Morel-Lavellee lesion (MLL)
高エネルギー損傷で生じるデグロービング損傷の一つで、皮下軟部組織に剪断力が加わり、皮下組織と筋膜の間で剥がれて起こる損傷のこと。皮膚の穿通枝が切れるため血腫を形成し皮膚壊死を起こすことが多い。
小さなものは穿刺で対応可能なこともあるが、その後も浸出液がたまるので外科的処置が必要となる、大きなものは、MLLの中央部を大きく切開し、洗浄後、陰圧ドレンを挿入し、創部を開放したまま局所陰圧閉鎖療法などを行う。
Morel-Lavallée lesion の保存療法一覧
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保存療法 |
方法 |
目的・効果 |
備考 |
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圧迫療法 |
弾性包帯・加圧下着 |
液体貯留の抑制、組織癒着促進 |
圧迫しすぎに注意。循環障害のリスクあり |
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安静・患部の挙上 |
枕やクッションで患部を心臓より高く |
浮腫軽減、リンパ・静脈還流促進 |
特に下肢病変で有効 |
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穿刺排液 |
超音波ガイド下で液体を吸引 |
圧迫感・疼痛の軽減、感染予防 |
再貯留の可能性あり。繰り返し必要なことも |
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ドレーン留置 |
持続的に液体を排出 |
再貯留予防、感染リスク低減 |
感染管理が重要。陰圧閉鎖療法併用もあり |
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抗炎症薬・鎮痛薬 |
NSAIDsなど |
炎症・疼痛の軽減 |
胃腸障害や腎機能に注意 |
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経過観察 |
定期的な画像診断(MRI・超音波) |
病変の縮小・再貯留の確認 |
慢性化や被膜形成の兆候に注意 |
保存療法の限界と注意点
慢性化(被膜形成)すると保存療法では効果が乏しい
感染や皮膚壊死の兆候がある場合は外科的治療へ移行
再貯留率が高く、穿刺やドレーンだけでは不十分なこともある
外科的治療(慢性化・再発・感染リスクあり)
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方法 |
適応 |
備考 |
|---|---|---|
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単切開洗浄・掻爬 |
中等度〜大きな病変 |
ドレーン留置、陰圧閉鎖療法併用 |
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二重切開法 |
手術予定部位と重なる場合 |
感染リスク軽減のため分離処置 |
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被膜切除 |
慢性MLL(仮性嚢胞化) |
再発予防のために被膜除去 |
経験的には下腿前面のMLLは皮膚壊死を起こしやすいので注意が必要です。皮膚のテンションが重要で、しわが伸びきってつるつるとなり光を反射するものは、切開し血腫を除去しています。これを行わずに経過を見ると皮膚壊死を起こすことがあります。
穿刺をためらわないこと。超音波断層検査で、血腫が穿刺可能かどうか見分けることがある程度出来ます。血腫が確認されて穿刺をしても抜けない場合は、切開する方針で診療しています。
エビデンス:病態・診断(剪断力による閉鎖性デグロービング損傷)
Morel-Lavallée損傷は、皮下組織と筋膜の間に剪断力が加わって両者が剥離し、血液・リンパ液・壊死組織が貯留する閉鎖性デグロービング損傷であり、超音波やMRIによる評価が診断・治療方針の決定に有用と報告されています(Yang ら. Orthop Surg. 2023)[1]。
エビデンス:治療(保存療法は再貯留が多く、難治例は外科的処置)
小さな病変は圧迫や穿刺排液などの保存療法で対応されることがある一方、液体の再貯留率が高く、慢性化・被膜形成例や再発例では切開排液・掻爬などの外科的治療が必要になると報告されています(Singh ら. J Orthop. 2018)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Yang Y, Tang TT. The Morel-Lavallée Lesion: Review and Update on Diagnosis and Management. Orthop Surg. 2023;15(10):2485-2491. PMID: 37526135.
- Singh R, Rymer B, Youssef B, et al. The Morel-Lavallée lesion and its management: A review of the literature. J Orthop. 2018;15(4):917-921. PMID: 30190632.
参考:『AO骨折治療 第3版』