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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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コンタクト・コリジョンスポーツにおける一過性四肢麻痺とスポーツ復帰 ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツでは頚椎を痛めてさまざまな障害が出ます。頚椎に骨折や脱臼がなくコンタクトプレイで一過性の四肢麻痺を起こすことがあります。多くは脊柱管狭窄がみられます。症状は受傷後数分から60時間以内に回復するとされています。(一時的という意味で一過性であり、永続する場合は一過性とは言えない。)コンタクトスポーツで永久的な四肢麻痺を起こすこともあります。 一過性の四肢麻痺症例では、Pavlov比(レントゲン側面像:脊柱管前後径/椎体前後径)が平均0.71±01で0.8以下が78.1%を占めました。MRI所見では脊柱管くも膜下腔の消失に加えて椎間板ヘルニアを認める例がありました。月村の報告では、受傷後、全例で四肢麻痺が生じ、、受傷後数分で手足が動き出したものが26例(81.3%)、他の6例も受傷後24時間以内に改善傾向が見られ離床したとしています。 以下に競技復帰に対する考え方とプロトコールをしまします。コンタクトプレーへの復帰は条件が揃ってトレーニングを積んで受傷3ヶ月以降となります。 <一過性四肢麻痺(TQ)からの競技復帰基準共通コンセンサス(月村)> ・基礎的事項:十分な頚部筋力があり、正しいタックル方法が習得されている ・プレー可:初回TQの神経症状が完全回復、頸部痛なし、頚部可動域がfull、脊柱管狭窄なし、頚椎不安定性なし、上位頚椎奇形なし ・相対的禁忌:X線上Pavlov比≦0.8またはMRI上くも膜下腔の消失の頚部脊柱管狭窄を有し、初回TQ?(議論の余地あり) ・絶対的禁忌:複数回のTQ受傷、上位頚椎奇形合併、MRI上の頚髄損傷・浮腫の存在、頚髄神経症状の残存、頚椎不安定性、Spear tackler's spine *Spear tackler's spine タックルを受けて頚椎が槍状に真っ直ぐになる状態、外傷性に後弯変形する <一過性四肢麻痺(TQ)からの復帰条件プロトコール> 脊髄性麻痺症状が完全回復→No→プレー中止 ↓Yes MRIで頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症がない→No→プレー中止 ↓Yes 頚椎の不安定性がない→No→プレー中止 ↓Yes (受傷後1ヶ月以上) 走行系トレーニング、筋肉トレーニング 頚部筋力、伸展筋力が絶対値で>300Nmで、屈曲/伸展比<0.89 →No→コンタクトプレー待機 ↓Yes (受傷後3ヶ月以上)正しいコンタクトプレーを習得 コンタクトプレーを再開し症状再発が無い→No→プレー中止 ↓Yes 試合復帰→No(症状再発)→プレー中止 参考:コンタクト・コリジョンスポーツにおける一過性四肢麻痺とスポーツ復帰 月村泰規 関節外科 vol35 No.5 2016 |
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