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整形外科 外科 リハビリテーション科

野球肘(外側型、内側型)

 野球をやってる人に多いので野球肘という名前がついています。元々はリトルリーグエルボーといい、少年野球をやっている子供に多い肘の障害です。

 傷める部位(内側、外側)によって治療法も治療期間も異なります。90%が内側型で4-6週間(1-3週投球を中止し、症状消失後、徐々に競技復帰)、局所安静で改善します。残り10%は外側型で6ヶ月〜場合によっては2-3年も掛かる上に保存的には治らないことも度々あります。

<内側型>

 内側型はボールを投げるときに内側側副靭帯に引っ張られるように骨端軟骨が剥がれます。一球で起こることもあれば、慢性に経過するケース、また経過中に急速に悪化するケースなどがあります。

 内側型は比較的治りやすく通常は4-6週間(1-3週投球を中止し、症状消失後、徐々に競技復帰)、ボールを投げないようにすれば改善します。急性例、亜急性例、再発例は2-4週間のギプスシーネ固定を行います。慢性例は外固定はしません。投球の休止期間は急性例・亜急性例で4-8週間、慢性例で4週間を目安とします。

 この間、全身のリコンディショニングを行うようにします。投球再開の目安は、関節可動域制限の改善、圧痛の解消、外反ストレスでの誘発テストでの痛みの消失を確認して行うようにします。、レントゲンの骨癒合(2-3ヶ月〜数年かかる)は参考程度としますが、将来の内側側副靭帯の機能不全による疼痛を起こしにくくするために骨癒合をめざす方が良いとされています。投球再開時期は積極的保存療法を行う施設では平均1.8週間、一般的には1.7ヶ月後となっています。(施設や担当医によってかなり幅があります。)

 内側上顆の骨端離開が5mm以上もしくは骨片が翻転している場合は手術による内固定が適しています。

 バッティングや守備はどうかと聞かれますが痛みが出る場合は、しばらく控える方が良いでしょう。痛みが無ければOKです。

<外側型、離断性骨軟骨炎>

 外側型は投げる時に骨同士が衝突するために、上腕骨の軟骨面が損傷して離断性骨軟骨炎を起こします。外側型は内側型の10分の1以下の発症率で、10-12歳に多く、小学校5年がピークとなります。発症初期は無症状のことが多く、痛みや運動制限などの症状が現れるのには発症してから数ヶ月かかります。それ故に治療への対応が遅れることが度々起こります。適切な治療が行われないと変形性関節症となりレントゲンの所見で「透亮期」「分離期」「遊離期」に分けられ治療方法も異なります。早期発見は超音波断層検査の方が優れています。MRIも有効です。

 外側型は、早期(透亮期〜分離前期、治癒率70〜90%)であれば局所の安静(投球などを休止)をしながらストレッチ(体幹、四肢、肩甲骨周り、回内屈筋群)、筋力強化を行い経過をみます。平均6ヶ月ほどかかります。病状の経過は同じような病状、暦年齢でも一年ほどで修復されるもの、2-3年かかるもの、完全修復、不完全修復で終わるもの、治療を開始しても急速に進行し関節症になるものまで幅があります。改善しない場合は症状に応じて手術を考慮します。テニス、器械体操、剣道、卓球、水泳などあらゆるスポーツでみられます。

 年齢が12歳以下で骨年令が低年齢(小頭・外側上顆の骨端線が遺残している)、病期が透亮像から分離前期は自然治癒が見込めるので、投球を休止して経過を観察します。内側型と異なりレントゲンでの治癒を確認します(6-12ヶ月)。投球・打撃、その他のスポーツでもバレーボール、ラケットスポーツは禁止となります。一ヶ月毎の診察、レントゲン、超音波で経過をみて3ヶ月毎にMRIを行うようにします。(必要に応じてCT)画像上の完全修復には1-2年を要します。岩堀らは「外側壁が再構築されれば慎重に投球を再開。初診後6ヶ月時点で期待通りに修復が進まないときは、さらに保存的に経過をみるか、いったん投球を再開させてみるか、手術療法に踏み切るかを判断する」としています。

 年齢が15才以上で骨年令が高い(外側上顆・小頭の骨端線が閉鎖)、病期が分離後期〜遊離期の場合には、自然治癒する可能性は低く、競技の継続を希望する場合は手術を行います。手術法にはドリリング、骨釘固定、骨軟骨柱移植などがあります。術後の投球再開はドリリングで3ヶ月、骨釘固定、骨軟骨柱移植で5ヶ月ほどかかります。

 「内側障害でも経過中に無症候性の外側型(小頭OCD)が見つかることがある」ので注意を要します。使いすぎ、姿勢不良、身体のタイトネス、投球動作不良などが遠因になっています。

 レントゲン撮影は通常の正側面に加えて肘関節正面45°屈曲位を追加します。

 *小学校高学年〜中学生の growth spurt 期(身長が急速に伸びる時期)の男子は下肢・体幹の筋肉、腱の伸びが追いつかずタイトネスが増強します。

 <野球肘 外側型 離断性骨軟骨炎に対する積極的保存療法>

 立原らが提唱する運動制限を最小限度とする保存療法のこと。病期に関わらず局所の疼痛、圧痛のある時期のみ投球を禁止し、この間に肩甲胸郭関節と股関節の柔軟性と機能改善を行う。安静期間はおよそ1ヶ月とし、局所症状が改善した時点で投球動作を許可する。復帰後も定期的に経過を診て、疼痛や引っかかり感、病巣の拡大などが診られる場合は手術を併用。

 野球への早期復帰が目標であり、レントゲン上の完全修復をめざすものではない。61%の症例で手術を要していることから、手術を前提とした保存療法である。

 
 尺骨鉤状結節裂離骨折 肘関節内側側副靭帯に牽引されて起こるまれな骨折です。2-4週間のシーネ固定。慢性例は固定しない。

 肘頭骨端離開 通常1-2ヶ月の投球休止で治癒します。。遷延例では手術を考慮。 

 参考:子供のスポーツ外来