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| 整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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2025-11-12 JST 胸鎖関節痛の鑑別・診断・治療には、(1)原因疾患の幅広い想定、(2)問診・視触診+画像・血液検査による分類、(3)保存的治療を基本とし、明らかな損傷・変性・感染・脱臼などには専門的治療が必要、という流れをとるのが標準的です。 鑑別(原因・考慮すべき疾患)主な鑑別疾患としては以下があります。
問診・理学所見
画像検査
血液・その他検査
治療保存的治療が第一選択
専門的/手術的治療
注意点
【出典】
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【現在日付】 【結論】 1. 外傷関連:靱帯損傷(捻挫)・亜脱臼・脱臼(前方・後方)1-1 疫学・発生機序胸鎖関節脱臼は肩周囲外傷の中でも頻度は低いが、発生すれば前方脱臼が大部分であり、後方脱臼は少数ながら縦隔損傷を伴い得る高リスク病態とされています。(MDPI) 1-2 病態・組織学胸鎖関節は鞍状関節で、関節円板・前後関節包靭帯・肋鎖靭帯・間鎖骨靭帯によって安定化されています。後方関節包と肋鎖靭帯が特に強固で、これが前方脱臼の頻度が高い解剖学的背景とされています。(SpringerOpen) 1-3 典型的症状
1-4 身体所見
1-5 画像所見X線
CT
MRI
超音波
1-6 治療(概要)
2. 変性・関節症:胸鎖関節変形性関節症(OA)2-1 疫学・発生部位CT を用いた検討では、胸鎖関節 OA の頻度は加齢とともに増加し、50–60 歳以降で変性変化が高率にみられると報告されています。 2-2 病態・組織学関節軟骨の摩耗、関節裂隙の狭小化、辺縁骨棘形成、骨硬化、時に関節周囲の肥厚と滑膜炎を伴います。肋鎖靭帯付着部の骨化など、エンテソパチー様変化を伴うこともあります。(RSNA Pubs) 2-3 典型的症状
2-4 身体所見
2-5 画像所見X線
CT
MRI
超音波
2-6 治療(概要)
3. 炎症性・関節リウマチ系:強直性脊椎炎・その他体軸性脊椎関節炎・関節リウマチなどの胸鎖関節病変3-1 疫学・発生頻度強直性脊椎炎(AS)や乾癬性関節炎などの体軸性脊椎関節炎では、仙腸関節・脊椎に加えて胸鎖関節を含む前胸壁関節がしばしば侵されます。報告により頻度は異なるものの、MRI
研究では AS・体軸性脊椎関節炎の一部で胸鎖関節炎・骨髄浮腫を高頻度に認めています。 3-2 病態・組織学
3-3 典型的症状
3-4 身体所見
3-5 画像所見X線
CT
MRI
超音波
3-6 治療(概要)
4. その他の疾患4-1 SAPHO 症候群(Synovitis, Acne, Pustulosis, Hyperostosis, Osteitis)(1) 疫学・発生部位SAPHO 症候群は、無菌性骨病変と特徴的皮膚病変(重症痤瘡・掌蹠膿疱症など)を特徴とする炎症性疾患であり、前胸壁、とくに胸鎖・胸肋・胸骨柄周囲の病変が非常に高頻度とされています。前胸部骨関節病変は SAPHO の 60–90% に認められるとの報告があります。 (2) 病態・組織学
(3) 典型的症状
(4) 身体所見
(5) 画像所見X線
CT
骨シンチ
MRI
(6) 治療(概要)
4-2 Tietze 症候群(Tietze syndrome)(1) 疫学・発生部位Tietze 症候群は、胸壁の限局性腫脹と疼痛を特徴とする良性・非化膿性炎症であり、多くは第 2・3 肋軟骨の胸肋・肋軟骨接合部に単発性に生じますが、胸鎖関節も病変部位となりうることが報告されています。 (2) 病態・組織学軟骨および周囲軟部組織の非特異的炎症であり、組織学的には軟骨基質の変性と軟骨下骨の反応性変化が報告されていますが、特異的な病理所見は乏しいとされています。 (3) 典型的症状
(4) 身体所見
(5) 画像所見X線
超音波
MRI
PET-CT
(6) 治療(概要)
5. 化膿性胸鎖関節炎(Septic Sternoclavicular Arthritis)5-1 疫学・危険因子胸鎖関節は全身の化膿性関節炎の 1% 未満だが、免疫抑制・糖尿病・透析・静注薬物使用(IVDU)・中心ライン感染などで発症率が上昇する。 典型的菌種:Staphylococcus aureus(MRSA を含む) が最多、次いで Streptococcus、Pseudomonas(特に IVDU)など。 5-2 病態・組織血行性感染が主体で、胸鎖関節の滑膜炎 → 関節破壊 → 骨髄炎 → 前胸壁膿瘍、さらに縦隔炎(mediastinitis)へ波及する危険がある。 5-3 典型的症状
5-4 身体所見
5-5 画像所見(modality 別)● X線初期は正常であることが多い。進行例では関節裂隙の破壊、骨びらん、骨欠損。 ● CT(第一選択)
● MRI
● 超音波関節液貯留・膿瘍の局在描出に有用だが、縦隔評価は困難。 5-6 治療(概要)
6. 腫瘍性病変(原発・転移)6-1 疫学・分類胸鎖関節〜胸骨柄・鎖骨内側端は腫瘍の原発も転移も起こりうる。 ● 原発性腫瘍
● 転移性腫瘍(胸骨・鎖骨転移が胸鎖関節に及ぶ)乳癌、肺癌、甲状腺癌、腎癌、前立腺癌などの骨転移が胸骨柄〜鎖骨内側端に発生しうる。 6-2 病態・組織
6-3 典型的症状
6-4 身体所見
6-5 画像所見(modality 別)● X線
● CT
● MRI
● PET-CT
6-6 治療(概要)
5. 主な胸鎖関節疾患の比較表(概要)
【注意点・例外】
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化膿性胸鎖関節炎化膿性胸鎖関節炎は、胸鎖関節(sternoclavicular joint)に細菌感染が生じる稀な化膿性関節炎であり、全化膿性関節炎の1%未満と稀ですが、早期診断・治療が遅れると縦隔炎・骨髄炎・敗血症など重篤な合併症を起こします。高齢者、糖尿病、透析患者、静注薬物使用者(IVDU) で発症リスクが高く、起炎菌は 黄色ブドウ球菌(S. aureus) が最多です。 治療は原則として 抗菌薬投与(初期は静注)+必要時に外科的ドレナージまたは関節切除 が行われます。 化膿性胸鎖関節炎の主症状は、前胸部・鎖骨根部の痛み・腫脹・発赤・発熱 が主体です。 進行すると 肩の動きで痛みが増強 し、嚥下時痛や頸部運動時痛、呼吸時痛 を訴えることがあります。 炎症が縦隔や胸壁に波及すると、膿瘍形成・縦隔炎・全身発熱・悪寒戦慄・倦怠感・敗血症性ショック に至ることもあります。
出典
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