腱鞘炎、ばね指、手の腱交叉症候群 tenosynovitis
腱鞘炎は腱を覆っている鞘(さや)と腱が過度に擦れて起こる炎症で、痛みや腫れを伴います。仕事などでよく使われてると起こります。キーボードの操作や大学で実験を行うときピペット操作を繰り返しても発症します。治療は局所の安静、使いすぎを防ぐ、装具、温熱治療などの理学療法、消炎鎮痛剤の内服、外用、症状によりステロイドの注射を行うこともあります。
ばね指は肥厚性腱鞘炎といい、腱が肥厚して腱を固定しているA1プーリー(自体も肥厚する)に突っ掛かるために起こります。初期の間は、朝起きると手の腫れのためにカクンと引っかかりやすく、しばらくすると改善します。更に進むと一日中引っかかるようになります。最終的には全く伸びなくなることもあります。この状態が続くと指のPIP関節が拘縮してしまうこともあります。治療は指の安静を保ち、消炎鎮痛剤や外用薬、温熱治療等の理学療法、症状によりステロイドの局注を行います。これらで改善せずに日常生活に支障が出る場合は手術療法を考慮します。
手の腱交叉症候群は前腕伸側(親指側)の前1/3あたりに痛みが生じる病気です。この部位はちょうど手の関節を曲げる腱と伸ばす腱が交差するところで擦れて痛みます。手をよく使われる方に多いです。子育てをしていて赤ちゃんがおよそ8キロぐらいになると痛みが生じて来院されるケースがよくあります。治療は局所の安静、装具療法や痛み止めなどを使います。基本は使い痛みなのである程度手の安静が必要です。
手の腱交叉症候群
腱鞘炎(ばね指)のエクササイズ
腱鞘炎は使いすぎによって起こる腱の炎症です。手の屈筋腱で多く起こりますが、この場合、更に悪化すると腱が太くなったり、腱鞘が肥厚して引っかかるようになります。これを肥厚性腱鞘炎(ばね指)といいます。
消炎鎮痛剤や理学療法に加えて治療に加えて、運動療法が効果的です。
運動療法にはブロックエクササイズとストレッチがあります。ストレッチは肘を伸ばして手くびと指を反らします。これを10秒続けます。ブロックエクササイズは、指の第3関節(MP関節)が90度になるようにブロックを手の平に握ります。この状態で10秒間強く力を入れます。(小さなものを握りしめる感じ)
エビデンス:ドケルバン腱鞘炎
手の腱鞘炎のうちドケルバン腱鞘炎(第1背側区画)は、母指側の手関節痛を来し、装具・ステロイド注射・手術などで治療されると総説でまとめられています。(Goel R, Abzug JM. Hand (N Y). 2015)[1]。
エビデンス:ばね指(弾発指)
成人のばね指(狭窄性腱鞘炎)の診断と治療(ステロイド注射・手術)について総説でまとめられています。(Gil JA ら. J Am Acad Orthop Surg. 2020)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Goel R, Abzug JM. de Quervain's tenosynovitis: a review of the rehabilitative options. Hand (N Y). 2015;10(1):1-5. PMID: 25762881.
- Gil JA, Hresko AM, Weiss AC. Current Concepts in the Management of Trigger Finger in Adults. J Am Acad Orthop Surg. 2020;28(15):e642-e650. PMID: 32732655.