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信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして |
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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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肩腱板断裂 rotator cuff injury 肩の腱板とは肩関節を覆うように棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋それぞれの腱で構成された板状の覆いのようなものです。肩を強くぶつけたり、また経年変化でこれらの腱板がちぎれてしまいます。 多くは加齢による変性により生じます。発生頻度は60歳代で25.6%、80歳代で50.0%と年齢とともに上昇するとの報告があります。 転倒や交通事故やクラブ活動で投げ飛ばされて肩を打ったりすると起こります。また加齢による変化で40才以降では知らないうちに断裂が生じていることもあります。利き腕に多いです。 痛みの原因は、断端の神経組織が刺激される、周囲の組織が炎症を起こす、肩関節の安定性の低下により周辺組織に負荷が掛かるためとされています。 症状は肩の痛みです。多くは侵害受容性疼痛ですが、10%程度が神経障害性疼痛が含まれています。 肩関節周囲炎に比べて拘縮することは少なく、一方、筋力低下が見られます。典型的な症状としては肩を上げていくと途中から上がらなくなります。反対の手で支えてやると上がります。完全断裂になると90度以上で支えることが困難です。 診断はレントゲン撮影、超音波断層撮影、MRIが有効です。 部分断裂であることが多く、治療はまず保存的に行い、運動や生活でかなり症状が残る場合は手術も考慮します。保存的治療には、消炎鎮痛剤、外用薬、温熱治療などの理学療法、局所への注射(ステロイドやヒアルロン酸)を行います ほとんどの場合、こういった保存的治療によく反応して痛みが改善してきます。 手術療法は、保存的治療で症状が改善せず、50才以下でスポーツや仕事、日常生活で支障がある場合に行います。50才以上でも痛みや引っかかりが強いケースでは手術も選択枝となります。 高齢になると腱板自体が脆弱でうまく縫合できないとか、再び断裂することがあります。75歳までは手術適応があるとする施設もあります。手術には断裂した腱板を縫合する方法や鏡視下肩峰下除圧術などがあります. 術後は1ヶ月程度の装具固定、日常生活復帰までに2〜3ヶ月、重労働が可能となるまでに5ヶ月程度と長期間の術後リハビリや日常生活の制限が、必要となります。 *追記2018年6月28日 年齢による手術適応は徐々に拡大しています。80歳代でも支障の程度によっては手術を行います。当院でも80歳を超えた方の手術例(京大病院にて手術)があります.。 |
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本日のコラム191 肩腱板断裂 手術を行っても、特にプロスポーツ選手の場合は競技復帰が困難であると言われており、どのような症例が手術適応となるのか、意見が分かれています。 いずれにせよ、断裂の微細な所見はエコーにより明らかになります。また経時的に腱板の厚さや繊維状構造を健側と比較しながら復帰の時期を探るのがこれから主流になっていくものと思われます。 |
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肩関節腱板断裂 腱板は上方を棘上筋腱、上後方を棘下筋腱、後方下方で小円筋腱、前方から肩甲下筋腱により構成されています。棘上筋腱と棘下筋腱は多少重なって上腕骨大結節に停止しています。これらを総称して肩腱板と呼びます。腱板断裂は構成する腱が断裂することを意味します。いずれかもしくは複数の腱が部分断裂〜完全断裂をします。外傷による急性の断裂と加齢により変性により徐々に断裂する場合があります。 保存治療と手術治療があります。以前は、50歳ぐらいまででスポーツを行う人が手術対象でしたが、最近では高齢者でも手術を行うようになりました。現在の手術適応としては、仕事やレクレーションで活動性が高いケースとなります。若者に限らず、高齢者でも日常生活や仕事、運動に支障を来す場合は手術を行うようになっています。 アクティビティレベルの高い若者は、微少な外傷を繰り返して小断裂が大断裂に徐々にまたは一気に移行することもあり、保存治療は難しいと言えます。保存治療は、比較的年齢が高く、活動性があまり高くないケースで選択します。 早期手術は、明らかな外傷による中・大断裂で行うようにします。とりわけ年齢も若い3腱断裂は手術がベストであるとされています。 肩甲下筋腱断裂も手術対象となっています。 腱板断裂の原因と状態 ・外傷性 ・インピンジメント:棘上筋断裂で肩峰とインピンジメント ・求心性が保てない:肩甲下筋断裂 ・癒着:断裂端が周囲組織と癒着 ・肉体労働等で外旋筋力の低下 ・広範囲断裂 腱板断裂のうち1/3が症状があり、残りの2/3は無症状とされています。腱板断裂があるから症状が出るわけでは無いと言えます。また腱板断裂の様式、サイズと症状には関連性が無く、腱板断裂自体は症状に関与していないとされます。 腱板断裂に対し、3ヶ月の理学療法が有効とされます。治療開始後6-12週で症状が改善することが多い。拘縮や、疼痛で内旋制限のある場合は治療が長期化します。理学療法で肩腱板の断裂自体は修復されません。 肩関節の拘縮には、以下の原因があります。 1.関節内因子「腱板断裂、関節包肥厚・癒着、烏口上腕靱帯の肥厚」 関節内病変によるもの ・烏口上腕靱帯(CHL)や上内側関節包の肥厚:内旋、水平内転の制限 ・腱板疎部や中関節上腕靱帯(MGHL)の肥厚:外旋制限 ・下方関節包や下関節上腕靱帯(IGHL)の肥厚:挙上制限 2.関節外因子「肩甲骨、鎖骨、肋骨、筋肉」 各障害部位のモビライゼーションを行い、可動時に痛みが生じ、その後、可動域が改善すれば関節外因子プラスとみなす ・胸鎖関節:水平内転 ・上部胸肋関節:内旋 ・下部胸肋関節:挙上 ・第1〜第3肋骨:挙上 ・大胸筋:挙上、外旋 |
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