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整形外科 外科
リハビリテーション科

色素性絨毛結節性滑膜炎(PVS) pigmented villonodular synovitis

関節の滑膜というところに絨毛状、結節状に増殖する病気です。原因は不明で炎症とも良性腫瘍とも言われていますが分かっていません。

いずれにせよ関節の滑膜に増殖して軟骨を傷つけて痛みや水腫を来し出血を繰り返します。限局性とびまん性とがあり、限局性は手術で簡単に取り除けますがびまん性はすべてを取り除くことは困難でたびたび再発します。

MRIが診断のゴールドスタンダード
T1/T2低信号:ヘモジデリン沈着
STIR像高信号:滑膜の炎症性変化
Gd造影:血管新生部位の造影効果
悪性では無いので命に関わることは基本的にはありませんが、増殖により関節軟骨が痛んで変形を来しやすくなるので注意が必要です。

早期発見、早期手術がスタンダード。

治療戦略(2020年代以降)

1. 手術療法

方法

再発率

限局型

関節鏡下切除

約8%

びまん型

関節切開による滑膜全切除

約31〜37%

2. 放射線療法
術後補助療法として再発予防に使用
特にびまん型で有効性が報告されている

 
特発性膝関節血症(膝の場合、PSVと鑑別が必要)

高齢者で誘因無く発症する膝関節の血腫は原因の明らかで無いものと外側半月板断裂に起因するものがあります。鑑別診断として色素性絨毛結節性滑膜炎(PVS;pigmented villonodular synovitis)が挙げられます。PVSはMRIで関節内に結節性の病変を認めます。PVSは造影MRIで広がりが分かります。

ただし炎症を繰り返す滑膜炎でも肥厚してくるので鑑別診断は最終的には病理診断を行う必要があります。後天性血友病の可能性に注意します。後天性血友病;APTTが低下、後天性血友病XIII:13因子の欠損でAPTTは低下しません。