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整形外科 外科 リハビリテーション科 |
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腸骨鼡径部痛症候群 Ilioinguinal Neuralgia 鼠径ヘルニアの術後や鈍的外傷、骨盤手術中の損傷などで腸骨鼠径神経が圧迫されて起こる神経痛です。まれに自然発症します。 鼠径部~陰嚢上部(女性の場合は鼠径部~恥丘・外陰唇)にかけて痛みと感覚障害が生じ、大腿上部に放散します。 前屈姿勢を取ると症状が緩和します。鼠径部外側の腹横筋を貫いて鼠径管に入るところでTinel signを認めます。腸骨鼠径神経はL1神経より分枝しており一部Th12も混じていることがあります。 鑑別診断として、外鼠径ヘルニア、腸腰筋由来の疼痛、閉鎖神経痛、さらには腰椎由来の神経根症状なども考慮されます。 治療は消炎鎮痛剤などで対症療法を行いますが、鼠径ヘルニア手術が原因の場合、特にパッチなどで絞扼されている時は手術を行い絞扼を解除します。 ・鼡径部痛症候群との違い |
項目 | 腸骨鼡径部痛症候群 | 鼡径部痛症候群(Groin Pain Syndrome) |
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原因 | 腸骨鼡径神経の絞扼・損傷(術後・外傷など) | 筋腱付着部炎、関節障害、神経障害など多因子性 |
主な症状 | 鼡径部〜陰嚢・大腿上部の放散痛、感覚障害 | 鼡径部の鈍痛・運動時痛、股関節周囲の不快感 |
誘因 | 鼡径ヘルニア術後、骨盤手術、外傷 | スポーツ(特にサッカーなど)、反復動作 |
診断の鍵 | Tinel徴候、神経ブロックによる反応 | 画像診断(MRI)、徒手検査、除外診断 |
治療 | 神経ブロック、消炎鎮痛薬、神経剥離術 | 保存療法(理学療法、ストレッチ)、手術(まれ) |
腸骨鼡径部痛症候群は明確な神経支配領域に一致した痛みが特徴で、神経ブロックが診断・治療の両面で有効です。一方、鼡径部痛症候群は筋骨格系の障害が中心で、スポーツ選手に多く見られるため、リハビリや運動療法が主軸になります。