頚髄損傷とは、首の脊髄が傷ついて、体の動きや感覚が障害される重い病気です。交通事故や転倒が主な原因で、高齢者ではちょっとした転びでも、背骨の狭窄が原因で脊髄が挟まれて損傷することがあります。特に上肢だけがしびれたり弱くなったりする「中心性頚髄損傷」は、MRIで脊髄の中央部に高信号が見える特徴があります。完全に動かせなくなる場合(ASIA A)は回復が難しく、急性期では血圧を保つことが生死を分けることもあります。かつてはステロイドが使われましたが、その効果は疑問視され、現在では脊髄の修復を促す新しい薬物療法や、早期手術の効果が研究されています。
頚髄損傷 cervical spinal cord injury
脊髄が損傷した場合、そのレベルより下の運動や知覚に障害が出ます。急性の外傷などで麻痺を伴うような損傷は二次~三次救急での対応が必要です。
神経を圧迫する状態が続いているときは除圧を目的に緊急手術が必要なことがあります。ステロイドの大量・パルス療法が行われてきましたが、その効果を疑問視する論文も最近出てきています。
脊髄はいったん損傷すると回復が難しく、今後、iPS細胞を使った治療が進展するのを期待しています。
参考:『関節外科』2022年3月号「脊髄損傷のアップデート」 / 『整形・災害外科 2022.5 整形外科医による漢方入門』 / 『関節外科』2024年6月号「整形外科の救急外傷」 / 『体幹のスポーツ外傷・障害 スホーツ整形外科学4』 / 『整形・災害外科 2023.4 扁平足の診断と治療』