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池田医院・診療日記
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科 リハビリテーション科

過去ログ 2014.4
平成27年5月1日(金) 肩関節脱臼 Hill-Sachs lesion 骨性Bankart lesion

 肩関節脱臼を起こすと多くは前方脱臼になるのですが、骨頭が無理矢理外れるために支えている関節唇を破壊してしまうことがあります。これをBankart lesionといい、骨折を伴ったものを骨性Bankart lesionと呼びます。またこのとき骨頭の後ろ側が関節唇の出っ張りに押されて骨がへこみます。これを画像診断上Hill-Sachs lesionといいます。

 運動選手などで脱臼が繰り返して起こる場合は手術を考慮します。いまは関節鏡を使ってBankart lesionを修復する手術が行われることが多いです。
 
 
平成27年5月2日(土)
 ゴールデンウイークの対応

 暦どおり明日から4連休になります。通院中の方で具合が悪くなるようでしたら院長携帯電話までご連絡ください。
平成27年5月3日(日) ゴールデンウイークのため休診
平成27年5月4日(月) ゴールデンウイークのため休診
平成27年5月5日(火) ゴールデンウイークのため休診
平成27年5月6日(水) ゴールデンウイークのため休診
 
平成27年5月7日(木) 日本医学会総会2015関西ソシアルイベント フットサル大会 捻挫

 
(この写真は日経メディカルの取材を受けた時に撮影してもらったものです。)
4月12日、フットサル大会の世話人をしました。15チームが参加してボールを追いかけました。大きなけが人も出ず無事に終了。楽しい一日でした。足関節を捻挫した人が数名ありましたがいずれもアイシング等で改善しました。

 捻挫をしたらすぐに軽く圧迫してアイシング、挙上しておくと治りが早いです。
 
 
平成27年5月8日(金) 胸椎・腰椎圧迫骨折

 高齢女性に多く発症します。骨粗しょう症がベースにあることが多いです。転けなくともふらっとよろめくだけで起こることも、はっきりした外傷が無くてもいつの間にか背中が痛くなってくることもあります。

 発症初期はレントゲン撮影では何も変化が出ていないこともあり、この場合、MRI撮影を行うと急性期かどうかすぐに分かります。治療は、かつては入院してギブスを巻いて一ヶ月ほどベッド上安静なんてことが行われていましたが、今は外来でフレームコルセットを作成して家で療養してもらいます。

 通常、痛みは一ヶ月ほどでほとんど改善しますが、コルセットは最低でも二ヶ月、安全を見込んで三ヶ月装着を行っています。施設により4ヶ月というところもあります。


 もちろん、骨粗しょう症がある場合は並行して治療します。
 
 
 
平成27年5月9日(土) 骨挫傷


 骨挫傷とはMRIにおいて行われる診断名です。外傷性に衝撃が骨に加わった時に骨髄内に起こる浮腫像を言います。レントゲン撮影で骨折は無いのに痛みが強い場合にMRIを撮影すると骨挫傷が隠れていることがよくあります。

 もちろん骨挫傷がなく不全骨折(レントゲンで写らない骨折)が隠れていることもありますので、いずれにせよ、痛みが強い場合はMRIで精査するのが良いでしょう。

 骨挫傷の痛みはおよそ4週間ほどで改善します。痛みに応じて固定したり免荷します。
 
 
平成27年5月10日(日) 自転車 鴨川 運動 骨粗しょう症

 天気が良いので鴨川を自転車で走ってきました。この時期、紫外線が強いので日焼けに注意が必要です。骨粗しょう症の予防に日光浴というのがありますが、これは何も直射日光に当たる必要は無く、曇っていても木陰でも大丈夫です。

 日中に木陰を歩くだけでも十分効果があります。
 
 
 
平成27年5月11日(月)
 熱中症予防と水分補給 塩分も忘れずに

 熱中症は暑い屋外での活動はもとより屋内でじっとしていても起こります。特に換気がされていない部屋でエアコン等を使わずにいると起こりやすいです。高齢の方は暑さや喉の渇きを感じにくくなっていますので、自分の感覚だけを信じてはいけません。

 こまめに水分や塩分を摂るようにしてください。

 スポーツドリンクは塩分が少なく糖質が多くなっています。したがって水分補給するときは、水500ml+スポドリ500ml+塩小さじ少々を混ぜて飲用するようにしましょう。

 この時期から少しずつ暑さに慣れていくことも熱中症の予防に重要です。日頃エアコンの効いたところで生活をしている場合には突然暑いところに行くと10-15分で熱中症になることもあります。

 やはり体を徐々に慣らすように心がけましょう。

 熱中症の初期症状は、頭痛やふらつき、気分不良です。こういった普段と違う症状が出たら無理をせずにすぐに涼しいところに移動し、水分、塩分を補給します。また周りの人の早めに声をかけておくことも大切です。

 水やスポーツドリンクを大量に摂取すると塩分が相対的に少なくなって水中毒という状態になりますのでこれも注意が必要です。
 
 
平成27年5月12日(火) 水中毒


 水分をかぶ飲みすると体の塩分濃度が下がって疲労感、めまい、吐き気、息切れ、手足のむくみ、けいれんなどが起こります。重症になると脳浮腫による意識障害を起こすことがあります。市民マラソンなどでは脱水にならないように水分摂りすぎて水中毒になっている人が意外と多いと言われています。スポーツドリンクは塩分が少ないので要注意です。

 下痢、発熱など、また運動中に発汗すると塩分と水分を喪失しますが、その分を補給には、OS1のような経口補水液を飲むようにします。(水1リットルに対して砂糖大さじ4と1/2、食塩小さじ 1/2を加えると出来ます)
 
平成27年5月13日(水) 台風一過 サイクリングによる神経障害

 昨日は台風の影響で雨が一日中降っていましたね。雨の中、鴨川を自転車で走ってきましたが、北の方は靄がかかって幻想的な風景でした。

 長時間、自転車に乗ってハンドルポジションを変えていないと手指がしびれてくることがあります。手根管症候群のこともありますが、まれにギオン管症候群のこともあります。すぐにしびれが改善しない場合は、医療機関を受診した方が良いですね。

 頚椎の悪い人はロードバイクなどの前傾ポジションを取るのが難しいです。前傾して前を見ようとすると頚椎が後屈してしまい、痛みやしびれが増強します。こうなると15分も乗ってられなくなります。

 見た目の問題(かっこよさ)はありますが、ツール・ド・フランスに出るような人(平均時速50キロで走る人)以外はサドルを少し低めにしてハンドルを上げると良いでしょう。
 
 
平成27年5月14日(木) しびれと麻痺と痛み

 手足のしびれや痛み、麻痺は神経が障害されたときに起こります。脳〜脊髄〜根部〜末梢神経という経路のうちいずれかが傷害されると何らかの症状が出ます。

 根部を含めた末梢神経の場合は、傷害された神経固有の症状が出ます。それ以外は出ません。しびれ、痛み、麻痺のいずれもあり得ますが、後骨間神経麻痺のように運動神経は傷害されても知覚枝がないので感覚障害は出ないということもあります。

 いずれにせよそれぞれ固有の症状を知っていれば診断はつけやすいです。


 脊髄神経が傷害された場合は、たとえば脊髄症ではその傷害レベルから尾側の症状が出ます。腰椎なら下肢の麻痺やしびれ感、頚椎なら四肢の麻痺やしびれ感がでます。痛みは脊髄損傷性疼痛が生じることがあります。

 脳神経の障害でもやはり麻痺やしびれ、痛みがその損傷部位によって様々な形で出ます。麻痺が症状としては分かりやすいですが、時として症状がしびれしか出ないことがあります。

 結局のところ、それぞれの障害パターンを理解した上で診療に当たらないと誤診することになります。中枢神経の障害(急性期の脳梗塞や脳出血)が疑われる場合は、躊躇せずに高次病院でただちに精査し治療を開始するように努めます。


 平成27年5月15日(金)
 転移性脊椎腫瘍 両下肢麻痺 放射線治療 除圧手術

 転移性脊椎腫瘍で脊髄を圧迫して両下肢麻痺が出現することがあります。手術は麻痺が発症して24時間以内に行うと効果が見込まれます。それ以降は放射線治療や抗がん剤による治療を行います。

 最近の放射線治療は患部に出来るだけ限定して照射できるようになっており、以前のようになんでもかんでも広い範囲で照射するようなことはなくなってきています。
 

 平成27年5月16日(土) 一晩中雨が降ってました。気候病


 雨が降ると調子が悪いと皆さんよく言われます。これは気候病として気圧や気温の変動で症状が出たり増強するという説もあれば、動機づけによって不安を解消していると言う説もあり、どちらが正しいのかよく分からないのが現状のようです。

 これとは別に、筋肉や関節が冷えると痛みが出やすいのは温度が下がって循環が悪くなるからと考えられています。

 ただそういった経験により脳が学習して冷えると必要以上に痛みを感じてしまう回路が出来ると言う話もあります。
 
平成27年5月17日(日) 

 平成27年5月18日(月)
 腰椎椎間板ヘルニアと神経障害レベル

 同じレベルに起こった椎間板ヘルニアでも出る方向や場所にによって症状が異なります。たとえばL4/5(第4腰椎と第5腰椎の間でのヘルニア)で解説しますと、中央部に出ると排尿排便障害などを起こす馬尾障害が起こります。そこよりやや外側ですとL5の神経根を圧迫症状を、更に外側ですとL4神経根症状をだします。

 またL4/5椎間板ヘルニアが上方へ脱出(たれ上がり)するとL4神経根症状を出します。
 

 平成27年5月19日(火) ストレス性の歩行障害

 過度のストレスがたまると人間の体は異常な反応を示すことがあります。たとえば、ふらついて歩けなくなる人もいます。もちろんふらつきはいろんな疾患の一症状のことも多いのですが、原因が不明なもののなかにはストレス性のものがあります。ただしほかの疾患(脳神経や循環器)を除外する必要があります。


 ストレスが原因であれば、それを解消する必要がありますが、医療としてそこから先は心療内科や精神科の領域になるかと思います。

 腰痛でもかなりの部分がストレスで発症していると言われています。そのあたりの解説は非特異的腰痛症の項目で行いました。
 

 平成27年5月20日(水) 運動器の超音波診断

 当院のホームページで運動器の超音波画像診断コーナーを作成します。10年来の構想でようやく開始することになりました。少し一般の人には難しくどちらかというとある程度超音波の読影が出来るプロ向けに作成していこうと思います。

 幸い医師になってからずっと傍らに超音波断層装置があったのはすごく恵まれていたと思います。整形外科への応用は20年以上前にもなります。小児の上腕骨骨折を手術するときに超音波ガイド下で行ったり、また脊髄の転移性腫瘍の術後に神経との圧迫状態を動画で記録するなんてこともしてました。


 今は外傷や腫瘤などの疾患、腱鞘炎、骨折、捻挫等々幅広く診断の補助として使っています。
 

 平成27年5月21日(木) 肋骨骨折と超音波断層検査

 ちょっと昔なら肋骨を痛めた方には診察とレントゲン撮影を行って判断していました。レントゲン撮影で骨折が見当たらなくとも痛みの程度によって不全骨折があると考え治療するケースもよくありました。 

 ところでこのレントゲン撮影、万能ではありません。肋骨骨折の場合で診断率はなんと60%です。残りの40%は描出されません。では超音波検査はどうでしょう。およそ85%で診断できます。超音波で所見が無く更に検査が必要な場合はCTを行います。

 CTの」診断率は97%ですが、これにも欠点があって放射線被ばくの問題と軟骨は写らない点です。軟骨も描出できる超音波は外来検査としては最強の武器となっています。

 ただ超音波検査の問題点を挙げるとすれば、読影が難しいことです。施設や検者によって実力の差が一気に出る検査と言えます。
 

 平成27年5月22日(金) 骨粗しょう症と圧迫骨折

 60歳以上の女性で背中がなんとなく痛くなってきた場合、骨粗しょう症による脊椎椎体圧迫骨折が起こっていることがあります。背骨が痛いというより背中に放散する痛みであることが多いです。初期の場合は鑑別が難しくレントゲン撮影でもほとんど変化がありません。

経時的にレントゲン撮影を行うかMRIを行うかですが、症状を勘案して行います。MRIですと初期の段階でも診断できます。


 (とここまで書いて先日同じテーマで書いていたことに気がつきましたので少し切り口を変えてみます。)

 圧迫骨折は圧倒的に女性に多いです。しかも60代以降の高齢女性に多く、これは閉経後女性ホルモンが減少するために起こるとされています。となるともともと女性ホルモンが少ない男性のほうが骨が弱りそうなものですが、実はそうではありません。

 男性の場合、男性ホルモンが骨を強くしています。これは女性ホルモンほど著しく減ることはありませんので骨量が保たれることになります。
 
 
平成27年5月23日(土)
 創傷と日焼け

 新しい傷は安定するのに数ヶ月ほどかかります。その間に強い紫外線が当たるとヤケドしたように水ぶくれが出来ることがあります。特に面でケガをした擦過創や皮膚欠損創などが問題になります。ケガをした年は創部に日光が直接当たることを控えるようにしてください。長袖や長いスラックス等々日よけグッズをうまく利用すると良いですね。

 ケトプロフェンの入った湿布や外用剤は光過敏症を起こすことがあります。これは皮膚にしみこんだケトプロフェンが日光により皮膚炎を起こします。湿布を張り終わってから一ヶ月は患部が日に当たらないように気をつけます。今日張ってないから大丈夫と言うことではありません。ここが皆知らないまま光過敏症を起こす原因となっています。

 当院ではケトプロフェンの使用は極力控えていますが、患者さんのご希望で使用するときは十分に説明しますのでこういった問題は起こっていません。
 
平成27年5月24日(日)
 
平成27年5月25日(月)
 鎮痛剤って痛みを抑えるだけ?

 痛みを抑えるだけじゃなくて痛みが起こらなくする作用もあります。従って単に痛みを分からなくするだけではありません。痛み刺激が起こると受容体から神経を経て脳で痛みを感じます。最近分かってきたことは、脳が痛みの回路を作ることです。痛み刺激が持続的に脳に入力されるとそれに応じて回路が出来てその痛みを感じやすくなります。こうなると著とした刺激がその部分に起こってもそれ痛みが来たぞと脳が反応していたく感じます。

 これが極端になると痛み始めでもとてつもなくいたく感じるようになります。こうなるとなかなか治療が大変ですので、鎮痛剤は痛ければ使用するほうが良いと考えます。

 もちろん、そういうことを理解した上で使用したくないという人もおられますのでほかの治療ができるか考慮します。ただとても困るのは、安静に出来ない、薬は欲しくない、リハビリは忙しくて来られないなんてことになると治療の手立てが縛られすぎて何も出来ないこともあります。まあそれはそれで仕方が無いことですが・・・励ますぐらいしか出来ないですね。
 
 
平成27年5月26日(火) 痛みの不思議

 痛みはとても不思議です。同じようなケガでもすごく痛がる人もあればそれほど痛くないという人もあります。また心理的な影響もかなりあるようで、うちの医院の敷居をまたいだら痛みが消えたとか、レントゲンを撮ったら痛くなくなったという信じられないようなエピソードもあります。

 先生の顔を見たら痛くなくなったという話を聞くと、まるでアンパンマンにでもなった気分です。

 医療を行う場合、患者さんとの信頼関係をどのように構築するかはとても難しい永遠の課題です。考えれば考えるほど分からなくなりますから、近頃は難しく考えず普通に接するのが一番よいと思うようになりました。

 そういうのって思うほどにぎこちなくなって違和感が出ちゃいますからね。自然体が一番です。
 
 
平成27年5月27日(水) 「完治しますか?」

 この質問ほど難しいものはないと思います。外傷や障害の場合は厳密な意味での完治は基本的には無いと考えています。ほどよく支障なく治るというのが目標となります。捻挫や挫傷で損傷した部位は元通りに再生するのでは無く線維成分が新生されて傷を埋める作業が行われます。

 この種の修復は元の筋や腱、皮膚組織とは異なりますので同じパフォーマンスを得ることはなかなか難しいことです。ただこの修復をしっかりと行っておかないとパフォーマンスは更に落ちることになります。
 
 
平成27年5月28日(木) 笑顔と痛み

 笑顔であると痛みも感じにくくなる効果があると言われています。笑うと脳内のエンドルフィン(痛みなどを和らげる作用があります)がでて緩和します。笑う門には福来たると言いますがまさに笑えば痛みも減っていきます。

 ただものすごく痛い時に笑うのは無理ですね。そういうときは痛み止めなどを使った方が良いでしょう。

 ホームページの表紙に今来られている患者さんの写真を掲載しました。みなさん快くご協力して頂けました。カメラを向けると満面の笑みにこちらの心も洗われます。
 
 
平成27年5月29日(金) 創縫合のコツ

 最近は、程度の軽い創はテープでとめて治療することが多いのですが、裂傷や割創などはやはり縫合する必要があります。顔面は出来るだけデブリードメントしないで処置を行います。きれいに治るかどうかは一つ目の縫合でおよそ決まります。これがずれていると最後まで収拾がつかずに跡が残りやすくなります。そのため最初の一針は慎重に位置決めをして縫合します。

 どのような創傷でも痕は残ります。それが目立たないようにするのがコツと言えます。傷が目立つのは段差があって陰影が出来る場合です。これは光の当たり具合で創部に影が出来て目立ちますので、如何に段差を作らないかもポイントとなります。

 あと創部に張力がかからないように心がけるとよいです。
 
 
平成27年5月30日(土) 外傷性頚部症候群

 外傷性に起こった頚椎の捻挫を外傷性頚部症候群と言います。かつてクルマの追突事故で起こった頸部痛をむち打ち損傷と言いましたが、今は診断名として使うことはありません。

 もともと加齢による変化である変形性頚椎症や椎間板ヘルニアがあって事故に遭うとより症状が強く長引くことがあります。事故の保険は元の病気の部分まではみてもらえません。
 

平成27年5月31日(日)