくとも転位が少ない場合は、保存治療が可能。この場合、やや屈曲位で固定。骨癒合は約8週間。期間中にずれる場合は手術。転位のある大きな骨片や掌側へ亜脱臼する場合は保存治療ではなく手術を行います。 マレットフィンガーの分類 a:伸筋腱の断裂(骨片なし) b:小さな裂離骨折を伴い、指の伸展が出来ないもの c:関節面の3分の1以上の骨片を伴うもの。(骨片と末節骨とは骨膜がつながっているので伸展可能) d:大きな骨片を伴い、掌側への亜脱臼を伴うもの |
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<槌指 mallet finger> 突き指は軽症から重症まで幅が広く、様子を見ているうちに変形が残ったり動きにくくなるといった後遺症が出ることがあります。 指が曲がっていたり、伸びなかったり、腫れて痛みがある場合などは、受診する方が良いでしょう。 「突き指(槌指)」は腱の断裂を伴う場合と、骨折を伴う場合があります。それぞれ腱性槌指、骨性槌指といいます。 1.腱性槌指→腱の損傷を伴うもので、完全断裂と不完全断裂があります。完全断裂は全く伸展が困難で深めの屈曲位(50-60度)を取っています。部分断裂は5-20度ぐらいの屈曲位で少し伸展出来ます。 小さい裂離骨折伴う場合でも、指の伸展が出来ないものは腱損傷として扱います。裂離骨片の大きさと伸展障害の程度は必ずしも一致しない。 損傷後、1ヶ月前後でも保存治療は可能とされています。但し治療期間が長くなったり治らないことも多くなります。時間が経っていても諦めずに、まずは伸展固定をしてみると良い。 2.骨片を伴うもの(関節内骨折) 指の伸展機構には障害が無いので伸展は可能です。骨片が大きくても転位が少ない場合は、保存治療が可能。この場合、やや屈曲位で固定。骨癒合は約6−8週間。 期間中にずれる場合は手術。PIP関節がスワン・ネック変形をしDIP関節が屈曲位を取る場合、転位のある大きな骨片や掌側へ亜脱臼する場合、他動的に伸展出来ない場合は保存治療ではなく手術を行います。 関節面の30%以上(40%と言う意見もある)で骨折している場合は手術。 固定方法:DIP軽度伸展位で6−8週間のスプリント固定(もしくは装具)を行います。この期間は勝手に外してはいけません。外して曲げてしまったら最初から固定期間の数え直し(固定1日目に戻る)になります。医師の指示での脱着は可能です。 固定後、2-3週間ほど夜間のみ装着を推奨する意見もあります。6−8週間の固定後、固定はそのままで1日3回外して可動域訓練2−3週間徐々に行う方法もあります。 *固定終了後、可能であれば2−3週間程度、夜間のみ固定具を使用することが推奨されています。 *固定具による差は無いとされています。(コクランレビュー) *末節骨の骨折はX線上の完全な治癒には5ヶ月ほど要する。 マレットフィンガーの分類 a:伸筋腱の断裂(骨片なし) b:小さな裂離骨折を伴い、指の伸展が出来ないもの c:関節面の3分の1以上の骨片を伴うもの。(骨片と末節骨とは骨膜がつながっているので伸展可能) d:大きな骨片を伴い、掌側への亜脱臼を伴うもの ■治療開始が遅れた場合■ 何らかの理由で治療開始が遅れることがあります。受傷2−3ヶ月以内であれば、多くの場合で治療可能とされています。DIP伸展位固定を8−20週継続します。治療開始までの時間が長いほど治りにくい。 予後は良くない。数週間の固定後、症状が持続する場合は手術による修復が有効。槌指の状態を放置すると、スワンネック変形を起こす。(PIP過伸展、DIP屈曲) <合併症> 1.伸展不全(extenser lag) 伸展障害が残ること。更に6週間伸展固定を継続すると改善することがあります。特に骨折部位にギャップがあり骨が延長して治るような場合は伸展不良が出やすい印象があります。 しかしながら多少屈曲していても多くの患者には許容できると言われています。 →完全に治るのが望ましいが、外傷ではなかなか元通り完璧ということにはならない。 2.その他 疼痛、知覚過敏、しびれ感など |
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突き指(腱性、骨性槌指) mallet finger <装具治療のポイント> 腱性槌指:DIP軽度伸展位で8週間固定。装具装着8週目より10回/日でDIP関節の自動屈曲運動を開始、9週目からは1日2セット。装着後10週から12週は夜間のみ装具を装着します。経過中、伸展角度が悪化する場合は、前のステップに戻して、固定期間を延長します。 陳旧性腱性槌指:まずは伸展位固定を試してみます。(陳旧例の手術の成績は安定していない)、不良角度の改善は期待できます。 骨性槌指:DIP伸展位での固定。6週間ほどで改善することも多い。骨癒合が得られなくとも、線維性癒合が得られDIPが伸展できれば問題なし。当初の腫脹が強い場合は、徐々に伸展位をとるように工夫します。 *治療中にPIP関節が過伸展となっていくことがあり、この場合は、PIP関節に伸展制限装具を装着します。PIP関節窩伸展を予防するために、当初2週間、DIP関節伸展位、PIP関節屈曲位でアルフェンスシーネ固定を行う施設もあります。 参考文献:整形・災害外科60:35-42 2017 手指の腱損傷治療における装具治療 森崎裕 |
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■Seymour骨折■ Salter-HarrisI型、II型の亜型としてSeymour骨折があります。小児の突き指で起こる末節骨の骨折により爪基部の爪母を突き破ってしまい開放骨折として対応が必要となります。 すなわち、デブリードメント、爪の除去・洗浄、爪の再留置、抗菌剤の投与などがあります。 Seymour骨折は、主に小児の指の末節骨(指の先端の骨)に見られる特殊な骨折です。具体的には、骨端線(成長軟骨板)を含む開放骨折で、しばしば爪床(爪の下の組織)の損傷や爪の脱臼を伴います。 Seymour骨折の主な特徴とポイント 好発年齢: 骨端線が閉鎖する前の小児や思春期の子供に発生します。 受傷機転(原因): 指を挟む、突き指、ドアに指を詰めるなどの外傷によって起こります。多くは指の先端に強い屈曲力がかかることで発生します。 骨折の部位: 指の末節骨の骨端線(成長に関わる軟骨部分)で起こる骨折(Salter-Harris分類のI型またはII型に類似)で、骨片がずれていることが多いです。 開放骨折: 骨折部が皮膚を突き破り、外部と交通している状態(開放骨折)となることが特徴です。しばしば、爪が爪郭(爪の根元を覆う皮膚)から脱臼し、骨折部が露出します。 爪床損傷: 爪の下にある爪床の裂傷を伴うことが非常に多いです。 症状: 指先の痛み、腫れ、変形 爪の脱臼、爪の周囲からの出血 骨折部が外部に露出している 指をまっすぐに伸ばせない 合併症のリスク: 開放骨折であるため、感染(特に骨髄炎)のリスクが高いことが最も注意すべき点です。また、爪床の不適切な処置により、将来的な爪の変形が生じる可能性もあります。骨端線を損傷するため、まれに成長障害を起こすこともあります。 診断: 臨床症状(指の外観、爪の状態) X線(レントゲン)検査: 骨折の確認、骨片のずれの程度を評価します。 治療: 緊急の処置が必要となることが多いです。 洗浄とデブリドマン: 創部を徹底的に洗浄し、汚染された組織や異物を取り除きます。 整復: ずれた骨片を正しい位置に戻します。 爪床の修復: 裂けた爪床を丁寧に縫合します。 爪の再挿入または除去: 爪の状態や爪床の損傷具合により、爪を元の位置に戻して固定したり、一時的に除去したりします。爪を再挿入する場合は、爪床を保護し、適切な爪の再生を促す目的があります。 固定: 必要に応じて、細い鋼線(K-wire)などで骨折部を固定することがあります。ギプスやシーネで外固定する場合もあります。 抗菌薬の投与: 感染予防のために、抗菌薬の全身投与(内服または点滴)が行われます。破傷風トキソイドの接種も考慮されます。 予後: 適切な初期治療(十分な洗浄、デブリドマン、爪床修復、感染予防)が行われれば、多くは良好な治癒が期待できます。しかし、治療が遅れたり、不十分だったりすると、感染、爪の変形、成長障害などの合併症を引き起こす可能性があります。 Seymour骨折は、一見すると単純な指の怪我に見えても、実際には複雑で感染リスクの高い骨折です。 |