肩甲骨骨折 scapula fracture
肩甲骨の骨折は稀で骨折全体の1%未満。若者の高エネルギー損傷、高齢者の転倒などで起こります。
基本的には保存的治療を行います。ただし骨折面が乖離したものや関節面に段差を形成する場合は手術が必要となることがあります。
治療法
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骨折の程度 |
治療法 |
備考 |
|---|---|---|
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軽度・転位なし |
保存療法(スリング固定、安静) |
約4〜6週間の固定 |
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転位あり・関節内骨折 |
手術療法(プレート・スクリュー固定) |
関節窩骨折や肩峰下インピンジメントがある場合 |
手術適応は以下の通り
1.転位した下角骨折
2.著しく不安定な頚部骨折
3.下方転位した肩峰骨折
4.烏口突起I型骨折
5.関節適合性あるいは安定性が保持できない関節窩骨折
6.きわめて転位の大きな体部骨折
肩甲骨骨折型別 治療方針比較表
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骨折型 |
発生頻度 |
特徴 |
保存療法適応 |
手術適応 |
備考 |
|---|---|---|---|---|---|
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肩甲骨体部骨折 |
約50% |
筋肉・血流豊富で癒合良好 |
原則保存(2〜3週固定) |
外縁短縮 >1cm、転位大 |
変形治癒しても機能障害少ない |
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肩甲骨頚部骨折 |
約25% |
高エネルギー外傷で発生 |
多くは保存 |
関節窩の内下方転位大 |
偽関節少なく予後良好 |
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関節窩骨折 |
稀 |
関節内骨折 |
小骨片・転位なし |
骨片大・関節不安定 |
Ideberg分類に基づく手術判断 |
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肩峰骨折 |
稀 |
直達外力で発生 |
転位小なら保存 |
肩峰下インピンジメント予測時 |
機能不全少ない |
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肩甲棘骨折 |
非常に稀 |
筋肉・血流豊富 |
原則保存 |
偽関節・異常可動性あり |
肩甲上腕関節の適合性に注意 |
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烏口突起骨折 |
0.1〜0.25% |
筋付着部位で不安定 |
末端骨折は保存 |
転位大・基部2箇所破断 |
肩鎖関節脱臼を伴う場合は手術 |
参考:『AO骨折治療 第3版』 / 『骨折診療スタンダード 原著第4版』 / 『a外傷整形外科ケーススタディ』 / 『臨床整形外科』2021年5月号 / 『Orthopaedics』2022年10月号