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整形外科 外科
リハビリテーション科

蜂窩織炎

 皮膚の傷から細菌感染(多くはブドウ球菌)を起こして皮下に炎症が広がり、発赤、熱感、腫脹、痛みを伴って拡大していきます。趾間部の真菌症や犬猫の咬傷、皮膚の小さな外傷などが引き金となって起こることが多いです。丹毒(溶連菌)と異なり辺縁がはっきりとせず不分明です。捻髪音を触知する場合は、クロストリディウムなどのガス壊疽菌が原因となっており、緊急の手術や治療を要します。

 通常の蜂窩織炎であれば、抗生剤の点滴を行います。軽症の場合は、経口の抗生剤を服用します。抗生剤の種類は、点滴の場合はセファロスポリン系、ロセフィンなどを用います。犬猫咬傷の場合は、オーグメンチン250SR+サワシリン250mgを3回分三で服用します。ペニシリンアレルギーの場合は、クラビット(もしくはアベロックス)+クリンダマイシンを使います。ただし、小児、妊婦には使えません。

 最近、蜂窩織炎などの感染症の診療を断る医療機関が増えてきました。先日も近所の整形外科に行ったところ断られたそうです。困った時代になってきました。
  





患者さんより提供して頂いた写真です。猫咬傷で、最初の写真は翌日で母指〜示指〜手背に発赤腫脹が見られます。咬傷二日目は一気に炎症が広がっています。診察時は前腕の半分までリンパ管炎は肘より上まで広がっていました。直ちに抗生剤の点滴静注を行いました。診察時は平熱でしたが、夜は38度台の発熱となりました。翌日は解熱し快復つつあります。一日でこんなに悪化するのです。感染症が如何に恐ろしいかよく分かる写真です。その後、治療により順調に改善してきています。
  
   
本日のコラム549  丹毒、蜂巣炎(蜂窩織炎、Cellulitis)

 いずれも皮膚軟部組織の細菌感染症で、病変が皮膚表層、特に真皮に限局されたものが丹毒(erysipelas)で、真皮から皮下組織に至るものを蜂巣炎(蜂窩織炎、cellulitis)と呼びます。

<丹毒>
 ほとんどがA群レンサ球菌による。まれに他のレンサ球菌や黄色ブドウ球菌。
 乳幼児、高齢者に多い。限局した発赤と腫脹で始まり、境界を保ちながら急速に拡大する。病変部は鮮紅色で、境界が鮮明なのが特徴。下肢に70−80%、顔面に5−20%発症する。悪寒、発熱、全身倦怠感が伴う。水疱や膿疱を伴うことあり。

 原因菌を確定するために2セットの血液培養が重要。約5%の患者の血液培養でA群、C群、G群レンサ球菌が検出される。20%が咽頭からβ溶血性連鎖球菌が分離される。

 入院加療が望ましいが、全身状態、炎症反応の程度をみて決める。習慣性丹毒は入院のうえ抗生剤の点滴静注。
溶連菌の場合は、腎炎、再発防止のために10-14日間の投与を行う。

治療法 ペニシリン薬を第一選択とする。

1.軽症例
処方例 下記のいずれかを用いる。
1)ユナシン ⇒ 錠(375mg) 3錠 分3
2)ビクシリン ⇒ カプセル(250mg) 4カプセル 分4
3)オーグメンチン ⇒ 配合錠250RS(250mg) 3錠 分3
4)セフゾン ⇒ カプセル(100mg) 3カプセル 分3

2.中等症・重症例
処方例 下記のいずれかを用いる。
1)ユナシンS ⇒ 注 1回1〜2g 1日2回 点滴静注
2)ビクシリン ⇒ 注 1回1g 1日2回 点滴静注
3)セファメジンα ⇒ 注 1回1g 1日2回 点滴静注
4)メロペン ⇒ 注 1回0.5g 1日2回 点滴静注

投薬例は今日の診療プレミアム Vol.28より引用 

<蜂巣炎(蜂窩織炎)>

 A群レンサ球菌と黄色ブドウ球菌が主な原因菌。まれにC群、G群レンサ球菌。最近、高齢者でG群増加。咬傷では、Pasteurella multocida や Capnocytophaga canimorsusを疑う。局所の圧痛、発赤、紅斑、腫脹。境界不鮮明。

治療法
1.軽症例
処方例 下記のいずれかを用いる。
1)セフゾン ⇒ カプセル(100mg) 3カプセル 分3
2)ファロム ⇒ 錠(200mg) 3錠 分3
3)フロモックス ⇒ 錠(100mg) 3錠 分3

2.中等症・重症例
処方例 下記のいずれかを用いる。
1)クラビット ⇒ 錠(500mg) 1錠 分1
2)スルペラゾン ⇒ 注 1回1g 1日2回 点滴静注
3)メロペン ⇒ 注 1回0.5g 1日2回 点滴静注

3.MRSAの場合
処方例 下記を併用する。
1)ホスミシンS ⇒ 注 1回2g 1日2回 点滴静注
2)セファメジンα ⇒ 注 1回2g 1日2回 点滴静注

投薬例は今日の診療プレミアム Vol.28より引用 

筆者注:実際の治療はもっと複雑なプロセスが必要なので、必ず成書にて確認の上、行うこと