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足底板(インソール、中敷き)

足底板(インソール・中敷き)

医療機関で作成する装具は、医師の指示により義肢装具士がギプスなどを用いて型取りを行い、病状が改善する形に加工します。

足底板は、基本的には靴の中に入れて使用しますが、屋内で靴を履かない場合は固定用のバンドを装着することで靴なしでも使用可能です。

ただし、保険診療では「靴用」または「屋内用」のどちらか一方のみの作成となります。

通常、インソールは靴の中に入れることを前提としています。インソール専用の靴は存在しないため、日常で履いている靴を活用します。

靴の中敷きを取り外せることが重要であり、既存の中敷きの上にインソールを重ねることは避けます。

インソールは元の中敷きより厚みが増すことが多く、フィット感のある靴でも窮屈になる場合があります。その際は、インソールに適した靴を用意してください。

疾患ごと、または個人の足の形状に合わせてインソールを作成します。疾患に応じて、足の支え方や体重の分散、崩れたアーチの修正方法が異なり、その形状も変わります。

このため市販の画一的なインソールでは対応できないケースでも、適切に作成することで効果を発揮します。

例えば膝関節が内反している場合、縦アーチのインソールだけでは不十分でありアウターウェッジを追加しないと症状が悪化する可能性があります。

中足骨疲労骨折ではメタタルパッドの使用がかえって悪化を招くことがあり、中足骨骨頭痛の場合は患部を免荷するよう調整が必要です。

インソール作成後、既存の靴が合わない場合は新しい靴を購入します。

インソールの厚みにより、通常より1〜2サイズ大きい靴を試してみると良いでしょう。

実際にインソールを装着し、靴のつま先が圧迫されていないか、母趾・小趾のMTP関節に負担がかかっていないか、踵が浮いていないかなどを確認します。
靴はやや幅広で左右に動かない程度のフィット感が理想的です。

可能な限り、紐でしっかり締められるデザインの靴を選ぶことをおすすめします。

作成したインソールを装着し、歩行時の感覚を確かめます。初めは違和感があることが多いですが、徐々に慣れる場合がほとんどです。

ただし、インソールの位置・形状が合っていないこともあるため調整が必要になることもあります。

また長期的に使用すると効果が薄れることもあり、高い治療効果を持つインソールほど副作用が現れる場合もあります。

インソールは足に直接装着するため、適切にフィットさせ治療にもつながる設計を行うことが重要です。

医師と義肢装具士が密に連携することで、より適切なインソールを作成することが可能になります。

任せきりでは、十分な効果を得ることが難しい場合もあるため、慎重な協力が必要です。

インソールが対応できる主な疾患

疾患名

病態の特徴

インソール戦略

補足

扁平足(過回内足)

内側縦アーチ低下、後足部外反

アーチサポート+内側ウェッジ

歩行時の内側沈下を抑制し、後脛骨筋の負担軽減

ハイアーチ(過回外足)

外側荷重、衝撃吸収低下

クッション性強化+外側ウェッジ

腓骨筋や第5中足骨への負担軽減

足底腱膜炎

踵部痛、アーチ低下

アーチサポート+ヒールカップ

足底腱膜の牽引力を軽減し、踵部の衝撃吸収を強化

モートン病

中足骨間の神経絞扼

中足骨パッド+前足部圧分散

神経腫部の圧迫軽減と前足部の荷重再配分

外反母趾

母趾外転、前足部内反

母趾側サポート+前足部内側ウェッジ

第1中足骨の安定化と母趾球部の圧迫軽減

変形性膝関節症(O脚/X脚)

膝内反/外反による関節負荷

ヒールウェッジ(内側/外側)

膝関節モーメントの調整と疼痛軽減

脚長差

骨盤傾斜、腰痛

片側補高インソール

骨盤の水平化と二次的疼痛の予防

糖尿病性足病変

感覚障害、足潰瘍リスク

圧分散型インソール+素材選定

足底圧の均等化と皮膚保護(保険適用対象)

シンスプリント・腸脛靭帯炎

ランニング障害、下腿外側痛

アーチサポート+衝撃吸収強化

荷重線の補正と筋腱の牽引力軽減