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整形外科 外科
リハビリテーション科

母趾IP種子骨障害

母趾IP関節底側に小さな種子骨が見られることがあり(発生頻度は10-30%)ます。
この種子骨は、長母趾屈筋腱(flexor hallucis longus, FHL)の滑走補助や、関節の安定性の補助に関与しているとされます。剣道やバレエなど前足部に荷重がかかる運動で障害が出ることがあります。

関節を背屈すると痛みが出ます。母趾IP 関節足底やや内側に胼胝形成することがあります。
運動時痛が多く、安静時の痛みはないとされます。

治療は保存療法で改善することが多いとされますが、無効例では摘出手術を行うこともあります。

免荷・局所安静(テーピング、足底板など)

消炎鎮痛剤の内服・外用

物理療法(超音波・アイシング)

靴の工夫(母趾に荷重がかかりにくい靴底、メタタルサルパッド)


足底板処方のポイント

■ 目的
種子骨への荷重を回避すること
長母趾屈筋の緊張を軽減
足底のバランスを整え、過回内や過回外を防ぐ

■ 足底板の工夫:

内容 説明
メタタルサルパッド(横アーチ支持) MP関節部の圧を分散し、母趾IP関節への負荷を軽減
カスタムパッド IP関節直下に軟性クッション材を配置し、種子骨への直圧を回避
U字型除圧 種子骨部を中心に凹ませる構造(浮かせる)
剛性の調整 柔軟素材(EVAなど)で初期作成し、徐々に調整

■ 靴の選び方:
つま先が柔らかく反り返りすぎない靴(トゥスプリング低め)
中足部〜前足部のクッション性の高い靴底
靴内のインソールが取り外し可能であること(足底板併用のため)

■理学療法・生活指導
つま先立ちを避けた日常動作
FHLストレッチ(痛みが治まってから)
荷重時痛のモニタリング記録(通院時に評価指標とする)


予後
保存療法で症状が軽快する例が大半
変性が高度・反復性の場合は再発や慢性疼痛へ移行することもあり、競技復帰まで時間を要する例もある

外傷によりIP関節が背側脱臼し、種子骨が嵌合し整復できないため、観血的に行った例が報告されています。