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整形外科 外科
リハビリテーション科

変形性足関節症 osteoarthrosis of the ankle

足関節が変形して荷重がかかるときに痛みが生じます。初期には内側から変形し階段や動作時に内側に痛みが生じます。この変形は明らかな原因がない1次性のものと、2次性のものは捻挫や骨折等の外傷、感染後に起こってきます。少しずつ悪化するのでいつケガをしたか記憶が定かで無いことが多いです。

変形初期は距骨下関節の代償作用により足関節の荷重を分散させますが、それが破綻すると関節内側に荷重が集中して足関節の内反が進行します。

当初は内側のみの痛みですが、進行すると足関節全体が痛くなります。関節が破壊されてくると変形が強くなり、また健側と比べて腫れてきて、可動域も徐々に低下します。(1次性のものは底屈機能が残存します。)

治療は湿布、痛み止め、温熱治療など保存的に行うのが原則です。体重の影響も大きいので体重コントロールも大切です。装具は外側ウェッジ足底板、足関節の固定装具が用いられます。痛みが強い場合は手術を行うこともあります。

保存療法の概要

分類

内容

補足

薬物療法

NSAIDs、外用薬、ヒアルロン酸注射(保険適用外)

痛みや炎症の軽減を目的とする。ヒアルロン酸は関節潤滑作用が期待されるが、足関節では保険適用外。

物理療法

温熱療法、冷却療法、関節可動域訓練

血流改善や筋緊張の緩和、可動域維持に有効。

装具療法

外側ウェッジ付き足底板(5・7・9mm)
足関節サポーター・ブレース

内反変形に対する荷重分散と関節の安定化。変形の程度に応じて厚みを調整。

運動療法

ふくらはぎ・足底筋のストレッチ、足関節周囲筋の強化、バランス訓練

関節の安定性と柔軟性を高め、再発予防にも有効。理学療法士の指導が望ましい。

体重管理

減量による足関節への負担軽減

体重1kg減で足関節への負荷は約3〜5倍軽減されるとされる。


2次性のOAを引き起こさないように、当初の外傷をしっかり治しておくことが大切です。

放置しておくと徐々に変形が進むので、外側wedge型の足底板を装着します。(5,7,9mmと変形に応じて厚みを調整する)

手術は、下位脛骨骨切り術、下位脛骨斜め骨切り術、人工足関節置換術、足関節固定術などがあります。

手術療法(保存療法で改善しない場合)

術式

適応

特徴

靱帯再建術

Stage 1で不安定性がある場合

外側靱帯損傷の修復

下位脛骨骨切り術(LTO)

Stage 2–3a

日本で広く行われる、荷重軸を矯正

遠位脛骨斜め骨切り術(DTOO)

Stage 3a–3b

天蓋部の荷重を回避、3b期にも適応拡大中

足関節固定術

Stage 4、活動性の高い高齢者

安定性と疼痛軽減に優れるが可動域は失われる

人工足関節置換術

60歳以上、Stage 3b–4

可動域を温存、活動性が低い高齢者に適応

人工足関節は以下の症例では適応外

感染性関節症の既往
15°以上の内外反変形
高活動性(スポーツ・農作業など)
  
変形性足関節症

病期分類と保存療法後改善しない場合の処置

stage1.関節裂隙の狭小化を認めない→不安定性ありは外側靱帯の再建。滑膜増生は鏡視下滑膜切除術

stage2.関節裂隙の狭小化を認めるが、軟骨下骨組織の接触を認めない→下位脛骨骨切り術

stage3a.軟骨下組織が内果関節面のみ一部接触している→下位脛骨骨切り術

stage3b.軟骨下組織の接触が一部天蓋関節面に達している

stage4.関節面全体にわたって関節裂隙が消失している。

 保存療法:NSAIDsや外用薬、温熱治療、外側ウェッジ挿板。

60歳以上stage3b以上で6ヶ月間の保存療法でも症状が改善しない場合は人工足関節の適応あり。60歳以上でもスポーツや農作業など活動性が高い場合は、人工足関節では無く、足関節固定術などを選択する。また感染性足関節症や内外反変形が15度以上の高度変形例も行わない。