脊髄癒着性くも膜炎とは、脊髄を包むくも膜が炎症で硬くなり、くも膜と硬膜がくっついてしまう病気です。手術や造影剤、感染などが原因で起こり、髄液の流れが滞ると脊髄に空洞(脊髄空洞症)ができることがあります。症状はゆっくり進み、足の力が弱くなったり、温かさや痛みを感じにくくなったり、排尿が困難になることがあります。特に、温かさや痛みだけが鈍くなり、触れる感覚は残る「解離性感覚障害」が特徴的です。MRIでくも膜下腔の狭まりや空洞が見つかりますが、治療は難しく、手術でも再発しやすいです。
脊髄癒着性くも膜炎 脊髄くも膜嚢胞 adhesive arachnoiditis
脊髄神経は内側から軟膜、くも膜、硬膜、三種類の膜で覆われています。くも膜と軟膜の間の空間をくも膜下腔といいます。
くも膜が炎症を起こして肥厚や癒着を起こします。またくも膜下腔に嚢胞を形成し神経を圧迫することがあります。
はっきりとした原因は分かっていませんが、椎間板ヘルニア、感染、腫瘍、脊髄造影、脊髄手術、髄腔内への穿刺や薬剤注入が関連すると考えられています。
くも膜炎の症状は関連する神経支配領域の痛み、しびれ、感覚障害が生じます。のう胞による症状は脊髄の圧迫レベルで異なり、四肢麻痺、歩行障害、排尿障害などが起こります。検査で偶然見つかった無症状のくも膜嚢胞は基本的には経過観察を行いますが、圧迫症状を引き起こしている場合は、バイパス手術を行います。
参考:『脊椎脊髄ジャーナル 20222 癒着性くも膜炎の病態と治療を学ぼう』 / 『脊椎脊髄ジャーナル2024.02 機能性神経障害(FNDヒステリー)診断の革命』 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2023.12 目で見て学ぶ脊髄・末梢神経疾患の診察法』 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2023.10 脊椎手術野へのアプローチ』 / 『脊椎脊髄ジャーナル 2023.9 Parkinson 病と脊椎』