肋骨骨折 rib fracture
胸部を強くぶつけたり捻ると肋骨が折れることがあります。肋骨骨折は場合により肺を傷つけて気胸や血胸を起こします。血胸や気胸が悪化すると命に関わることがあります。
緊張性気胸といってチェックバブルになったものはただちに脱気する必要があります。
肋骨が4本以上前後2カ所で骨折すると呼吸運動とは逆に胸郭が動き呼吸困難とあることがあります。(奇異呼吸、胸郭動揺)
更に腹腔内の肝臓、腎臓、脾臓などの損傷が合併することもあります。
これらの大きな障害が無い肋骨骨折では保存的な治療を行います。痛みが強い場合は胸部固定帯を装着し_/ます。通常、4週間ほどで治癒します。
なお、肋骨骨折の診断率は、X線撮影で50-60%と低く、超音波検査で85%、CTで98%と言われています。当院での印象としては、超音波検査で見つかる肋骨骨折はかなり多く、表層の陥没するTypeでは他の検査では見つからないと考えています。個人的にはレントゲンに加えて超音波検査は必須と思います。
肋骨骨折
肋骨は数ミリのヘラぐらいの厚さしかないので簡単に折れてしまいます。肺に刺さって気胸や血胸を起こしていないか、また多発性の肋骨骨折で奇異呼吸(フレイルチェスト)が起こっていないか十分チェックします。
成書によれば、肋骨骨折で肋骨固定帯を使用する施設は約半数でした。何も巻かずとも通常は治ります。痛みが強い場合は固定帯を装着しますが、低換気→無気肺→肺炎と悪循環となることがあります。特に肺機能の低下したケースでは注意が必要です。装着すると息苦しい場合などは固定帯の使用を控える方が良いでしょう。
症例)風呂場で転倒したケース
風呂場で転倒して湯船の角に胸背部を強打した方です。この写真では分かりにくいですが、第8肋骨骨折、外傷性気胸を起こしています。エコーでは,少量の血胸も認めました。(立位XPでは写らない程度)
こういった血気胸は当初軽度でも進行して肺虚脱を起こして死に至ることがありますので、高次病院に行って貰いました。そのご経過順調で、数日、安静にし肺も膨らんで快復されました。


・上写真:右胸部、肺尖部に気胸による肺萎縮像を認めます。
・下写真:エコー像 少量の血胸を認めます。(これだけ少量だとCTでは描出できなかったと報告がありました。)
エビデンス:フレイルチェスト
肋骨骨折、特に多発肋骨骨折によるフレイルチェスト(動揺胸郭)は、呼吸器合併症のリスクとなり、その転帰・治療がまとめられています。(Dehghan N ら. J Trauma Acute Care Surg. 2014)[1]。
エビデンス:肋骨骨折の手術固定
フレイルチェストなど重症の肋骨骨折に対する手術的固定(SSRF)は、保存療法と比べ有用な場合があるとEAST(米国外傷外科学会)のガイドラインで示されています。(Kasotakis G ら. J Trauma Acute Care Surg. 2017)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Dehghan N, de Mestral C, McKee MD, Schemitsch EH, Nathens A. Flail chest injuries: a review of outcomes and treatment practices from the National Trauma Data Bank. J Trauma Acute Care Surg. 2014;76(2):462-468. PMID: 24458051.
- Kasotakis G, Hasenboehler EA, Streib EW, et al. Operative fixation of rib fractures after blunt trauma: A practice management guideline from the Eastern Association for the Surgery of Trauma. J Trauma Acute Care Surg. 2017;82(3):618-626. PMID: 28030502.
参考:『骨折診療スタンダード 原著第4版』 / 『整形・災害外科 2023.1 TKAの成績向上のためのバイオメカニクス』 / 『整形・災害外科 2021.9 整形外科治療 update 2021』 / 『関節外科』2024年6月号