ダブルクラッシュ症候群 Double Crush Syndrome
末梢神経が二カ所以上で狭窄されるとぞれぞれの症状以上に強く障害が出るという説。三カ所だとトリプル、それ以上だとマルチプルとなります。
頸椎症による神経障害と手根管症候群が合併したものがよく見られます。おのおのの疾患単独では説明のつかない所見を認めます。手術を考慮する場合は原則として末梢の狭窄部位から行うとされています。
エビデンス:概念・病態
頸椎などの近位で神経が圧迫されると、同じ神経が手首など遠位でも障害を受けやすくなると考えられていますが、報告される頻度は6.7~73%と大きく幅があり、電気生理学的な診断基準がまだ確立していないと総説で指摘されています(Ghali ら. Hand (N Y). 2026)[1]。
エビデンス:診断・治療
手術を受けた患者を調べた研究では、頸椎症性神経根症がある人は手根管症候群などの合併が有意に多く、一本の神経が二カ所で圧迫されうることが示されています(Mills ら. Global Spine J. 2024)[2]。頸椎と手首の両方に圧迫がある場合、同時に手術する方法と時期をずらして手術する方法のいずれも長期成績は同等でしたが、同時手術のほうが手術時間・麻酔時間・入院期間の面で利点があったと報告されています(Byvaltsev ら. Spine (Phila Pa 1976). 2024)[3]。
エビデンス出典(全3件)を見る
- Ghali M, Ehlen QT, Kholodovsky E, Cacciatore J, Parrish J, Jenkins N, Dodds SD. Double Crush Syndrome: A Review of the Literature. Hand (N Y). 2026;21(6):889-897. PMID: 40684370.
- Mills ES, Mertz K, Fresquez Z, Ton A, Buser Z, Alluri RK, Hah RJ. The incidence of double crush syndrome in surgically treated patients. Global Spine J. 2024;14(4):1220-1226. PMID: 36321208.
- Byvaltsev VA, Kalinin AA, Polkin RA, Kuharev AV, Almatov MS, Aliyev MA, Riew KD. Simultaneous versus staged surgery for double crush syndrome of cervical radiculopathy and peripheral nerve compression at the wrist: a retrospective single-center study. Spine (Phila Pa 1976). 2024;49(19):E307-E314. PMID: 38305349.
参考:『脊椎脊髄・神経筋の神経症候学の基本』