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整形外科 外科
リハビリテーション科

根性坐骨神経痛 radicular sciatica 大腿神経痛、閉鎖神経痛、外側大腿皮神経痛、梨状筋症候群 上殿皮神経痛 

 脊髄から出る神経は左右一対であり、まず前根(運動根)、後根(感覚根)が合流し脊髄神経となります。その後神経根の中を1センチ走行し枝分かれします。左右の交感神経節と交通しています。

 TH12-L4までが腰神経叢を形成し、L5−S4までが仙骨神経叢を形成します。

 これらの神経が腰〜おなかから下方へ感覚や運動を支配しています。腰の上部で神経が傷害されると腰の上やおなか周り、さらには大腿前面上部に痛みやしびれが出ることがあります。腰の下方では坐骨神経痛がでます。

 およそどのレベルの障害でどの症状が出るかは分かっていますので、それに当てはめて診断をしていきます。

 これらの神経痛はあくまでも症状であり原因はいろいろあるということで単純に坐骨神経痛という診断をつけるだけはなんの解決にもつながりません。




 外側大腿皮神経痛は、大腿外側(鼠径靱帯と大腿縫工筋の間)に出てくるところで絞扼されて大腿の外側のみ痛みやしびれが生じます。筋肉の麻痺は起こりませんし、下腿外側にも症状は出ません。

 多くはそけい部を外部から圧迫することによって起こります。肥満、妊娠、ベルトやコルセットを絞めすぎることによって起こります。治療は、肥満の改善、絞めすぎないように指導する等と行います。



 梨状筋症候群は坐骨神経が臀部を走行して梨状筋に挟まれて症状が出ます。坐骨神経と梨状筋との位置関係は様々なパターンがあります。治療としては梨状筋のストレッチをおこないます。改善しないようなら手術を考慮します。


 閉鎖神経痛は閉鎖神経の刺激や圧迫で起こります。肥満や妊娠、骨盤腔内の手術後に起こることがあります。鼠径部のいたみ、内転筋の筋力低下がでます。
 
 上殿皮神経痛


 上殿皮神経とはTh11〜L4の後根神経から皮枝となり腰背部を下降し腸骨稜近傍で胸腰筋膜を貫通して臀部に至る感覚神経です。この貫通するときに絞扼することによって腰痛や場合によって下肢痛を訴えます。神経の分布は臀部に限局していますので下肢の痛みは放散痛と考えられます。絞扼性障害ですから消炎鎮痛剤、局所麻酔薬によるブロック等を行います。改善しない場合は、顕微鏡下に絞扼部を解放します。


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上殿皮神経障害 SCN-EN

 上殿皮神経は腸骨稜近辺で胸腰筋膜を貫いて臀部に至る皮神経です。筋膜から出るところで絞扼(締まってしまうこと)されると臀部に痛みが出ます。しゃがんだり座ったりすると痛みが出たり強くなったりします。

 絞扼部位を押さえると臀部に痛みが放散します。MRIやCT、レントゲンでの画像診断は困難です。超音波断層で腸骨稜縁での低輝度層が厚かったという報告があります。治療は消炎鎮痛剤の投与、神経ブロック、改善しない場合は手術療法を考慮します。

 見逃されることが多く殿部痛を起こす他の疾患(特に腰部脊柱管狭窄症)と間違われたり、併発したりします。両側性に発症することもあります。
 
 腰部脊柱管狭窄症と上殿神経障害の違いについて

   最近、NHKで腰部脊柱管狭窄症と診断された方が、実は上殿神経障害でありブロック注射をして症状が劇的に改善したという番組が放映されました。その後、当院にも問い合わせがあります。腰部脊柱管狭窄症と上殿神経障害は臀部から下肢に似たような症状を起こしますが、まったく「別の原因」で起こっている「別の病気」です。

 上殿皮神経障害の場合、絞扼部のブロック注射を行うと症状が改善することがありますが、腰部脊柱管狭窄症ではこの注射をしても、当然、治りません。上殿皮神経障害は他の腰痛疾患と合併していることもあり、単独発症、併発の有無等をしっかりと診察する必要があります。正確な診断を行って適正な治療を行うことが大切です。

 *当院でも上殿皮神経障害と診断がつけば、ご希望によりブロック注射を行っています。