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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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有痛性分裂膝蓋骨 patella partita 有痛性分裂膝蓋骨とは、膝蓋骨(膝のお皿)が2つ以上の骨片に分かれたまま癒合せず、運動や外傷を契機に痛みを伴う状態を指します。無症候性で偶発的に発見される場合は「分裂膝蓋骨(bipartite patella)」と呼ばれ、全人口の約2〜6%に存在するとされます。 従来は先天的な癒合不全とされてきましたが、近年では成長期における膝関節伸展機構への反復ストレスが骨化中心の癒合を妨げる「骨化異常」とする説が有力です。特に外側広筋の牽引力が関与しやすく、ジャンプやダッシュを繰り返す競技者に多く見られます。 症状としては、膝蓋骨外側上極の圧痛、ジャンプや階段昇降、膝立ちなどによる運動時痛、腫脹やクリック感を伴うこともあります。 画像診断では次のような所見が有用です。
また、膝蓋骨の分裂部位に基づくSaupe分類では以下のように整理されます。
治療の多くは保存療法で改善します。急性期には運動制限、アイシング、NSAIDsの使用、サポーター装着が推奨されます。回復期には大腿四頭筋やハムストリングスのストレッチ、股関節周囲筋の強化などを行い、圧痛が消失しホップテストが陰性で荷重時に痛みがないことを復帰の基準とします。 一方、保存療法で3か月以上改善が見られない場合や、骨片の不安定性や偽関節形成がある場合、または競技復帰を強く希望する症例では、骨片摘出術、スクリュー固定、外側支帯切離術などの手術が検討されます。関節鏡視下での手術も選択肢となります。 最近の知見としては、MRIでの骨髄浮腫の有無が疼痛の指標として有用であること、モヤモヤ血管(病的新生血管)が疼痛の一因となっている可能性があり、それに対するカテーテル塞栓術といった低侵襲治療も一部で報告されていることなどが挙げられます。保存療法の成功率は約75%、手術例でも90%以上が症状改善するとされています。 |
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