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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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膝蓋軟骨軟化症 Chondromalacia Of Patella 膝蓋大腿疼痛症候群 patellofemoral pain syndrome 膝蓋軟骨軟化症(Chondromalacia patella)は、膝蓋骨の裏側にある関節軟骨が軟化し、変性や亀裂を生じる疾患です。現在では、膝蓋大腿疼痛症候群(Patellofemoral Pain Syndrome:PFPS)の一病態と考えられており、両者は臨床的に重なり合うことが多くあります。 本疾患は、10代の若年女性に多くみられます。先天的な要因は少なく、膝蓋骨と大腿骨のアライメント異常や、繰り返される膝への負荷(ジャンプ、階段昇降、長時間の座位など)によって二次的に発症することが一般的です。膝蓋骨の裏側にある軟骨が膨隆し、軟化・亀裂を生じることで、膝前面の痛みや不快感が出現します。 症状としては、膝蓋骨周囲の圧痛や、階段昇降、しゃがみ込み、長時間の座位後の立ち上がり動作などでの膝前面痛が特徴です。初期には「引っかかる感じ」や「違和感」として自覚され、進行すると運動時痛や膝の不安定感を伴うことがあります。 画像診断では、単純X線では軟骨の軟化自体は描出されませんが、膝蓋骨の高位(patella alta)や外側傾斜、関節裂隙の不整などの形態異常が確認されることがあります。MRIでは軟骨の浮腫や菲薄化、関節面の不整が描出され、診断に有用です。 治療の基本は保存療法です。消炎鎮痛薬の内服や外用、温熱療法、超音波治療などの物理療法に加え、ストレッチや筋力強化を中心とした理学療法を行います。特に近年では、膝蓋骨のトラッキング異常の背景に、股関節の内旋傾向や骨盤帯の不安定性が関与しているとされており、股関節外転筋・外旋筋(中殿筋、深層外旋六筋など)の強化が有効であると報告されています。 また、膝蓋骨の外側偏位やマルトラッキングが明らかな場合には、テーピングや膝蓋骨安定化用のサポーター、足底板(インソール)などの装具療法も併用されます。 保存療法で症状の改善が得られない場合や、膝蓋骨の亜脱臼・脱臼を繰り返す場合には、手術療法が検討されます。代表的な術式には、関節鏡視下での滑膜切除や軟骨デブリードマン、外側支帯の解離術、脛骨粗面移行術(Elmslie-Trillat法など)などがあります。膝蓋骨の不安定性が明らかな場合には、内側支帯の再建術や膝蓋骨の整復術が行われることもあります。 |
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