(第1)ケーラー病 Freiberg disease
ケーラー病(Köhler病)は、小児期に発症する足根骨の骨端症のひとつであり、舟状骨(navicular bone)に生じる無腐性骨壊死(avascular necrosis)のことです。
子供(3-5才)の足の甲に痛みが生じます。レントゲンでは足の舟状骨の扁平化や骨硬化がみられます。一過性で2年以内に治るとされています。
治療は局所の安静と免荷を行います。痛む動作を控え、足底板(アーチサポート)を装着します。足底板の装着期間は、痛みが消失するまで数ヶ月~2年ほどかかります。
ケーラー病 治療プロトコール
|
治療段階 |
対象 |
具体的内容 |
期間・備考 |
|---|---|---|---|
|
初期対応 |
疼痛・腫脹がある患児 |
- 安静指導(運動制限) |
痛みが強い場合は即時対応 |
|
固定療法 |
中等度以上の疼痛・歩行困難 |
- 短下肢ギプス固定(軽度内反10〜15°・尖足位10°) |
約6〜8週間 |
|
装具療法 |
軽症例またはギプス後 |
- アーチサポート付きインソール |
平均6ヶ月使用 |
|
リハビリ開始 |
疼痛軽減後 |
- 足関節可動域訓練 |
症状に応じて段階的に進行 |
|
経過観察 |
全例 |
- レントゲンで骨修復の確認 |
6〜48ヶ月で画像的改善 |
ギプス固定の角度設定(ケーラー病)
舟状骨への負担軽減を目的に、以下の角度が推奨されます:
|
固定部位 |
推奨角度 |
目的 |
|---|---|---|
|
足部(短下肢ギプス) |
軽度内反位(10–15°) |
後脛骨筋の緊張を緩和し舟状骨への圧迫を軽減 |
|
足部 |
軽度尖足位(約10°) |
足底筋群の緊張を緩和し、舟状骨の安静を確保 |
舟状骨が修復されるまで単純レントゲン撮影で follow up します。経過は良好で、成長が終了したときに症状が残存することはほとんどないと言われています。
レントゲンフォローのインターバル期間(目安)
|
経過段階 |
フォロー間隔 |
目的 |
|---|---|---|
|
初診後(診断確定時) |
2〜4週間後 |
骨壊死の進行確認、固定の効果判定 |
|
ギプス固定中 |
4〜6週間ごと |
骨修復の進行度、骨硬化や扁平化の改善確認 |
|
ギプス除去後 |
2〜3ヶ月ごと |
骨形態の回復状況、再発の有無 |
|
長期経過観察 |
6〜12ヶ月ごと(必要に応じて) |
完全修復の確認、後遺症の有無の評価 |
舟状骨の修復は6〜48ヶ月かかることがあり、画像的改善が遅れる場合もあるため、長期的なフォローが重要です。
両側撮影により健常側との比較が有効です。
症状が再燃した場合はMRIによる再評価も検討されます。
MRIによる予後予測
MRIはX線で捉えきれない骨の微細変化や血流状態を評価できます。
|
所見 |
意義 |
|---|---|
|
骨髄浮腫 |
壊死の進行度を反映。広範囲なら予後不良の可能性 |
|
舟状骨の信号低下 |
骨硬化や断片化の兆候。治癒まで時間を要する可能性あり |
|
軟部組織の腫脹 |
炎症の程度を反映。疼痛との相関が高い |
|
血流評価(造影MRI) |
虚血領域の特定に有効。再生可能性の判断材料となる |
MRIは予後不良例(疼痛持続、癒合障害)を早期に識別可能。
特に症状が6週間以上持続する場合はMRIによる再評価が推奨されます。
ちなみに第2ケーラー病はフライバーグ病のことで、第2(~第5)中足骨骨頭の壊死のことです。