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整形外科 外科
リハビリテーション科

 筋性斜頚 torticollis

 斜頸には筋性、骨性、炎症性、眼性のものがあります。

 筋性:分娩時胸鎖乳突筋の損傷
 骨性:生まれつき頚椎や胸椎に奇形がある
 炎症性:中耳炎や扁桃炎などの炎症後に、環軸椎の並び方に異常が起こる
 眼性:眼の運動をする筋肉の異常。何かを注視すると頚の傾きが大きくなる


 先天性筋性斜頸は分娩時の胸鎖乳突筋の損傷が原因とする説が有力で、乳児期での自然治癒率は80-90%とされています。自然治癒は1歳半から2歳と言われており、変形が残った場合は手術を考慮します。手術自体は三歳になるまで待ってから行います。胸鎖乳突筋の瘢痕は残っており、八歳頃に再発することがあります。

 斜頸は患側の胸鎖乳突筋が腫大し短縮するため、頚は患側屈位、顔は健側に向きます。生後5日〜2週間ほどで腫瘤が大きくなって発見されることが多く、1ヶ月程度で最大となり、以降は縮小していきます。縮小に伴い損傷した胸鎖乳突筋の線維化が進行し、頚椎の可動域制限が起こります。斜頚位は少し遅れて3ヶ月頃に目立つようになります。

 診断は斜頸+頚部の腫瘤に対してレントゲン、超音波診断を行います。骨性斜頸などの他の原因による斜頸を除外診断します。年長児の場合は環軸椎回旋位固定による斜頸もあり、開口位レントゲンやCTにて鑑別します。

 保存療法は新生児〜乳児期に行います。経過観察が中心で、授乳時に患側に顔を向ける目的で、音のするものや光るものを(患側に)置きます。また斜頸枕や砂嚢などを使って頭の位置を中間位または矯正位(患側側)に向けるようにします。マッサージや徒手(用手)矯正は筋組織の損傷が原因であるため、外力を加えることは組織修復を遅らせるので禁忌とされています。

 患側の股関節の開排制限や2次性に起こる頭蓋変形や顔面不均斉に気をつけます。

 経過は二か月毎に超音波断層撮影を行い、腫瘤の縮小、内部エコーの消失を観察します。生後1年6ヶ月経ても、胸鎖乳突筋の短縮と固く拘縮した索状物がふれる場合は、顔面非対称、頭蓋変形を予防するために観血的手術を考慮します。

 手術は胸鎖乳突筋の胸骨・鎖骨付着部の切離または部分切除を行います。(上端、下端切除する施設もあります。)

 2歳児以降の筋性斜頸は手術対象となります。(保存的治療で改善が見込めないので)