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信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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整形外科 外科 リハビリテーション科 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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こむらがえり(筋クランプ、有痛性筋痙攣) こむらがえりは漢字では「腓(こむら)」返りと書き腓腹筋のけいれん起こす状態を指します。有痛性筋痙攣(いわゆるこむらがえり)は筋肉が過剰に収縮して自力では元に戻らない状態でありどの筋肉でも起こりえます。健常者でも運動をし過ぎたり、水泳などで冷えたりすると起こることがあります。さらに疾患によってはこむら返りを引き起こしやすいものがあります。 <こむらがえり(有痛性筋痙攣)が起こりやすい疾患> 1.健常者:夜型、激しい運動中・後、妊娠後期 2.脊髄・中枢神経疾患:テタヌス、stiffman症候群、運動ニューロン疾患、全身こむら返り病 3.末梢神経障害:多発性ニューロパチー 4.筋疾患:糖尿病、脂質代謝異常によるミオパチー、AMPdeaminase欠損症、、ミトコンドリアミオパチー、甲状腺中毒ミオパチー 5.その他:肝硬変、透析患者、水・電解質代障害(脱水、下痢、利尿薬、低ナトリウム血症など)、アルコール、Addison病、癌、胃切除後 6.薬剤性:β刺激薬、β遮断薬、Ca拮抗剤、H2受容体拮抗薬など 7.家族性:常染色体優性、X染色体劣性 治療方針は原因疾患を探索しそれに対する治療を行うのが原則です。まず低Ca血症、低Mg血症、腎不全、肝硬変、糖尿病、甲状腺機能低下症などの代謝異常を検索します。 神経疾患の有無を探るために、筋力低下・筋萎縮、感覚障害、腱反射の低下をチェックし筋線維束性収縮などに注意します。筋電図で異常放電の有無も有用です。 健常者における夜間のこむら返りは発症時にはクランプを起こしている筋を伸ばすようにします。日頃から軽くストレッチしておく方が良いでしょう。 薬としては芍薬甘草湯が即効性があり有効です。ただし連用すると低カリウム血症を起こすことがあるので副作用症状が出ていないかどうか、また定期的に血液検査が必要です。 頻回に起こる場合は、中枢性筋弛緩薬(ミオナール、テルネリン)を使用します。 |
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病態生理の整理 こむらがえり(有痛性筋痙攣)は、筋紡錘とゴルジ腱器官の制御異常により、筋収縮が過剰に持続する現象と考えられています。 筋疲労・脱水・電解質異常 → α運動ニューロンの興奮性亢進抑制性介在ニューロンの機能低下 → 筋弛緩が起こらず痙攣持続 鑑別疾患の整理(カテゴリ別)
治療戦略の整理
検査の優先順位 |
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腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)でこむら返り(有痛性筋痙攣)が起こる理由は、神経根の慢性的な圧迫による運動ニューロンの異常興奮が主なメカニズムと考えられています。以下に詳しく整理します。 病態生理のポイント神経根の圧迫による異常興奮脊柱管狭窄によりL5〜S1領域の神経根が慢性的に圧迫されると、α運動ニューロンの興奮性が亢進し、筋クランプ(こむら返り)が誘発されやすくなります。 特に腓腹筋・ヒラメ筋を支配するS1神経根の障害が関与。 神経根障害により求心性入力(Ia線維など)に異常が生じ、筋紡錘の反射制御が破綻。 これにより、筋収縮が過剰に持続し、こむら返りが発生。 狭窄による運動制限や前屈姿勢の持続 → 下肢筋の静脈還流低下 → 局所的な代謝異常・乳酸蓄積 → 筋興奮性の亢進。 疫学的データの補足腰部脊柱管狭窄症患者の約70%以上が夜間のこむら返りを経験しており、健常高齢者の約2倍以上の頻度と報告されています。手術(除圧術)後も約半数でこむら返りが持続し、残存する神経障害(しびれ・感覚異常)との関連が示唆されています。 臨床的意義と対応
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■術後も残存するこむら返り(有痛性筋痙攣)に対しては、神経障害の残存・筋過緊張・睡眠障害など多因子的な背景を考慮し、多面的なアプローチが必要です。 薬物療法の選択肢
リハビリテーション戦略
補足:術後も残存する理由と対応の考え方神経根障害の遺残:術後もS1神経根の軽度障害が残ると、α運動ニューロンの興奮性が持続。筋の過緊張:術後の不動や疼痛回避姿勢により、下腿三頭筋の緊張が慢性化。 睡眠障害:夜間の交感神経優位や深部体温変動が関与。 |