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池田医院・診療日記
信頼とまごころの医療 からだにやさしい医療をめざして

整形外科 外科 リハビリテーション科

過去ログ 2015.4 2015.5
 
平成27年6月1日(月) 真夏日と熱中症

 熱中症の季節がやって参りました。今年は5月半ばより30度を超える暑さでしたのでカラダもびっくりしていると思います。本来人間の至適温度は裸で30度であり、5度下がるごとに服が一枚いると言われています。もちろん服の厚さによって枚数は異なってきます。

 30度以上だと裸でも至適温度を越えますので、何らかの暑さ対策が必要です。また熱中症は湿度にも大きく影響されます。人間の体は暑いと汗をかいて蒸発熱によって冷やされます。したがって湿度が高いと汗が蒸発せず流れるだけとなり体温調節がうまくいきません。

 風が吹くと涼しく感じるのは汗が蒸発して体を冷やしてくれるからです。

 日本の夏は高温多湿です。屋内にいても室温、湿度、無風というコンディションだと熱中症が起こりやすくなります。

 屋外では日光を避けるために帽子をかぶることが大切です。もちろん水分、塩分補給が大切なのは言うまでもありません。

 もし体調が悪くなればすぐに周囲の人に声をかけることが大事です。恥ずかしいと我慢していると重症化することがあります。何もない屋外でしたら着衣を緩めて木陰で休む。水分補給やぬれタオルで体を冷やすなどを行いましょう。

 エアコンがある環境ならただちに電源を入れて冷やしましょう。 

 
平成27年6月3日(水) 指関節と外傷

 指の関節は拘縮を起こしやすいです。拘縮の原因としては皮膚、関節、腱のいずれかもしくは複数に問題があって起こります。それぞれに対応をするのはもちろんですが、予防に努めることも大切です。

 指関節が動きにくくなってしまうのは外傷後に時として起こります。大人の場合、関節が固まるのに3-4週間かかりますが、骨折が治るのに4週間ほどかかかりますので固まらないうちに可動域訓練を行います。ただ病状、年齢により拘縮が起こりやすいこともあります。 

 
 
平成27年6月4日(木) よくある誤解:年を取ると運動後の筋肉痛は遅れて出る?

 誰もが運動後の筋肉痛を経験したことと思います。この筋肉痛は直後ではなく遅れて出てくるので遅発性筋肉痛と呼びます。

 かつて乳酸がたまると痛むいう話がまことしやかに言われていましたが運動で作られる乳酸はただちに血中に排出され分解されますので筋肉中に貯まることはありません。

 従って乳酸が貯まって痛む説は間違いです。

 また年を取ると筋肉痛が若い頃よりより遅れて出てくると言われますが、これも最近では年齢に関係ないと言われています。

 なぜ遅発性筋肉痛が起こるのかは実のところよく分かっていません。ただ筋肉には痛みを感じる受容器がなく筋肉を覆っている筋膜にはあることから、痛みは筋膜に炎症が起こることによってではないかと言われています。

 運動後の痛みの出るまでの時間は、筋肉の性状や運動強度によって異なるという説があります。筋肉にとって弱い力での運動は痛むまでに時間がかかると言われており、年を取ると痛みが遅く出るのは若い頃に比べて運動強度が低いせいかもしれません。この種の話は5年、10年と経つとまた話が変わってくることもあり日々勉強しておく必要があります。

 
 
平成27年6月5日(金)  よくある誤解:痛みが無くなったら治った?

 痛みが無くなったら基本的には治って「きた」と言えます。痛みは閾値を越えると感じます。この閾値というのがくせ者で痛みを感じなくとも炎症が残っていたり治癒過程であることもあります。たとえば骨折の痛みは数週間でかなり改善しますが下肢の場合、ある程度の荷重をかけることが出来るのは6-8週ほどかかります。またそこに強い運動負荷をかけるにはもう少し時間をかけて行く必要があります。

 痛みが無くなったから自己判断で負荷をかけて失敗するケースはよくあります。足の捻挫などは2-3週で痛みが取れてきますが靱帯が強固に安定したわけではありません。それにはさらに数週間はかかるでしょうし、時期に応じた可動域訓練や筋トレを行う必要があります。
 
 
平成27年6月6日(土) 骨粗しょう症が基礎疾患としてある背骨の圧迫骨折を放っておいたら?

 背骨の圧迫骨折は椎体という四角形で体重の70-80%を支える部分が重みや衝撃に耐えかねて骨折することによって起こります。

 骨折と言っても真っ二つに折れるのではなくクシュっとつぶれる感じです。このつぶれは発症当初はレントゲンでは写らないことが多く、1-3週間経ってレントゲン検査を再度行い初回のものと比較してつぶれてきていることが分かります。

 ただしこれだと診断までに時間がかかりますし、その間どんどんつぶれていきます。圧迫骨折が疑わしい症例では早めにMRIを行うとすぐに分かります。

 当院では診察〜MRI〜装具作成(石膏で型どりしフレームコルセットを作成)まで最短で数日で行うことが出来ます。

 最短例:朝に診察、当日にMRIの撮影を依頼、当日撮影。夜診で読影。装具作成の依頼。翌日、採型。2-3日で完成納品。

 実例:昨日、初診、症状レントゲンで新鮮圧迫骨折疑い。本日、MRI、新鮮圧迫骨折あり、装具採型。明明後日完成予定。(作成業者さんやMRIを依頼する医療機関の状況で多少変わります。)
 

 もし新鮮圧迫骨折(骨粗しょう症あり)を放置しておくと、かなりつぶれちゃいます。問題はつぶれ方で三角形のいわゆる楔状となり背骨は後弯変形し、これにより上下の椎体に押しつぶす力が加わるためドミノ倒しのように次から次へと何カ所も圧迫骨折を起こしていきます。それゆえ出来るだけつぶれないように初期治療をしっかりと行うようにします。
 
平成27年6月7日(日)
 
平成27年6月8日(月)
 五十肩と可動域制限

 四十肩、五十肩と呼んでいる病気は肩関節周囲炎といって肩関節の腱や筋膜の炎症によるものとされています。その原因は動脈硬化説が有力ですがはっきりとは分かっていません。いずれにせよ炎症が生じて関節包や滑液包に筋腱が癒着していきます。こうなると動かせる範囲が狭くなってしまいます。このような状態を肩関節拘縮、凍結肩と言います。

 癒着は4-5年かけて自然に改善するとも言われますが、その間、筋肉や腱が萎縮したり硬くなってしまい治らないこともあります。従って現在では、放置するのではなく可動域訓練を含めたリハビリを行うのが一般的です。

 江戸時代は長生きした人しかならないので幸せの病気と言われたそうです。平均寿命が30歳代でしたから40〜50歳まで生きることはとても目出度いことだったのですね。 

 
平成27年6月9日(火) 二カ所以上の絞扼(こうやく)性神経障害 double crush syndrome triple crush syndrome multiple crush syndrome

 同じ神経が複数箇所で絞扼されるとより強い症状として表れます。例えばよくあるのが頸椎症で正中神経のもとになっている根部と手根管症候群(正中神経)があると両方ともに大きな所見がなくとも症状が強く出ることがあります。

 複数の病気がその症状を更に増悪させていることはよくありますので注意が必要です。
 
 
平成27年6月10日(水) 医学用語は難しい

 医学で使う病名は漢字で書くととても難しく感じますね。昨日書いた絞扼性(こうやくせい)と言うのも普通みることはありません。そのほかよく使われる言葉として癌は「がん」、骨粗鬆症は「骨粗しょう症」と表記されるようになってきています。また時代の変遷として名称が変わることがあります。例:成人病→生活習慣病 整形外科の病名も時代とともに変化します。昔は剥離骨折と呼んでいたものも少し定義が変わって「裂離骨折」となっています。また同じ病気を指す場合でも複数の病名があったりします。

 あと略号はやめて欲しいですね。他科だとさっぱり分からない。介護用語でもDSがデイサービスの略と知っていないと理解できません。整形外科でも略号はいっぱいあります。膝関係でも、よく使うACL,PCL、MCL、LCL等々、普通の人にはさっぱり分からないですね。書くのは楽ですが、他の人に伝えるのには不向きです。
 
 
平成27年6月11日(木) 運動強度とリハビリ

  筋肉を鍛えるには最大筋力、持久力を向上させていく必要があります。最大筋力を向上させるには三回程度しか出来ない負荷をかけます。持久力は逆に軽い負荷で継続できる程度のものを行います。最大筋力のトレーニングは、24時間から48時間毎に行います。持久力の改善のためには毎日軽めのトレーニングを行います。両方、鍛えるためには週2-3回最大筋力をつける運動を行い、合間に持久力をつける軽めの運動を入れると良いでしょう。この場合、完全休息日を一日挟むようにします。

 運動に慣れていない人はもう少し少ない量、回数で行うようにします。

 加えてストレッチをしっかり行います。これは筋肉をいくら鍛えても筋肉の柔軟性がなければすぐに故障してしまうからです。
 
 
 
平成27年6月12日(金)
 リハビリの頻度と回数

 リハビリを毎日行った方が良いのは言うまでもありません。よくトレーニングと称して週1-2回行うところもあるようですが、ほとんど効果は見込めないと思っています。やはり可動域訓練にしても筋肉トレーニングにしても毎日行う方が効果的です。その上で強弱をつける場合は昨日申し上げたとおり休息日を作ることも大切です。

 可動域改善訓練は運動強度はほとんどありませんので毎日、出来れば1日3回ほど行うのが良いでしょう。筋トレは持久力をつける弱い負荷の場合は毎日行うのを基本とすれば良いでしょう。疲労しすぎない程度に行うのがコツだと思います。アスリートの場合、回復してくればかなり運動強度を上げていく必要があります。この場合はやはり休息日や運動強度の低い日を織り交ぜて行う必要があります。
 
平成27年6月13日(土) 肉離れとタイヤのパンク


 昨日、自転車で鴨川を走っていたら突然パンクしました。まあこれと似たような話が運動時の肉離れです。これも突然起こります。予兆があることもありますが、基本的には運動の瞬間に起こります。なると程度の問題はあるにせよ運動パフォーマンスは著しく低下します。足の場合、立っていられないことも多いです。

 肉離れは下腿三頭筋でおよそ一ヶ月、ハムストリングで二ヶ月ほどかかります。ちなみにハムストは若者に多く、下腿は中高年多いです。肉離れを早く治すためには筋肉内に出来るだけ血腫を作らないことです。アイシングだけは不十分で下肢の挙上や圧迫が大切です。外傷が起こっておそらく10-15分で出血が進みますので如何に現場で正しく応急処置を行うかにかかっています。


 パンクの修理はどうしたって?もちろん自分でチューブを交換して完了しました。
 
平成27年6月14日(日)
 
平成27年6月15日(月) 突き指もいろいろ

 多くの突き指はボールが当たって起こることが多いです。この突き指損傷は医学的には槌指(つちゆび)と書きます。突き指には骨折を伴う「骨性」、腱が切れる「腱性」の2種類があります。両方合併していることもあります。

 骨折した骨片が大きければ手術を行います。骨片が小さいもしくは腱性の場合は伸展位固定を6週間ほど行います。
 
平成27年6月16日(火) ファットパッドサイン fat pad sign

 レントゲンで肘関節周辺での骨折で出てくるサイン。骨折により関節内出血が起こりそれにより元々ある脂肪層が押し上げられるためにそのように見えます。お店のひさしのような形に見えます。超音波で観察すると血腫に押し上げられた脂肪層がくっきりと出ます。出血量が多い場合は穿刺して除去します。関節内の出血は固まりにくいので抜きやすいです。皮下や筋層内は時間とともに固まってしまい抜けにくくなります。こうなると数週間後に再び液状化するまで待つか切開することになります。

 
 
平成27年6月17日(水) 非特異的腰痛症

 腰痛を起こす因果関係がはっきりした異常所見があるのを特異的腰痛症(要するに原因がある)とするならば、例え異常所見があってもそれが原因となっているか確証がない腰痛は非特異的腰痛症と呼ばれます。例えば、椎間板ヘルニアがあってもそれに応じた症状がなければ原因とはならず、非特異的腰痛と診断されます。分かりやすく言えば、ヘルニアが神経根部を圧迫してその末梢にある支配領域の痛みやしびれがでるときは椎間板ヘルニアによるものと言えます。

 では椎間板ヘルニアで腰痛が出るのでしょうか?ここのところがややこしいのですが経験的に椎間板ヘルニアがあると腰痛や下肢痛が出ます。成書では10%に出るとするものもあります。では直接神経を触ってみると痛むのでしょうか?実は痛みません。単純に触れただけでは痛みを感じません。そこでヘルニアが神経を圧迫して痛みを感じるのは化学的な変化がそこで起こっているからだとされています。
 
 
平成27年6月18日(木) 腰痛におけるレッドカード

 腰痛症では危険信号としてレッドフラッグサイン(Red flag sign) というのがあります。危険を意味する赤旗所見のことです。この所見があれば危険な疾患が内在している可能性があるので要注意ですよという意味です。成書により若干異なりますがレッドフラッグサインは以下の通り。

 発症年齢<20歳以下または55歳以上

 時間帯や活動の内容に関係なく痛む
 胸部痛
 がん、ステロイド治療(免疫抑制剤)、HIV感染の既往
 栄養不良
 説明のつかない体重減少
 広範囲に及ぶ神経症状
 脊柱変形
 発熱

 引用元 
van Tulder M, et al ; COST B13 Working Group on Guidelines for the Management of Acute Low Back Pain in Primary Care : European guidelines for the management of acute nonspecific low back pain in primary care. Eur Spine J 15 : S169, 2006. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/16550447/

 もちろんこれ以外の症状が大丈夫と言うことではなく、ほとんど大したことがない痛みでもMRIで精査するとがんが転移していたケースもあります。レントゲン撮影で分かるのはかなり進行した状況と言えます。痛みが続く、移動する、安静にしても痛い、足がしびれる、痛い、足の力が入りにくい、おしっこや便が分かりにくいなどの症状があればただちに受診される方が良いと考えます。
 
 
 
平成27年6月19日(金) 痛みを契機にしてもの悲しくなるとき

 痛みが引き金になって悲しくなったり、寂しく涙が出てくることがあります。これはうつ症状であり痛みがそのような病状を起こしている可能性があります。対応はもちろん痛みを改善するように努力するのはもちろんのこと、訴えをよく聞いてあげることが大切です。聞いてもらえるだけで症状が緩和することもあります。一人で悩まないことが重要です。

 痛みのストレスがうつ症状として表れることがあります。逆にうつの身体症状として痛みが起こることもあります。
 
 
平成27年6月20日(土)  運動強度と心拍数

 運動をしていると心臓の機能が向上して一回あたりの拍出量が増えるので安静時の心拍数も低下します。これはスポーツ心臓といわれマラソンのトップクラスになると脈拍が一分あたり30台になっている人もあります。(運動をしていない一般の人がこのような徐脈になると不整脈の疑いがありますので医療機関を受診してください。)運動負荷で最大の心拍数は年齢によりますが、若い人なら180-200回/minぐらいまでいきます。(成人では「220-年齢数」程度。)最大心拍数−安静時心拍数がその人がある瞬間に運動でできる最大の能力となります。

 もちろん最大心拍数では継続できませんので中長距離の負荷をかける場合は、有酸素運動の範囲内での心拍数になります。これも年齢によりますがおよそ110-150回/minあたりです。150を越えると無酸素運動になると言われています。

 体調によっても心拍数は変わります。無理をしたときやコンディションが悪いときは安静時心拍数は高めであり運動負荷をかけても上がりにくかったり、逆にいつもより早く上がりすぎてしまうことになります。

 医療の現場でも安静時の脈拍が毎分100(成人)を越えると何か異常が起こっていると考え原因を探ります。特に術後は脱水や発熱、感染などで脈拍が上昇しますので要注意です。

 
 
平成27年6月22日(月) 凹足 (ハイアーチ)

 扁平足の反対で足の土踏まずが大きく凹んだようになります。その結果、足の裏の腱膜が炎症を起こしたり疲れやすくなります。原因は先天性の場合や神経疾患に合併するもの、またハイヒールなどの負荷で後天的になる場合とがあります。予防はハイヒールを履かないようにする。また足回りのストレッチをしっかり行うことです。治療はアーチサポートといって足の土踏まずに挟み込む装具を作成します
。 
 
平成27年6月23日(火) 部活と外傷

 クラブ活動でケガをすることは良くあります。実際、わたしもサッカーやフットサルをやっているのですがあちこちケガが絶えません。とはいえ最近は大きなケガはなく捻挫や肉離れもこの数年は起こっていません。年相応に無理をしなくなったせいでしょうか、それともただの偶然でしょうか。

 ケガをした学生さんを診る場合、部活の試合日程と治療期間がうまく調整できないことがよくあります。捻挫が治るのに3-4週間かかるのに試合が明後日にあるなんて話は日常茶飯事です。

 多くの患者さんが誤解していることとして痛みが無ければ治っているという判断です。骨折でも当初の痛みは2週間前後でかなり改善します。ましてや一ヶ月経てば痛みはほとんどありません。でも治っているのでしょうか?経験則的に荷重がかかる足の場合、体重を十分にかけられるのは二ヶ月ほどかかります。そういった症状とのギャップがなかなか理解されないのはもどかしいです。

 無理をすれば骨折が治らず偽関節となることもあります。再骨折も起こります。そういったリスクを含めて説明するのですが、それでもやる人につける薬は残念ながらないことになります。

 
 
平成27年6月24日(水) ぎっくり腰ってなに?

 ぎっくり腰は急に腰が痛くなったときにその症状を表現する言葉であって病気の名前ではありません。地方によってはびっくり腰、ビックラ腰と言うところもあるようです。いずれにせよ急激に腰痛が出た状態を示します。

 ぎっくり腰は医学用語ではありませんが分かりやすい言葉ですので説明に使うことはあります。実際、医学用語でぎっくり腰に該当するのは急性腰痛症という」病名です。急性腰痛症もまた急に腰痛が出た病態を示すだけでその原因が何かは分かりません。なんだか分からない段階では暫定的に急性腰痛症という病名をつけることがありますが、そこからちゃんと調べて本当に腰痛を起こしている病気を探ります。

 急性腰痛症は例えば内科の疾患でも起こります。胃潰瘍の後腹膜穿孔や急性膵炎、尿管結石、虫垂炎の後腹膜への波及、解離性大動脈瘤などでも急性腰痛症として発症することがあります。

 もちろん急に腰痛を起こす整形疾患は他にもいっぱいあるわけです。そういった多くの疾患が急に腰痛を起こすことがあるとまず知っておいてください。

 従って医療機関では当然のことながら急性腰痛症(ぎっくり腰)の原因を特定すべく診察や検査を行います。それは当たり前のことと思うのですが、なかには何年も病悩期間がありながら何も調べていない。そういったこともよくあります。
 
 
平成27年6月24日(水) 『レントゲンで骨は大丈夫〜。』は大丈夫?

 超音波断層、CT、MRなどのI画像診断機器が発達していなかった20年前なら仕方がないのかも知れませんが、今どきレントゲン撮影だけを行って『骨は大丈夫でした。良かったですね。』なんてレベルの診療は許されません。骨には筋肉や腱がついており、また関節を形成している関節包、軟骨、靱帯、腱鞘、神経、血管などさまざまな骨以外の軟部組織がどの程度損傷されているのかをきちんと評価しないといけません。

 正しく損傷の部位や程度を評価した上で治療方針を決める。このことがとても大切です。診断や評価が間違っていたけど結果オーライなんてのはあり得ません。もちろん画像診断は診断を補助するものであり、診察がまず最初にもっとも重要であることは言うまでもありません。念入りな診察を行いその上で必要な画像診断等を行うことが肝要ですね。

  
 
平成27年6月25日(木) 気候病

 天気が悪いと痛むなんて話をされる方があります。これはいったいどういうメカニズムなのでしょう。気圧が下がるためでしょうか?それともお天気が悪いとうっとうしく思う気持ちが症状を悪化させているのでしょうか?はっきりと分かっていませんが、精神科の先生曰く、痛みを理由付けすると安心できるという心理的側面を指摘する意見もあります。人間は理由の分からないものに対して不安感を覚えます。不安に対して理由付けすると解消するためにそういう行動を起こすのだそうです。

 生きる知恵とも言えますね。
 
 
平成27年6月26日(金) 片側椎体高減少と椎間孔狭窄

 面白い論文を読んだので紹介しておきます。変性側弯症においてL5/S1椎間板が片側性につぶれる(wedging4度以上)と患側の椎間孔が狭窄する確率が上がるそうです。特にL5/S1レベルで起こりやすいとのことです。

 変性側弯症は中高年以降に出てくる側弯症で椎間板変性を伴ってL3椎体から回旋変形して始まると言われています。起こってしまうと他の側弯症との鑑別は困難です。一般に経過は良好でそれほど側弯は伸展しませんが、今回の報告のようにwedgingにより神経障害の原因となることがあります。
 
 
平成27年6月27日(土) 膝の痛み

 膝の痛みは関節内にすり減った軟骨の破片が浮遊してこれが炎症を引き起こすとされています。従ってこの破片を減らすだけで炎症を抑えることが出来ます。破片の発生を少なくするためには軟骨を修復する作用のあるヒアルロン酸の関節内注射(食べても分解されるので効果ありません)を行ったり関節周りの筋力強化をすると改善する可能性が高くなります。手術的に関節内を洗浄するという方法もあります。

 筋トレは自宅でもできますし継続して行うとよいですね。
 
平成27年6月28日(日) 急患対応

 今朝は急患の対応をしました。通院中の患者さんが急に具合が悪くなった時など、院長専用携帯電話に電話していただいてます。電話番号はもれなく皆さんにお伝えしています。余程、電波事情が悪くない限り対応できますので好評です。休みになると不安感から痛みが強くなったりしますがいつでも連絡できると思うと安心感からか悪化することも減るように思います。
 
平成27年6月29日(月) 自転車での転倒

 自転車で転倒することは比較的よくあることなのですが、競技用の自転車の場合、転び方というのがあってハンドルを握ったまま身体を丸めて転けその後、背中を地面に向けるようにし自転車を抱えた感じで上に向くのが良いとされています。要するに自転車を握ったまま丸まってごろんと転がる感じです。ただプロでもそう思っていてもうまくできないこともよくあるそうですので、転けない運転をされるのが一番ですね。
 
 
平成27年6月30日(火) 湿潤治療

 外傷で湿潤治療を行っていますが、患者さんの中には若干の誤解されているケースが見受けられます。まず湿潤治療は創部を乾燥させずに程よく湿潤した環境にすることが必要です。創からの浸出液の量によって被覆材を選択することが大切です。また通気性がないものは感染を起こしやすいので汚染されたような傷には使えません。

 程よく湿っているのがベストです。要するに外傷や熱傷で失われた上皮が再生しやすい環境を作ってあげることが大切です。一般的によくコンビニなどでも売っているハイドロコロイドは汚染されていない浸出液の少ない浅い創に用います。