発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼) developmental dysplasia of the hip (DDH)
かつては先天性股関節脱臼と言われていましたが、生まれつきのものではなく生後の育て方(股関節の位置)により起こることがわかり、現在では発育性股関節形成不全と呼ばれています。跛行が主な症状です。まれに膝から大腿にかけて軽度の痛み。全身性関節弛緩が合併することがあります。
おむつをして開排位を取らせていると比較的起こりにくいとされ、逆に股関節を閉脚して生活させると起こりやすいと言われています。
乳児検診で股関節の開排が不十分、左右差がある、患側の大腿にシワが寄る等によりスクリーニングします。疑いのある場合は、レントゲン撮影や超音波断層撮影を行います。
治療は生後3ヶ月までは装具は使わず生活指導を行います。それ以降はリーメンビューゲルという装具を装着(生後3ヶ月~生後6-7ヶ月が適応上限)して開排位を保つようにします。これで効果がない場合は入院してオーバーヘッド・トラクションを行います。ほかに、観血的脱臼整復、骨盤骨切り術、年長では大腿骨内反短縮骨切り術併用します。
エビデンス:Graf法超音波スクリーニング
発育性股関節形成不全(DDH)ではGraf法による超音波検査が有用で、股関節の未成熟や病変を早期に検出するために新生児への早期超音波スクリーニングが推奨されると報告されています。(Schams M ら. Eur J Pediatr. 2017)[1]。
エビデンス:リーメンビューゲル装具
生後6か月未満のDDHに対するリーメンビューゲル装具(Pavlik harness)は有効な保存療法ですが、成功率は報告により幅があり、装着開始時期が結果を左右する主要因とされています。(Ömeroğlu H. J Child Orthop. 2018)[2]。
エビデンス出典(全2件)を見る
- Schams M, Labruyère R, Zuse A, Walensi M. Diagnosing developmental dysplasia of the hip using the Graf ultrasound method: risk and protective factor analysis in 11,820 universally screened newborns. Eur J Pediatr. 2017;176(9):1193-1200. PMID: 28717864.
- Ömeroğlu H. Treatment of developmental dysplasia of the hip with the Pavlik harness in children under six months of age: indications, results and failures. J Child Orthop. 2018;12(4):308-316. PMID: 30154920.
参考:『関節外科』2022年4月号 / 『若手整形外科医のための小児整形外科疾患』 / 『これが私の小児整形外科診療 改訂第2版』 / 『整形・災害外科 2024.5 脆弱性骨盤輪骨折』 / 『関節外科』2022年2月号