肘関節脱臼とは、肘が外れてしまう病気で、転んで手をついたときに多く起こります。大人では肩に次いでよく見られ、小児では最も頻度の高い外傷です。ほとんどの場合、肘が後ろにずれる「後方脱臼」で、腕の骨と前腕の骨が正常な位置を失い、痛みや腫れ、変形が現れます。骨折がない単純な脱臼でも、靭帯が大きく損傷していることが多く、再脱臼しやすいです。特に鉤状突起(肘の内側の小さな骨)や橈骨頭(前腕の骨の先端)に骨折が伴うと、治療が難しくなります。整復後は2週間以上固定すると関節が固まってしまうため、早期に動かすことが大切です。小児では骨の成長板が未発達で診断が難しいため、健側と比べたり、画像検査を併用して正確に判断します。
肘関節脱臼 dislocation of elbow
転倒や転落、スポーツなどで肘を伸ばした状態で強く手をつくと起こります。また柔道や格闘技で肘を過伸展すると生じます。
骨折を伴わないことを確認して用手整復します。骨折や靭帯損傷が無ければ、1週間程度の固定後、可動域訓練を開始します。
靭帯損傷が疑われる場合は長くても2週間程度の固定します。それでも不安定性や再脱臼する場合は手術を考慮します。
鉤状突起骨折を伴う場合は再脱臼しやすいので骨片が大きい(25%以上)場合は手術を考慮します。
血流障害や神経障害に注意します。
参考:『orthopaedics』2021年6月号「肘関節脱臼・骨折 私の治療法」 / 『Orthopaedics』2023年6月号「こどもの肘周囲骨折の治療」 / 『臨床整形外科』2021年5月号「整形外科エマージェンシーマニュアル」 / 『Orthopaedics』2022年3月号「関節拘縮の予防と治療 私の流儀」 / 『Orthopaedics』2024年10月号「運動器の痛みに対する薬の上手な使いかた」