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整形外科 外科
リハビリテーション科

陰部大腿神経痛 Genitofemoral Neuralgia

 陰部大腿神経はL1,L2よりでて腸腰筋を通り陰部枝(鼠径管をとおり、女性は子宮円索と大陰唇へ、男性は精索とともに走行し精巣挙筋、陰嚢下部へ)と大腿枝(大腿動脈に沿い鼠径靱帯の下をくぐって大腿内側の感覚神経となる)に分かれます。原因としては鼠径部の鈍的外傷、鼠径ヘルニアの手術後に起こることが多く、まれに自然発症します。痛み止め、局所のブロックなどが行われます。

神経痛の鑑別ポイント

項目 腸骨下腹神経痛 陰部大腿神経痛 陰部神経痛
神経根 主にL1 L1–L2 S2–S4
走行 腰方形筋前面 → 腹横筋・内腹斜筋間 → 下腹部皮膚 腸腰筋貫通 → 陰部枝・大腿枝に分岐 仙骨神経叢 → 坐骨棘内側を通過し会陰部へ
支配領域 下腹部・恥丘・腸骨稜上部 陰嚢/大陰唇・大腿内側 会陰部・肛門周囲・外陰部深部
主な症状 下腹部の灼熱感・異常感覚 陰嚢/大陰唇・大腿内側の痛み 会陰部の深部痛、排尿・排便時痛、性交痛
誘因 腹部手術、骨盤外傷 鼠径ヘルニア術後、外傷 分娩、骨盤手術、サイクリングなど
診断の鍵 腸骨稜上の圧痛、皮膚分布の一致 鼠径部のTinel徴候、神経ブロック反応 Alcock管圧痛、座位で増悪、MRIでの圧迫所見
治療 NSAIDs、神経ブロック NSAIDs、神経ブロック 神経ブロック、理学療法、神経剥離術

特に陰部神経痛は、深部の灼熱感や排尿・排便障害を伴うことが多く陰部大腿神経痛や腸骨下腹神経痛とは性質が異なります。また、陰部神経は**仙骨神経叢由来(S2–S4)**であるため、腰椎よりも仙骨部の評価が重要です。