表紙に戻る
池田医院へようこそ
信頼とまごころの医療
からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科
リハビリテーション科

幻肢痛 Phantom Limb Pain

「下肢切断後に幻肢痛を感じることは非常に一般的で、報告によれば患者の約80%に発生すると言われています。痛みの強さや質には個人差がありますが、“存在しないはずの足が焼けるように痛む”などの訴えが多いです。

原因は完全には解明されていませんが、脳が四肢の存在を記憶していることや、感覚と運動の不一致が関係しているとされます。

治療法としては、抗うつ薬や抗てんかん薬などの薬物療法のほかに、ミラーセラピーや最近ではVRを使った視覚的リハビリが注目されています。また、『これは痛くない』と意識的に脳に働きかける認知的アプローチも、一部で効果があるとされています。」


主な薬物治療

抗てんかん薬(神経安定薬)

プレガバリン(リリカ):幻肢痛の第一選択薬のひとつ。神経の過剰な興奮を抑える作用があります。

ガバペンチン:プレガバリンと類似の作用を持ち、特に慢性痛に用いられます。
抗うつ薬
三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど):痛みの伝達を抑制する効果があります。

NaSSA(リフレックスなど):鎮痛効果に加え、睡眠の質を改善する作用も期待されます。
NMDA受容体拮抗薬
アマンタジン:中枢神経系の過敏性を抑える作用があり、難治性の幻肢痛に有効とされる報告があります。

ケタミン:静注で使用されることがあり、急性期の強い痛みに対して効果があるとする研究もあります。
オピオイド系鎮痛薬
トラマドール、モルヒネなど:強い痛みに対して使用されますが、依存性や副作用に注意が必要です。
その他
メキシレチン:抗不整脈薬ですが、神経障害性疼痛に対して効果があるとされる症例報告があります。

アセトアミノフェン、NSAIDs:補助的に使用されることがありますが、単独での効果は限定的です。

最新の治療法

ミラーセラピー(鏡療法)
鏡を使って健側の手足を映し、脳に「失った手足が動いている」と錯覚させる方法です。視覚を通じて脳の誤作動を修正し、痛みを軽減します。

VR(バーチャルリアリティ)療法
東京大学などの研究では、VRを使って幻肢を動かしているような体験を繰り返すことで、脳の運動表象が改善され、痛みが軽減されることが示されています。