側弯症 scoliosis
側弯症は背骨が横方向に湾曲(S字状)する病気です。湾曲だけでなく体軸に対してねじれていることが多いです。生まれつきのものを先天性、原因が不明なものを特発性、筋肉や神経の異常によるものを症候性といいます。
学校検診で側弯症のチェックをしますが、服を着たまま行うことが多いために見逃されることもあります。通常診察では着衣を外してもらい、まず立位の前後面で変形が見られないかチェックします。左右の肩の高さが違うかどうかも重要なポイントです。
次いで立位前屈してもらい後ろ側から観察します。側弯症はほとんどのケースで体軸に対して背骨がねじれていますので、前屈すると左右の肋骨、肩甲骨の高さに差が出ます。よく見ると腰の部分の筋肉が片方だけ盛り上がって見えることもあります。
どの程度、側湾があるのかはレントゲン撮影が有効です。立位で出来るだけ大きなフィルムで撮影します。ねじれを観察するためには正面像だけでなく側面像も必要です。
腰痛などで起こる機能性側湾(体軸方向へのねじれは起こらない)は臥位で消えますので鑑別のポイントになります。
年齢、基礎疾患、側弯症程度によって若干対応が異なります。先天性の場合、進行が早いことが多いので注意が必要です。思春期に起こってくるものは、それほど急速に進行しないことが多く、側弯の程度によって治療方針を立てていきます。神経性疾患がある場合は進行がきわめて早いことがありますのでこまめなチェックが必要です。
レントゲン撮影で側湾の程度を測定します。Cobb角といって曲がり具合を測定し、思春期側弯症の場合、25度未満は経過観察。25度前後以上は装具装着を考慮、30度以上の場合はケースにより手術も考慮します。
小児の脊柱側彎症
側弯症分類
・特発性側弯症 頻度高(全体の70-80%)
・症候性側弯症 各種の各種症候群、神経筋疾患に伴うもの
・先天性側弯症 椎体の奇形椎によるもの
1)特発性側弯症:側弯以外は健康で、神経筋疾患が無く、椎体の奇形を伴わないもの
発症年齢により以下に分類
A.乳幼児期側弯症(0-3歳児)
B.学童期側弯症(4-9歳)
C.思春期側弯症(10歳-骨成長終了まで)
king-Moe分類
Type1:胸椎カーブ、腰椎カーブ共に正中線を超える。胸椎より腰椎カーブが大きい
Type2:胸椎カーブ、腰椎カーブ共に正中線を超える。腰椎より胸椎カーブが大きい
Type3:胸椎カーブ
Type4:長い胸椎カーブ、第4腰椎までカーブが至る
Type5:二重胸椎カーブ、第1胸椎の傾斜を伴う
特発性側弯症の自然経過
進行の要素:カーブ自体と成長、大きなカーブは進行しやすい。ダブルカーブはシングルカーブより進行性が高い。若年ほど進行の危険性は高い。Risser sign(骨盤の骨端線)成長に伴い進行は起こりにくくなる。
Risser sign(骨盤の骨端線):腸骨稜の骨端軟骨は成長に伴い前方から後方へ閉鎖していく。
Grade 0:骨端線の閉鎖が始まっていない
Grade1:外側4分の1まで閉鎖したもの:思春期前or初期、女子では10-11歳
Grade2:外側から半分まで閉鎖したもの:成長率ピークor直前
Grade3:外側から4分の3まで閉鎖したもの:成長が鈍化
Grade4:内側後方まで閉鎖したもの:ほとんど成長が終了
Grade5:完全に閉鎖したもの:成長停止、女子では18歳前後
Risser sign(骨盤の骨端線)が低いほど側弯が進行する可能性がある。
| Risser sign(骨盤の骨端線)とカーブの大きさによる治療法の分類 | ||
| Risser Grade | カーブの大きさ | 治療方針 |
| 0-1 | 1-20° | 経過観察 |
| 0-1 | 20-40° | 装具 |
| 2-3 | 0-30° | 経過観察 |
| 2-3 | 30-40° | 装具 |
| 0-3 | 40-50° | 手術?(手術すべきなのか否か結論が出ていない) |
| 0-4 | 50° | 手術 |
特発性側弯症の治療
Cobb角が20°未満 成長期であっても経過観察 定期的にレントゲン撮影(3,6,12ヶ月毎)
Cobb角が25-40°は装具療法。(若年者は20°以上で)
Cobb角が40-50°以上は手術療法
*胸椎カーブは50°、胸腰椎・腰椎カーブは40°以上で手術適応となる。
A.装具療法
1.Milwaukee brace 頚椎も固定するのでコンプライアンスが悪く、あまり使われていない。
2. underarm brace ボストンブレース、大阪医科大学式(ボストン式に高位胸椎パッドを装着)
・ボストンブレース
腰椎、胸腰椎カーブに適応、胸椎カーブには立ち直り反射を期待する。立ち直り反射がない場合は適応外
・大阪医科大学方式
ボストンブレースに横位胸椎パッドを装着し胸椎カーブにも強制力が加わる
B.装具療法開始後の経過観察
装具装着後は1ヶ月後に受診し、レントゲンにて矯正の確認が必要です。その後は3-4ヶ月に一度、受診しレントゲンで経過をみます。出来るだけ長時間の装着をする方が効果的で、Risser gradeIIIまでの患者は常時装着を、Risser grade IV以上ではパートタイム装着とします。一日、18時間以上の装着で成功率が高いと報告されています。
B.装具療法の終了時期
どの時点で装具を終了するかは難しいとされています。
一般的には
1.角度が5%以上進行しない
2.身長の伸びが終了
3.初潮や声変わりから2-2年半経過
4.Rsser Grade IV以上
5.性成熟が十分
Risser grade Vまでパートタイムで装着する方が安全とする意見があります。
経過観察、外来受診頻度
Cobb角 15度以下 → 6ヵ月毎の経過観察
Cobb角 15~25度 → 3ヶ月毎の経過観察
Cobb角 25度以上で発育が1年以上見込まれる例は装具療法導入
側弯症の装具
40°を超える側弯は、成長終了後も進行しやすい。できれば40°未満に抑えて手術を避けることができれば理想的。
・装具の適応
ある程度側弯が進行し、今後も成長に伴う進行が予想される場合で、具体的にはCobb角25-45°、Risser signが0-3が良い適応。Risser4でも進行することがあるので適応あり。
胸椎カーブで25°以上、胸腰椎カーブや腰椎カーブでは20°以上で装具。
装具治療開始時
目的は側弯の進行を予防し手術を回避すること(治ることは無い)
装着時間が長いほど効果が高い
今しか頑張れるときは無い
精神的なストレスに配慮
装具治療終了の時期と方法
身長が伸びている間は側弯も進行するので装着を続ける。身長が伸びなくなったら(年間1cm未満)、装具の離脱をはかる。離脱の条件は、Risser4以上、初潮から2年以上経過があるが、身長が止まれば、これらの条件は大抵満たされている。フルタイム装着例では夜間のみのパートタイムに変更し、側弯の進行が無くなったら完全離脱とする。
<装具治療の問題点
・装具が装着できない 痛み、不快感、理解不足、精神的ストレス
・効果の不確かさ フルタイムの装着でも進行を止められずに手術に至ることもある。
・上位胸椎カーブや胸椎前弯例への矯正には限界がある。
参考文献:整形・災害外科60:51-57 2017 側弯症装具 柳田晴久 福岡市立こども病院